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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(335) 伝統の大分車いすマラソン、15日に号砲。「ガチンコ勝負の高速レース」に期待!

パラスポーツ大会が徐々に再開されていますが、今週末11月15日(日)に大分市で開催予定の「大分車いすマラソン2020」は見逃せない一戦です。国内では今季唯一の車いすマラソン大会となり、東京パラリンピック出場権獲得にもつながる世界パラ陸上競技連盟(WPA)公認のレース。同大会を目指す国内トップクラスの選手たちが顔をそろえ、熱戦が期待されます。

マラソンの部の男子には、前回総合2位の鈴木朋樹選手(トヨタ自動車)をはじめ、同4位で今年10月のロンドンマラソン4位の渡辺勝選手(凸版印刷)や、同6位でリオパラリンピック代表の山本浩之選手(はぁとスペース)など20人がエントリー。同女子は前回、日本記録を更新して2位に入った喜納翼選手(タイヤランド沖縄)と前回4位でトライアスロンとの二刀流で東京パラ出場を目指すベテラン、土田和歌子選手(八千代工業)のみが出場予定です。

東京パラで車いすマラソンの出場枠は各国・地域から男女最多3人まで(マラソンのみエントリーの場合)で、現時点で東京パラ代表に内定している日本人選手は、昨年4月の世界選手権で男子3位に入った鈴木選手のみです。今後、出場権を得る条件は東京パラリンピック・マラソンランキング(2019年4月1日から来年4月1日までの2年間)の6位以内で、さらに世界選手権での内定者(3名)を除いた上位2人という「狭き門」をクリアしなければなりません。
前回男子総合2位で、「大分車いすマラソン2020」の招待選手の一人、鈴木朋樹選手 (第25回関東パラ陸上競技選手権大会より/2020年11月8日撮影:吉村もと)

ランキングはシンプルにタイム順に並べられたもので、最新のランキングによれば、今大会で東京パラ出場権獲得圏内に入るためには、「男子は1時間22分23秒、女子は1時間36分26秒を上回ること」が最低目標タイムとなります。

日本パラ陸上競技連盟の指宿立強化委員長はこの目標タイムについて、「駆け引きしなければ、(突破の)可能性はある。ガチンコ勝負で、このタイムを突破してほしい。高速レースになると予想はしている」と展望を語るとともに、「けん制し合い、レースを人任せにするようでは東京パラでは戦えない。選手が意識を変え、積極的にタイムを出す必要がある」と奮起を促しています。

なお、1981年に創設された世界最古の車いすだけの国際マラソン大会ですが、コロナ禍のため今年は国内在住選手限定での実施となり、24都道府県から全107人(うちハーフに85人)がエントリーしています。感染防止のため、全員を対象にPCR検査を実施したり、大会スタッフはほぼ大分県内在住者で、開・閉会式も実施しないなど通常とは異なる形で実施されます。

レースは大分県庁前をスタートし、大分市営陸上競技場にフィニッシュするコースで行われ、マラソンは10時に、ハーフマラソンは10時03分にスタートしますが、沿道の声援も自粛を要請し、当日もビラを配布して観戦や応援の自粛を呼びかけるそうです。その分、今年は観戦の方法が複数、用意(下記)されています。ハイレベルなレースにご期待ください!

▼「大分車いすマラソン2020」大会公式サイト
https://kurumaisu-marathon.com/

▼完全生中継
・BS-TBS(全国):9:55~12:00
・OBS大分放送(ローカル):9:55~11:30
・OBSラジオ(ローカル):9:55~12:00

▼同時WEBライブ配信 (大分車いすマラソン2020-OBS大分放送特設ページ)
https://kurumaisu-marathon.jp/

(文:星野恭子)