「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(322) 東京パラ、来夏も「同一日程、同一会場」で。テコンドーの田中光哉選手、「明確に照準が定まった」
東京2020大会組織委員会は8月3日、東京都内で会見を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受け来年夏に開催延期となった東京パラリンピックの新たな競技日程を発表しました。今年と同じ競技会場を来年も使用できる見通しがたったため、基本的に当初の枠組みを維持したまま1年スライドさせる形で、「同一日程、同一会場」が維持されることになります。ただし、曜日を合わせるため1日ずつ前倒しとなり、開会式は2021年8月24日午後8時から国立競技場で行われ、競技は翌25日から9月5日の閉会式までの12日間にわたり、22競技539種目が東京、千葉、埼玉、静岡の1都3県内の計21会場で実施されます。
運営上の理由などから、一部の競技の開始・終了時刻や競技実施順を入れ替えるなど微調整はあるものの、先月確定したオリンピックに続き、ほぼ今年に予定されていた日程通りで確定。組織委の中村英正ゲームズデリバリーオフィサー(GDO)は、「真の意味で一区切りついたと思う。アスリートにとって競技スケジュールが固まるのは大きなステップ。安心安全な大会運営の準備に努めたい」と話しました。
会見には、東京パラリンピックで初めて正式競技として採用されるテコンドーの田中光哉選手(ブリストル・マイヤーズ・スクイブ)もリモートで参加しました。1992年福岡県生まれの28歳。先天的に両腕に障害がありますが、2017年に上肢障害を対象とするパラテコンドーを始めて急成長。今年1月の代表選考会で優勝し、男子61キロ級の日本代表に内定しています。
田中選手は1年延期となり当初は戸惑いもあったと言い、また今でも対人競技のテコンドーでは組手練習が制限されるなど影響は少なくないものの、今回の発表により自身の東京パラ試合日が来年9月2日に確定。
「明確に照準が定まったので、この1年、しっかりいい準備をしていきたい。テコンドーはパラリンピック初採用なので、多くの人に競技を見てもらい、私自身の挑戦する姿を通して、競技の力強さや魅力を伝えていきたい」と意気込みを力強く語りました。
なお、すでに販売済の観戦チケットは来年の日程でも有効ですが、都合が合わないなどで払い戻しを希望する人には今秋以降に手続き開始の予定で、詳細は後日発表されます。また、コロナ感染防止策や大会簡素化などについても、先に発表済みのオリンピック同様、今秋以降に具体策が検討されていくそうです。中村GDOは、「選手がベストを尽くせる環境づくりのために、がんばっていきたい」と組織委として改めて決意を話していました。
▼参考:東京2020大会公式サイト
(文:星野恭子)