ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(319) パラ卓球で5選手が東京パラリンピック代表に内定。日本の内定選手は10競技51人に

1年延期となった東京パラリンピックに向けて、パラスポーツ界も一歩ずつ前に進んでいます。7月1日には、パラ卓球の5選手が日本代表に内定したと日本肢体不自由者卓球協会と日本知的障がい者卓球連盟が発表しました。

内定したのは、リオ大会につづく2大会連続出場となる、男子クラス9(立位)の岩渕幸洋選手(協和キリン)と同クラス11(知的障害)の竹守彪選手(TOMAX)、そして、初代表となる男子クラス7(立位)の八木克勝選手(モルガン・スタンレー・グループ)、同クラス11の浅野俊選手(PIA)、女子同の古川佳奈美選手(博多卓球ク)の5名です。

実は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で国際大会があいついで中断されたため、国際卓球連盟(ITTF)が選考基準を見直す可能性もありましたが、結局、変更はなく、発表済みだった基準を満たしたとして、ITTFから正式通知がありました。

なお、パラリンピックの卓球は、車いす、立位、知的障害の3つのカテゴリーがあり、それぞれ障害の程度によって、順にクラス1~5、同6~10、同11に分かれて競います(カテゴリーごとに数字が大きいほど障害は軽度に)。種目は男女別にシングルスとダブルスがあり、東京パラでは全31種目が行われる予定です。ルールはオリンピックとほぼ同じですが、障害に応じて補装具の利用やサーブの方法などのルールがアレンジされています。

以下は、東京パラ代表に内定した5選手と、それぞれの喜びのコメントです。世界ランキングは最新の4月1日時点のものになります。

■岩渕幸洋(いわぶち・こうよう)選手/男子クラス9/選考基準:世界ランク3位
「このタイミングで推薦選手として発表して頂けたこと嬉しく思います。試合の予定も軒並みキャンセルとなってしまっている中ですが、こうして発表していただけたことを活力にして、来年に向けて準備をしていきたいと思います。東京パラリンピックでは、以前と変わらず『金メダル以上』を目標とし、パラ卓球の面白さを発信していくことと共に、今一度スポーツの素晴らしさに気がついて頂けるきっかけになれるような最高のパフォーマンスを目指していきたいと思います」

■八木克勝(やぎ・かつよし)選手/同クラス7/選考基準:世界ランク8位
「自分が『楽しい、面白い』と思える人生を追求してきました。その中でたまたま卓球に出会い、好きになり、いつの間にかここまで続けてきました。よく飽きもせずに続けられたと思います。さて、東京パラリンピックの出場権を得たことですが、まだ実感がありません。ただ、好きなことで生きていきたい、楽しく人生を送りたいと思い、試行錯誤していった結果、このようになったので今のところの人生は上手くいっているのではないかなと思います。これからですが、まずは世の中の安寧、そして、世界のすべての人がスポーツを楽しめるような状態になることを祈ります。そして、東京パラリンピックではスポーツができる喜びを表現できるようなプレーをしていきたいです。最後にですが、今まで、私に関わりましたすべての方々に感謝致します。そして、これからも一瞬一瞬を楽しんでいきます」

■竹守彪(たけもり・たけし)選手/同クラス11/選考基準:世界ランク7位
「2大会連続出場するので、金メダル獲得を目指して頑張ります!」

■浅野俊(あさの・たかし)選手/同クラス11/選考基準:アジアパラ選手権2019優勝/世界ランク9位 
「東京パラリンピックでは、世界を相手に自分の力がどこまで通用するのか試したいと言う気持ちでいっぱいです。もちろん出場するからには優勝し、金メダルをとりたいと思います。また、これまでお世話になったたくさんの方々に恩返しができるよう全力で頑張ります」
(*クラス分けの未認定のため、今後、ITTFの定めるクラス分け審査開催大会への出場と審査を受ける必要あり)

■古川佳奈美(ふるかわ・かなみ)選手/女子クラス11/選考基準:世界ランク5位
「初めてのパラリンピックの空気を楽しみたいです。憧れていた舞台に自分が本当に立てるとは夢のようです。まだ信じられないです…… 次の夢の金メダル獲得目指して頑張りたいと思います!応援よろしくお願いします!」

なお、上記の5選手を加え、7月1日時点で東京パラ代表に内定した日本人選手は全22競技中10競技の計51選手(男子32、女子19)となりました。東京パラは延期されましたが、すでに内定を受けている選手たちのステータスは、そのまま維持されることも発表され、新たな目標に向けて選手たちはそれぞれ強化をつづけています。

また、コロナ禍を受けた新たな選考基準も競技ごとに発表されており、内定選手は今後も増えていく予定です。例えば、世界ランキングによる選考枠は多くの競技で選考期間が来年春頃まで1年程度延長されていますし、卓球では来年5月に開催予定の世界最終予選大会とバイパルタイト(推薦)による選出枠も残されています。夢の舞台を目指す選手たちの戦いもまだまだつづいています。

感染症防止策を講じながら工夫を凝らして強化をつづけるパラアスリートたちに、ひきつづき、熱いエールをお願いします。

(文:星野恭子)