「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(318) 2020組織委、延期に伴う東京パラの新たな位置づけやロードマップを発表
東京2020大会組織委員会は7月8日、来年に延期された東京パラリンピックに関する新しい「位置づけ」や「原則」、開催までの「ロードマップ」などを発表しました。東京オリンピックに関する同様の発表は6月10日にすでに行われています。
今回発表された「位置づけ」では、2021年のパラリンピックは人間の努力や回復力、希望を示す世界的な祭典となることが強調されています。
パラリンピックはこれまで、障害のあるアスリートの祭典であるとともに、多様性を認め合う契機として共生社会実現にも役立つものであること。さらに、パラリンピック特有の価値(勇気、強い意志、インスピレーション、公平)を尊重し、国内外でパラリンピック・ムーブメントを発展させることを目指すといった共通理念のもとで開催されてきました。
しかし、「コロナ禍」という未曽有の事態を受け、史上初の延期となった2021年のパラリンピックの位置づけとして、これまで以上に世界の人々にとって団結や連帯を感じさせ、人間の強さやくじけない心を互いに称え合い、復活や復興の証を示す大きな機会となることが強調されています。
「原則」については、選手や観客、スタッフらの安全が最優先としたうえで、延期に伴う費用などを最小化し、大会をシンプルなものにするとしています。競技と選手の数などについては基本を維持しながら、必要かつ可能な場合には新たな状況にも即した対応を行なうとし、例えば、関係者の参加人数削減やさまざまな分野を対象に効率化やコスト削減を検討し、サービスレベルの見直しや、大会関連イベントも再検討される方向です。
また、新「ロードマップ」によれば、今年12月中に、状況を踏まえたコロナ対策の検討やサービスレベルの見直しに伴う変更後のオペレーションの検証、計画への反映などが行われます。
なお、国際パラリンピック委員会(IPC)によれば、8日までオンラインで開いていたIPC理事会の中で、組織委から準備状況の報告を受けたのち、これらの新たな原則やロードマップを理事会で承認。アンドリュー・パーソンズ会長は、「組織委員会の報告は心強い内容で安心した。再計画のための施策は信頼できるものだ」といったコメントも発表しています。
「ウイズ・コロナ」時代の大会運営への模索は続きます。
▼詳細:東京2020大会組織委員会該当ページ
▼東京パラリンピックに向けたロードマップ
(文:星野恭子)