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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(302) 新型コロナウイルスの東京パラへの影響は? 最近の主な動きをリポート

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、パラスポーツも大きな影響を受けていることは前号、前々号でもお伝えしました。その状況は依然として続いており、開幕が迫る東京パラリンピックに向け、国際パラリンピック委員会は「予定通り準備中」と発表している一方で、代表選考大会の中止や延期も余儀なくされ、影響が心配されています。今号では東京パラリンピック関連を中心にした3月15日までの主な動きをまとめました。

<東京パラリンピック出場チーム決定>
【車いすラグビー】
東京パラに向けた世界最終予選大会が3月4日から8日にかけて、カナダ・リッチモンドで行われ、7チーム(ブラジル、カナダ、コロンビア、フランス、ドイツ、スウェーデン、スイス)による総当たり戦と、上位4チームによる順位決定戦により、カナダとフランスが出場権を得た。この結果、東京パラに出場するのは日本(3)に加え、オーストラリア(1)、アメリカ(2)、イギリス(4)、デンマーク(7)、ニュージーランド(10)、カナダ(5)、フランス(6)の8チームに決定した。カッコ内は2020年1月1日時点の世界ランキング。

【ブラインドサッカー】
国際視覚障害者スポーツ連盟(IBSA)は3月6日、東京パラリンピック出場枠を得た8チームを発表した。日本(12)は開催国枠で出場するほか、アルゼンチン(1)、ブラジル(2)、スペイン (3)、中国(5)、モロッコ(10)、フランス(14)、タイ(13)の8チーム。タイは、アジア選手権2位で出場枠を得ていたイランが出場を辞退したため、同4位から繰り上がって出場枠を得た(3位は日本)。カッコ内は2020年3月1日時点の世界ランキング。

<東京パラリンピックに関連する新型コロナウイルスへの主な対応状況 (3月9日~15日)>
【国際パラリンピック委員会(IPC)】
3月12日、新型コロナウイルス関連の情報発信を今後は毎週木曜日にまとめて行うことを発表した。同日に発表された主な内容は、WHOからの情報/東京2020大会の準備/クラス分けの機会について/開催予定大会に向けたアドバイス/中止・延期された大会リスト/FAQsなど。IPCは東京パラリンピックについて前週と同様、「予定通り開催で準備中。選手は練習を継続してほしい」と呼びかけた。

▼IPCの新型コロナウイルス関連の情報ページ
https://www.paralympic.org/news/information-para-athletes-and-ipc-members-regarding-coronavirus?amp&__twitter_impression=true&fbclid=IwAR2MyD_eXoF19ckHAITAy0BkSuTsjIlsVc2A0oRq7B2AcqaFZE_XQklBFnQ

【カヌー】
日本カヌー協会は9日、3月15日に石川県小松市で実施予定だった2020年度の海外派遣選考記録会の延期を発表した。東京2020パラリンピック出場枠をかけた世界選手権(ドイツ)の代表選手選考会も兼ねていた。代替日程は調整のうえ後日、同協会HPで発表される予定。

【ゴールボール】
日本ゴールボール協会は10日、男子日本代表強化のため、3月19日~22日まで開催予定だった「男子日本代表とブラジル代表との合同合宿」の中止を発表した。代わりに、日本代表選手選考のための強化合宿を同日程でNTCイーストにて行い、東京パラリンピック代表内定選手2名と補欠選手を選出するという。

【水泳】
日本知的障がい者水泳連盟と日本身体障がい者水泳連盟は10日、東京パラ代表選考大会として5月22日~24日に横浜国際プールで開催予定の「2020ジャパンパラ水泳競技大会」を決定したことをそれぞれ発表した。

【ボート】
国際ボート連盟(FISA)は10日、5月8~10日にイタリアで開催予定だった、東京パラリンピックの世界最終予選とアジア・オセアニア大陸予選を中止すると発表。代替開催地等については、IPCや各地の大会組織委員会などと対応策を協議中で、4月5日までに発表するとしている。

【車いすテニス】
国際テニス連盟は12日、4月20日まで開催予定のすべての大会を延期すると発表した。なお、日本では車いすテニスの国際大会「ジャパンオープン」が4月21日から26日まで福岡県飯塚市で開かれる予定で、大会事務局は9日、予定通り開催の方向で準備を進めていると発表したが、予定変更の可能性もある。

【陸上競技・マラソン】
4月26日開催予定だったロンドンマラソンが13日、10月4日に延期されることが主催者より発表された。同大会は東京パラにおける車いすマラソンとブラインド(視覚障害)マラソンの出場枠がかかった「ワールドカップ」も兼ねて行われる予定だったが、代替大会や対応策等はまだ発表されていない。日本からは車いすの部に男女3名ずつ、視覚障害の部には男子2名、女子4名が代表選手として出場予定だった。

【陸上競技】
日本パラ陸上競技連盟は13日、東京パラに向けた記録会も兼ね、3月22日に岡山で開催予定だった「ワールドチャレンジin岡山大会」の中止を発表した。

【トライアスロン】
国際トライアスロン連合は14日、4月末までに実施予定だった全ての大会を延期すると発表した。4月24~26日には広島県廿日市市でアジア選手権が予定されていた。パラトライアスロンのランキング、パラリンピック出場資格を争うランキングは3月16日時点で凍結されることも同時に発表された。(オリンピック関連も同様)

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他にも、こちらに書ききれないほど多くの大会やイベントが影響を受けており、状況は深刻です。改めて、スポーツは平和で健康であることが第一条件なのだと感じています。新型コロナウイルスの感染拡大は世界各地に広がっており、今後の見通しの判断はまだ難しい状況です。早期の収束をただただ祈るばかりです。今はできること、やるべきことに取り組みながら、一日も早くスポーツを思いきり楽しみ笑顔が戻ることを待ちたいと思います。

(文:星野恭子)