ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ(40) 7.8~7.14

 国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトしたパラスポーツ・ピックアップ・シリーズ。今回は男子車いすバスケットボールの世界選手権の模様を中心にリポート。大会は史上初の世界16チームが参加して、過去最大規模で行われました。逆転や僅差での決着など各国のチーム力の拮抗を感じさせる試合が多く、接戦をものにできる真の強さが問われた大会だったように思います。

 

■車いすバスケットボール

・8日: 韓国・仁川(インチョン)で開催中の男子世界車いすバスケットボール選手権は、予選リーグを経て16チームが12チームに絞られ、この日からセカンド・ラウンドがスタート。日本は初戦の韓国に対し、前半はリードしていたものの、第3クォーターで逆転され、58-60で惜敗した。

 

・10日: 前日、ロンドン・パラリンピック4位のイギリスに47-65で敗れた日本はこの日、アルゼンチンに57-49と勝利したが、セカンド・ラウンドで5位に終わり、4位までが進める決勝トーナメント進出を逃した。

 

・11日: 日本はコロンビアとの9-10位決定戦に臨んだ。前半は28-34とリードされたが、第3クォーターで粘り強い守備からの攻撃が決まり出し、50-39と逆転。最終クォーターも好守からの得点を重ね65-56で逃げ切り、9位を確保した。

 

 日本代表は、ロンドン・パラリンピック後に及川晋平ヘッドコーチが就任し、新生チームで臨んだ初の世界選手権になったが、世界9位という結果はロンドン大会と同じだった。今大会は善戦しながらも一歩及ばずに勝利を手にできない試合が続いた日本。今後は2年後に迫ったリオデジャネイロ・パラリンピックの出場権獲得に向け、さらなる進化を目指すことになる。

 

・12日: 決勝トーナメントに入り、準々決勝4試合が行われた。第1試合では、ここまで6戦全勝のイギリスがトルコに69-71で敗れ、今大会のルール上、イギリスは自動的に7-8位決定戦に回るという波乱があった。以降の試合では、アメリカがイランを72-51で、スペインがイタリアを66-48で、オーストラリアが韓国を61-50で下し、それぞれ準決勝に進出した。

 

・13日: 準決勝第1試合はオーストラリアとトルコが対戦。前半42-22と大差をつけられたオーストラリアが後半猛追し、残り3分を切ったところで逆転し、63-58で逃げ切った。第2試合のアメリカ対スペインは試合開始からシーソーゲームとなったが、第4クォーターでアメリカが突き放し、56-49で勝利した。

 

14日: 大会最終日。決勝戦ではオーストラリアがアメリカを63-57で退けて優勝。前回2010年大会に続き、連覇を達成した。試合は予選リーグで唯一の黒星を喫したアメリカにリベンジを期したオーストラリアが序盤から猛攻。終始、先行し、そのまま63-57で逃げ切って勝利。前回2010年大会からの2連覇を達成した。

 

 3位決定戦は試合開始からシーソーゲームになったが、終盤、トルコがスペインをつき離し、68-63で3位になった。

 

 5位以下の順位は次の通り。

5位:イタリア/6位:韓国/7位:イギリス/8位:イラン/9位:日本/10位:コロンビア/11位:ドイツ/12位:アルゼンチン/13位:スウェーデン/14位:メキシコ/15位:オランダ/16位:アルジェリア

 

■陸上競技

・11日: イギリス・グラスゴーで開かれた国際陸上連盟(IAAF)主催のダイアモンドリーグ(⇒註)第9戦で、男子T53/54クラス(車いす)1500mが実施され、樋口政幸が3分9秒70で10選手中2位に入った。優勝はロンドン・パラリンピックで金メダル4個を獲得したD.ウィア(英国)で、タイムは3分8秒78だった。

40_01【関東身体障がい者陸上競技選手権の1500mレースで、集団のトップで力走する樋口政幸(ゼッケン102)=町田市立陸上競技場、7月6日/撮影:星野恭子】

 

 また、5選手が出場した女子T44クラス(下腿切断など)走り幅跳びでは、S.リード(英国)が5m47の世界新記録を樹立して優勝した。それまでの世界記録はM.ル・フューレ(フランス)の5m43で、同じく招待選手だったル・フューレはこの日、再び5m43を跳び、2位に入った。

 

 ⇒ダイアモンドリーグ: 国際陸上競技連盟(IAAF)が主催する陸上競技大会シリーズの最高カテゴリーで、2010年から毎年5~9月にかけて世界各地で14大会が開催されている。各大会でエキシビションとしてパラ陸上も数種目(大会ごとに異なる)が実施されており、IPC世界ランキングをもとに招待された選手のみが出場できる。

 

■ウィルチェア・ラグビー(車いすラグビー)

・12~13日: 12月に開催される第16回日本選手権の予選リーグBのラウンド1の対戦が北海道教育大学岩見沢校で行われた。参加チームは昨年の日本選手権で準優勝の準優勝AXE(アックス/埼玉)、同3位の北海道 Big Dippers(ビッグディッパーズ/北海道)のほか、BLAST(ブラスト/千葉)、HEAT(ヒート/大阪)の4チームが参加し、全6試合が行われた。試合結果は以下の通り。

 

AXE 58-35 BLAST

北海道 Big Dippers 52-44 HEAT

BLAST 38-52 HEAT

AXE 43-49 北海道 Big Dippers

AXE 44-37 HEAT

北海道 Big Dippers 54-50 BLAST

 

■予選リーグB 暫定順位
1位: 北海道 Big Dippers : 3勝0敗
2位: AXE : 2勝1敗
3位: HEAT : 1勝2敗
4位: BLAST : 0勝3敗

 

(星野恭子/文と写真)