「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(288) 躍動するパラアスリートたち。11月のパラスポーツ大会の結果から
11月も多くのパラスポーツ大会が開催されました。主な大会結果を競技別に、私自身の取材や競技団体発表資料などをもとにまとめてみました。パラアスリート躍動の軌跡をどうぞ!
<国際大会>
【陸上競技】
車いすだけのマラソン大会としては世界最古の伝統ある大会、「第39回大分国際車いすマラソン」が11月17日、大分市内を巡るコース(大分県庁前発、大分市営陸上競技場着)で行われた。18カ国から210人が出走し、障害の程度に応じて3クラスに分かれ、マラソンとハーフマラソンで競った。各クラスの主な上位選手は下記の通り。
フルマラソンの男子最速クラスを制した、マルセル・フグ選手(スイス)。11月15日までドバイで開催されていた世界選手権にも出場を経て、8度目の優勝を果たした。「嬉しいけれど、すごく疲れました」 (撮影:星野恭子)
<男子マラソン>
T34/53/54クラス:優勝 マルセル・フグ(スイス) 1:22:51/2位 鈴木朋樹1:22:55/3位:ダニエル・ロマンチュク(アメリカ)1:23:55
T33/52クラス:優勝 上与那原寛和 1:53:04
T51クラス:優勝 ピーター・ドゥ・プレア 2:27:07
<女子マラソン>
T34/53/54クラス:優勝 マニュエラ・シャー(スイス) 1:35:42(世界新)/2位 喜納翼 1:35:50(自己新)/3位:スザンナ・スカロニ(アメリカ) 1:36:26
自己記録を4分近く更新する快走で、フルマラソンの女子最速クラス2位に入った喜納翼選手。「東京パラリンピック出場目指して頑張ります!」 (撮影:星野恭子)
<男子ハーフ>
T34/53/54クラス:優勝 サミュエル・リゾ(オーストラリア) 46:35/2位 渡辺習輔 46:37/3位 寒川進48:06
T33/52クラス:優勝 野田 昭和 55:46/2位 松本直幸 1:00:31/3位 安野祐平1:16:59
T51クラス:井上聡 1:27:22/2位 長﨑裕也 1:30:18/3位 平山健悟 1:41:18
<女子ハーフ>
T34/53/54クラス:優勝 見﨑真未1:15:37/2位 イー・ユー・チェン・ジュディ(カナダ) 1:15:48/3位 山入端依子 1:18:48
T33/52クラス:優勝 木山由加 1:17:49/2位 片平留依 1:46:36/3位 石川水緒 1:48:39
【バドミントン】
日本代表の強化を目的に3年連続での開催となった「ヒューリック・ダイハツJAPAN パラバドミントン国際大会2019」が11月13日~17日に行われた。東京パラリンピックのテスト大会も兼ねた今年は会場も本番と同じ国立代々木競技場(東京・渋谷区)だったこともあり、22カ国から約200名がエントリー。ハイレベルな熱戦が展開されたなか、日本勢は大健闘し、メダル12個(金2、銀2、銅8)を獲得、東京パラに向け大きな手ごたえを得た。
優勝:SU5女子シングルス 鈴木亜弥子/WH1-2女子ダブルス 里見紗李奈/山﨑悠麻
準優勝:SL4女子シングルス 藤野遼/SL3-SU5女子ダブルス 伊藤則子/鈴木亜弥子
3位:WH1女子シングルス 里見紗李奈/WH2男子シングルス 梶原大暉/WH2女子シングルス 山﨑悠麻/SU5男子シングルス 今井大湧/SU5女子シングルス 豊田まみ子/WH1-2男子ダブルス 村山浩/梶原大暉/SL3-SU5女子ダブルス 山田麻美/亀山楓/SL3-SU5ミックスダブルス 末永敏明/杉野明子
【シッティングバレーボール】
世界の強豪が集い、頂点を争ったシッティングバレーボール女子の国際大会「2019 NOMURA WOMEN'S WORLD SUPER 6」が11月17日に台東リバーサイドスポーツセンター(東京・台東区)で開催され、日本は3位決定戦でウクライナに3-0で勝利し、銅メダルを獲得。決勝はアメリカがロシアを3-0で下した。
最終順位:優勝 アメリカ/2位 ロシア/3位 日本/4位 ウクライナ
【車いすバスケットボール】
第16回北九州チャンピオンズカップ国際車いすバスケットボール大会が11月22日~24日に北九州市立総合体育館(福岡県北九州市)で行われ、決勝に進出した日本はドイツを60-23で退け、優勝。3位決定戦はカナダがオーストラリアに50–35で勝利した。
最終順位:優勝 日本/準優勝 ドイツ/3位 カナダ/4位 オーストラリア
個人賞:最多アシスト ラクリン・ダルトン(オーストラリア)/最多リバウンド 髙柗義伸(日本)/最多得点 アレクサンデア・ブデ(ドイツ)/三菱電機 Changes for the Better賞 髙柗義伸(日本)
<国内大会>
【ゴールボール】
予選会を勝ち抜いた男女各6チームが出場して行われた、ゴールボールのクラブチーム日本一を争う「マネードクター2019日本ゴールボール選手権大会」が11月2日~3日、足立区総合スポーツセンター(東京都足立区)で行われ、男子はAmaryllis(アマリリス)が3連覇、女子は国リハLadiesチームむさしずくが2連覇を達成した。
なお、12月5日から10日まで、東京パラリンピック出場権もかかった「IBSAゴールボールアジアパシフィック選手権大会」が千葉ポートアリーナで開催される。日本は男女とも開催国枠で東京パラ出場は決定しているが、「アジアパシフィック代表」としての出場を目指し、今大会での優勝を狙っている。入場は無料。ぜひ会場で応援を!
【ブラインドサッカー】
8月から約4カ月間にわたり、全4地区に分かれてリーグ戦が行われたブラインドサッカー日本リーグは12月1日に全日程を終了。各リーグの最終結果は以下の通り。
北日本リーグ(北海道、宮城県、新潟県の3チーム):
優勝:コルジャ仙台ブラインドサッカークラブ(2年連続)
東日本リーグ(茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の10チーム)
優勝: free bird mejirodai(初)/2位:埼玉T.Wings/3位:パペレシアル品川
中日本リーグ(山梨県、長野県、石川県、愛知県の4チーム):
優勝:F.C.長野RAINBOW(初)
西日本リーグ(大阪府、兵庫県、広島県、岡山県、福岡県、沖縄県の7チーム)
優勝: ラッキーストライカーズ福岡/2位:LEO STYLE北九州
なお、事前の規定により、上記7チームは来年2月に開催される、「KPMGカップ ブラインドサッカークラブチーム選手権」の出場権も獲得。同選手権はさらに海外招へい1チーム(後日決定)を加えた8チームが参加し、2020年2月8日~9日に神奈川県川崎市の富士通スタジアム川崎での開催が決定している。
また、ロービジョンフットサル(B2/3)クラスは東日本所属の3チームで争われ、CA SOLUA 葛飾が初優勝を果たした。
【水泳】
第36回日本パラ水泳選手権大会が11月23日~24日に千葉県国際総合水泳場 (千葉県習志野市)で開催された。全国から男女合わせ約520人が参加して、東京パラリンピックの参加標準記録突破から自己記録更新まで、それぞれの目標達成を目指した。開会式では、「ロンドン2019世界パラ水泳選手権大会」のメダリストと2019 年にアジア記録を樹立した12 名が優秀選手として表彰された。
「ロンドン2019世界パラ水泳選手権大会」のメダリストと2019 年にアジア記録を樹立し、優秀選手賞を授与された選手たちと日本身体障がい者水泳連盟の河合純一会長 (撮影:星野恭子)
【卓球】
知的障害クラス(Class11)を対象にした、「2019FIDジャパン・チャンピオンリーグ卓球大会」が11月30日~12月1日に横浜市平沼記念体育館で開催された。この大会は6月に開催された「ジャパン・チャンピオンシップ大会」の上位選手のみが出場できる知的障害者卓球の国内最高峰の大会で、来年の国際大会派遣選手の選考会も兼ねて行われた。男子12名、女子8名が総当たり戦方式で対戦し、下記の通り、最終順位が決定した。
男子:優勝 竹守彪/2位 浅野俊/3位 髙橋利也
女子:優勝 美遠さゆり/2位 古川佳奈美/3位 川﨑歩実
「2019FIDジャパン・チャンピオンリーグ卓球大会」の上位入賞者。前列左から、古川佳奈美選手、美遠さゆり選手、川﨑歩実選手、後列左から、竹守彪選手、髙橋利也選手 (撮影: 星野恭子)
なお、肢体不自由クラス(Class1~10)も同日程で大阪市舞洲障がい者スポーツセンターを会場に、「第11回国際クラス別パラ卓球選手権大会」として実施され、それぞれ日本一が決定している。詳細は、日本肢体不自由者卓球協会(https://jptta.or.jp/)まで。
(文・取材:星野恭子)