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星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ(39) 7.4~7.7

 国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトしたパラスポーツ・ピックアップ・シリーズ。今回は国際パラリンピック委員会(IPC)公認の陸上競技大会での記録ラッシュの模様から、テニスの聖地ウィンブルドンでの日本勢の快挙のほか、参加者募集中の日本障がい者スポーツ協会の新事業などについてもリポートしています。

 

■陸上競技

・5日: 第19回関東身体障害者陸上競技選手権大会が東京・町田市立陸上競技場で開幕。この大会は日本国内では数少ない、国際パラリンピック委員会(IPC)が公認する大会のひとつであり、今大会での記録は国際的に公認され、IPC世界ランキングにも反映される。この日は小雨が降り続く、あいにくの天候だったが、トラック種目、フィールド種目とも大会記録の更新や、日本新もいくつか誕生した。

 

 男子800mT11クラス(全盲)では谷口真大(JBMA)が2分10秒38の日本新記録をマークし、優勝した。谷口は10000mやフルマラソンなど長距離を専門とするが、スピード強化を目標にトラックレースにも取り組む。ここ1カ月は800mに特化した練習をしてきたといい、自身3度目となる800mレースに出場し、結果を出した。「今日は日本新を出しに、ここに来たので、達成できて嬉しい」

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【800mで日本新をマークした谷口真大選手(右)の力走。伴走は池澤暁さん】

 

 女子200mT44クラス(片下腿切断など)で、自身のもつ大会記録を更新した高桑早生(慶応大)は、「(雨天という)コンディションにしてはいい記録が出たかなと思う。最近、義足のアライメント(傾き)を変えたが、まだ使いこなせていない。もう少し技術を磨いて課題を克服し、日本新の更新も狙いたい」と、さらなる目標を口にした。

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【200mで大会新を出した高桑早生選手の走り】

 

・6日: 関東選手権の2日目は前日とはうってかわり晴天下での競技となったが、好記録も多数誕生した。なかでも、男子T42クラス(片大腿切断など)の400mで優勝した山本篤(スズキ浜松AC)の1分00秒02は、これまでの日本記録を1秒87も縮め、さらにアジア記録まで更新する好記録だった。山本は先月の日本選手権でも、200mで26秒02のアジア新記録を樹立している。

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【ホームストレッチで池田樹生選手(左)と競り合う山本篤選手】

 山本のメイン種目は100mと200m、走り幅跳びで、400mは専門外だが、次のように話した。「年に1回くらいは400mもレースに出ている。今日は同じくらいのタイムで走る池田(樹生)くんという目標があって走りやすかった。300mくらいで体が止まったのが分かり、最後は力の限り走った。(アジア新という今日の)結果にはほぼ満足。今後は100mで記録を狙い、12秒5くらいを出したい。そうすればパラリンピックや世界選手権でもメダルに絡めるし、100mが伸びれば、走り幅跳びにもいきると思う」

 

 男子1500mT12(弱視)クラスの堀越信司(NTT西日本)は4分07秒78で大会記録は更新したが、日本新は0秒48差で逃した。「予想以上に調子があがっていたようで、最初の400mが少し突っ込み気味になったので、その分ラスト400mで失速してもったいなかった。どんな状態でも最後に(ペースを)あげられるようにしないといけない」と、今後の課題を口にした。

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【1500mで力走する堀越信司選手】

■車いすテニス

・4日~6日: グランドスラム大会のひとつ、ウィンブルドンの車いすダブルスの部(ダブルスのみ実施)で、国枝慎吾と上地結衣がまた、アベック優勝も快挙を成し遂げた。国枝はフランスのS.ウデと組み、M.シェファーズ/R.ヴィンクのオランダペアに5-7、6-0、6-3の逆転勝ちで大会2連覇。

 一方の上地は地元イギリスのJ.ホワイリーと組み、J.グリフィオエン/A.ヴァンクートのオランダペアを2-6、6-2、7-5の逆転で、初の栄冠を手にした。

 

■車いすバスケットボール

・5日: 全16チームが世界王者を目指す、男子世界車いすバスケットボール選手権が韓国・仁川(インチョン)で開幕。大会は14日までで、観戦は無料で、大会期間中有効の観戦チケットが会場入り口で配布される。詳細は、日本車椅子バスケットボール連盟公式サイトまで。

 

・7日: 日本はBグループに入り、オランダ、スペイン、イランとの総当たり戦で、まずは決勝トーナメント進出を目指す。日本は初戦オランダとの初戦を62-51で勝ったものの、つづくスペイン戦には52-61で、イラン戦には69-73で敗れた。この結果、1勝2敗(勝ち点4)でオランダ、イランと並んだが、ポイントアベレージ(総得点を総失点で割った値)により、Bグループ2位となり、3戦全勝の同1位のスペイン、同3位のイランとともにセミファイナル・ラウンドへの進出が決まった。

 

 セミファイナル・ラウンドは8日から始まり、日本は予選Aグループのイギリス、韓国、アルゼンチンと総当たり戦を行い、スペイン、イランを含めた6チームのうち上位4チームが決勝ラウンドに進むことになる。

 

 試合の模様はインターネットで配信(ライブ、録画)されている。視聴はこちらから。

 

■ゴールボール

・3日: 先月29日にフィンランドで開幕した世界選手権は、この日で予選リーグが終了した。男子は全16チーム中、Bプールに入った日本は1勝6敗でプール7位に終わり、決勝トーナメント進出を逃した。一方、女子は全12チーム参加の中、Xプールに入った日本は4勝1敗でプール2位となり、決勝トーナメントに進出した。

 

・4日: 日本女子は準々決勝でウクライナに1-0で勝利したものの、準決勝ではアメリカに0-2で敗れた。

 

・5日: 3位決定戦に臨んだ日本女子は、トルコに0-3で敗れて4位に終わり、今大会の上位3位までに与えられる2016年リオ・デジャネイロ・パラリンピックの出場権獲得を逃した。優勝はアメリカ、準優勝はロシアだった。一方、男子は優勝がブラジル、準優勝はフィンランド、3位はアメリカだった。

 

■東京発

・7日: 日本障がい者スポーツ協会と日本パラリンピック委員会(JPC)は、将来パラリンピックで活躍できる選手を発掘する新事業、「めざせパラリンピック!可能性にチャレンジ2014」の開催を発表した。パラリンピックに興味のある10歳から25歳の肢体不自由児・者および視覚障がい児・者を対象に、競技の体験やアスリートによるデモンストレーション、医療相談、講演会などを東京(8月23日)、神戸(8月30日)に行う予定。定員は各会場で60名、先着順で受け付ける。詳細・申込み等は同協会公式サイトまで。

 

■ドイツ発

・4日: 国際パラリンピック委員会(IPC)が発表した、6月の最高アスリート賞の候補5選手のなかに、車いすテニスの上地結衣選手が入った。一般投票はIPC公式サイトのトップページから、10日12時(日本時間10日19時)まで、IPC公式サイトのトップページで受け付けている。候補5選手と理由は以下の通り。

 

・上地結衣(車いすテニス):全仏オープン(ローラン・ギャロス)で単複二冠を達成。グランドスラム(世界4大)大会のシングルスでは自身初優勝となった。

 

・S.アリバシック (シッティング・バレーボール/ボスニア・ヘルツェゴビナ): 2014世界選手権でチームの全勝優勝に貢献、かつ最優秀選手賞(MVP)を獲得。ロンドン・パラリンピック金メダルについで世界の頂点に立ち続けた。

 

・R.バット (ウィルチェア・ラグビー/オーストラリア):2014カナダカップでチーム優勝に貢献。62-54でカナダを破った決勝戦では、ひとりで43得点をあげる活躍をみせ、MVPも獲得。

 

・J.マクラクラン(車いすバスケットボール/カナダ): 女子世界選手権でドイツを破り、王座に返り咲いたカナダチームのエース。

 

・V.ヴァドビコーバ (射撃/スロバキア): IPCワールドカップ(米国)のR2R2(女子10mエアライフル立位SHIクラス)で自身の持つ世界記録を塗り替える207.5点をマークするなど、3つの金メダルを獲得した。

 

(星野恭子/文と写真)