星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ(36) 6.9 ~6.19
国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今回は、ゴールボールの男女アジアカップの模様のほか、パラスポーツの普及促進を目指す国内外の取り組みをいろいろ集めてみました。
■ゴールボール
・10日: 中国・杭州で6月4日に開幕したゴールボールアジアカップ大会で、日本の女子代表が中国に1-0で競り勝ち、優勝。3位にはイランが入った。男子は3位決定戦でイラクに4-14で敗れ、4位。優勝はイラン、2位は中国だった。また、今大会は10月に韓国・仁川で行われるアジア選手権の予選大会を兼ねていたが、日本は男女とも出場権を獲得した。
なお、6月末には男女とも世界選手権(6月26日~7月7日)を控えている。男子は16カ国、女子は12カ国がフィンランドに集い、世界一を争う。また、2016年パラリンピック・リオデジャネイロ大会の予選を兼ねており、男女とも上位3カ国が出場権を獲得する。
■東京発
・9日: 将来のスポーツ界を担う若手アスリートのチャレンジをサポートすることを目的に日本航空(JAL)が立ち上げた、「JALネクストアスリート・マイル」の記者発表会が都内で行われた。これは、対象の競技団体に対し、JALのマイル会員が提供したマイルの寄付と、集まったマイルの同額分をJAL社が寄付するというもの。対象となる4つの競技団体のなかに、パラ陸上競技が指定された。その他はサッカー、トライアスロン、ラグビーの3競技。
パラ陸上を代表して車いすレーサーの伊藤智也選手(2008年北京パラリンピック金メダリスト)が発表会に出席した。同選手は、車いすなど用具も含めた競技費用の捻出が困難なパラアスリートの現状を訴えるとともに、一般市民によるパラスポーツ支援が期待できる、今回のJALの取り組みに対して感謝の気持ちをコメントした。
■ロンドン発
・19日: 衣料メーカーのユニクロが記者会見を開き、国際テニス連盟(ITF)との間で、車いすテニス・ツアーの冠スポンサーとして協賛する3年間の契約を結んだと発表した。この契約により、6月24日に開幕するBNPパリバ・オープン(米国カリフォルニア)から2016年までの間に世界40カ国以上で行われる年間160を超える国際大会が「ユニクロ車いすツアー」という名称のもとに開催されることになる。会見には同社に所属する、男子シングルス世界ランキング1位の国枝慎吾選手も同席し、「ユニクロとともに車いすテニスを盛り上げ、拡大発展できるよう自分もレベルアップしたい」とコメントした。
■ドイツ発
・16日: 国際パラリンピック委員会(IPC)は、今年9月に迎える創立25周年を記念して、「パラスポーツでのお気に入りのシーンを選んで2016年リオ大会へ行こう!」キャンペーンを開始したと発表した。対象となるシーンはパラリンピック大会だけでなく、世界選手権や地域大会のほか、パラスポーツに関するものなら、試合以外のシーンからでも選ぶことができ、全応募者の中から抽選でリオ大会観戦5日間の旅がプレゼントされる。応募はIPC特設サイトで、7月25日まで受け付けている。
■フィンランド発
・12日: 国際パラリンピック委員会(IPC)のフィリップ・クレイヴン会長はフィンランド・ヘルシンキで開幕した、第6回IWG世界女性スポーツ会議の開会式に出席し、スピーチの中で、「IPCは将来的に、パラリンピック大会での参加者とメダル種目数について男女同数にすることを目標としている」と語った。
同会長はさらに、パラスポーツへの女性の参加を促進するため、2002年にIPCに女性スポーツ部会を設置して以来、多くの取り組みがなされたこと、16年のリオ大会では全選手の38%にあたる約1650人の女性選手が出場見込みであり、これは1996年アテネ大会に参加した女性選手の2倍にあたること、そして、女性のメダル種目数は全種目の43%を占め、これは12年ロンドン大会から12%増にあたるとつづけた。ただし、成長は本質的でなければならず、競技レベルの高い選手が十分いない段階で種目数をただ増やすことには意味がないとも話した。
(星野恭子)