ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

サッカーはゲーム!その最高峰のワールドカップで暗なってどないするねん!

 しばらくお付き合いいただきます、桂吉弥です。
 
 先日のコートジボワール戦は皆さんどこでご覧になってました?私は落語会「米朝一門会」が滋賀の野洲文化ホールでありまして、お昼2時開演で我々は12時に劇場に入ってということだったんですが……そうなると移動の車の中で観戦ということになるでしょ。
 
 早めに家を出た私はキックオフの10時にはホールの楽屋のテレビの前に座っておりました。普段ギリギリにしか来ない芸人のあまりに早い到着に皆さん驚いておられましたわ。
 
 本田が1点入れて、「うおー!」と叫ぶ私。しかしハイタッチする相手も無く、楽屋で一人ぼっちで喜んでおりました。ちょっと寂しかったなあ……。
 
 得点シーン以外は元気の無いジャパン、全体が前を向かない、目が輝いていない。私、自分の高校サッカー部の夏合宿の練習試合を思い出しました。暑い、しんどい、長い距離は走りたくない。25年前は水飲んだらバテるって飲ましてもらわれへんかったから、水のことしか考えてへん。「勝ち負けよりも何とかこの試合時間が過ぎていってくれへんかなあ」と考えてサッカーしてた。やらされてるサッカー。サッカーちゃうわ、罰ゲーム。
 
 サッカーはボールを使った戦争やとよう聞きません? 開幕戦のブラジル対クロアチア、ブラジル国歌を歌うセレソンは涙流したりしてホンマ戦争行くみたいな雰囲気やった。せやけど、やっぱりボールゲームやから。相手のゴールに球転がして放りこみたい、一人でバツーンとシュートもええし、何人かでパスつないでゴールに繋がったらもっと気持ちええ。やったことある人は知ってると思うけど、ボール一つで出来る最高の遊びやもん。
 
 ネイマールは遊んでた。戦争の雰囲気に周りがなってる中、ころころと転がしてシュートを決めた。銃で相手を仕留める雰囲気やない、空いてるゴールのすみにコロコロコロ。「サッカーって面白いやん」って背中が笑ってた。
 
 本田が決めた後に内田のゴールチャンスがありましたやろ。ペナルティエリアの中で一人交わしてシュート! あれも力任せにドーンと打たんと左側の空いてるとこにコロコロシュートなら入ってた。友達とフットサルやってるウッチーなら決めてたと思う。けどワールドカップやから「力一杯振り抜きました」ってなってもうた。本田のゴールのイメージを引きずってたんかなあ。
 
 後半にドログバが入ってきて、スタジアムも「とうとう出てきたで」という雰囲気になったんやろうなあ。滋賀県のホールの楽屋にも伝わって来たもん。そして失点。あそこでね、キーパーの川島が「ウオー」と叫んだんがテレビにアップになったんよ。その後につらーい顔して戻っていく森重と吉田麻也の顔が映った。ここでまた思い出したんですわ……夏合宿を!
 
「お前らこの試合負けたらダッシュ20本追加やぞ」って監督に言われたのに、ゴール決められた時の三年生キーパーと二年生バックスみたいな顔やん。川島が「おいシンジ、左サイドやばいから、しっかり頼むで」と言うてたんなら分かる。「ドログバやばいから、誰かマンツーマンつくか」とも言うてなかった、ただただ「ウオー」やった。あの感じは「おい、お前らが守れへんから、俺も罰喰ろうてダッシュ走らなアカンやんけ」のウオーやわ。川島ってあんな人なんかな、それともキーパーって試合中そういう性格になってしまうのか。
 

 ゲームなら、あの失点の瞬間に笑うヤツが一人はおったと思うねんなー「やっぱりドログバや、すげーな」って。「ほんまや空気変ったな」って。ほんで会話が始まるでしょ「ドログバに一応マンツー行っとく?」「せやな」「俺きついから、お前ら頼むわ」「キツいってなんやねん阿呆のシンジ!(笑い)分かった分かった、そのかわりお前もうちょい前線でボールキープしてくれよ」「了解」「で、お前もっと走れよ」「バレたか(笑)」「ドログバ止めたら帰りにアイスおごってや」「よしっ、マクドおごったるわ」「マジ!?よっしゃ本気だそう」「いままで本気ちゃうかったんかい!」
 
 こんな会話は行き過ぎにしても(高校時代の記憶とごちゃ混ぜになりましたスンマセン)キーパーがウオーと叫んで、あとの人間が黙ってるってこりゃ『サッカー』やない。
 
 ワールドカップに行ってんのに罰ゲームしてるのかザックジャパンは。
 
 ザックもあせったのか本田、香川、岡崎のポジションチェンジを指示したり、吉田を前線に上げたり……。その時も選手同士の会話はあったんやろうか? 1点負けてるんやから点を取らなくてはいけない。
 
「俺らの足が止まってるからか」「そうや、ザンビア戦みたいな一発ロングフィードから大久保さん決めた、あのイメージちゃう」「よっしゃザックの作戦に乗ったろか」なんて会話は無かったやろうなあ。
 
 会話が無いのがアカン!川島が怒ってバックスたちが暗ーい顔、二度と見せるなワールドカップであんな顔。
 
 失点されたら「アカンやん」ってニヤリと笑って「ここがアカンかったなあ」「これやったらええやん」ってどんどん会話して、もう1点取ればエエんや。ザックジャパンの楽しいサッカー見せてくれ。
 
 サッカーはゲーム、ワールドカップはそのボールゲームの最高峰。関西人が多いザックジャパンに、よう喋る、おもろいサッカーを期待しております。
 
(桂 吉弥)
PHOTO by copa2014.gov.br (Brazil beat Croatia in World Cup opening match) [CC-BY-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by/3.0)], via Wikimedia Commons
Brazil and Croatia match at the FIFA World Cup 2014-06-12