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W杯日本代表敗戦緊急寄稿!「自分たちのサッカーができなかった!?」なんて甘えた言葉はイイカゲンにしろ!

 昨日、オプエドに玉木ノーボーダースポーツ編集長の代役で2度目の出演。ま、日本の敗戦について語らずにはいられなかった。そこで、語ったことを、書き残しておく。
  
 競技の解説は専門家に譲るとして、違和感を感じたのは、敗戦後の選手達の「自分達のサッカーができなかった」というコメントだった。
  
 何じゃこりゃ?でしょ。アマちゃんそのもの!アマちゃん丸出しじゃんか!
 それをまた、メディアがまた取り上げるからなあ・・・・。そんなコメントしている国ある?
  
 第一に「自分達のサッカー」ができたかどうかは、勝敗にほとんど関係ない。敗因ですらないのだよ。
 
 4年前を思い出して欲しい。初戦のカメルーン戦での勝利を。本田のワン・トップって見たことがあったか?あんなどん引きサッカーをしたことがあったか?あの勝利は「自分達のサッカー」を封印したリアリズムによってもたらされたこと。メディアも忘れたのかな?(そんなに昔のことか?)
 
 実際、今回のゲームの前半はそうだったでしょ。大迫のワントップに、遠藤抜きの長谷部と山口のダブル・ボランチって、これまで見たことある?あれは「前半は自分達のサッカー」を封印しても「前半無失点」を優先したってことだろ?
 
 それが思いがけない本田の得点(あのプレーだけ観れば、本田は確かにワールドクラスだ)。
「0−0」のつもりが「1−0」で計算以上の結果だった。ここまではいい。
 
 問題は後半。「1−0」では持たないと判断して「2−0」にしてゲームにフタをしようとして、遠藤を入れた。これも悪い判断ではない。ただ、これをドログバが出る前に達成しておきたかった。
 
 だから長谷部のシュートを決めなかった時に、解説の岡田が「これは後で効いてくる」と言ったんだ(この程度はサッカー記者なら分かってね)。
 
 相手のラムーシ監督も前半はドログバを温存した。つまり前半は「自分達のサッカー」を封印した。後半の残り30分で日本の足が止まることは、世界のサッカー界に知られていたんだろう(2006年のヒディングがそれを実証した。それは今もって解消されていない。これが解決されずに「自分達のサッカー」もへったくれもあるか!)。
 
 前半、周りが動かないので、「ヤヤトウーレ」が機能していない、と岡田は指摘していた。そのチームがドログバが入ってガラッと変った。コートジボアールは「最も効果的な時間帯に、自分達のサッカーを開始した。それがあの結果となった。
 
 防ぐ方法が無かった訳ではない。が、最もやってはいけないプレーをした。それも本田だった。彼は後半だけで、センター付近で二回も背後からボールを取られた。これは注意力散漫以外の何物でもない。このプレーは世界のトップでは許されない。だからACミランは本田を使わないし、あの温厚なカカが激怒した(実際にリーグ戦で本田は何回も散漫なプレーでとられている)。
 
 いい時のプレーは世界的だが、悪い時のプレーが致命的。これに本田は気づいていないのだろうか? 誰も彼に云わないのだろうか?不思議なことだ。
 
 とにかく、選手の気持ちに同調しすぎて、冷静な分析ができずに情緒に流された分析は、プロの名に値しない。これだけは言えるな。
 
 ところで、次の対ギリシア戦にも負けたら……日本のメディアは、またまた情緒的に、ザッケローニ・バッシングを開始し、勝ったら……またまた情緒的に、ザッケローニと「日本のサッカー」を絶賛するのだろうか? そんなことでは、それこそ、日本のサッカーの成長につながらないはずだが……。
 
(広瀬一郎)