ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(269) アメリカで歴史的な名称変更。「米国オリンピック・パラリンピック委員会」が誕生!

先週金曜、NBAドラフトで八村塁選手がワシントン・ウィザーズから1巡目全体9位で指名される快挙というニュースが届きましたが、実はパラスポーツ界でも同じくアメリカ発の歴史的ニュースが発表されました。なんと、アメリカ・オリンピック委員会(USOC)が6月20日の理事会において全会一致で承認し、その名称をアメリカ・オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)に変更するというニュースです。つまり、オリンピックとパラリンピックを一つの組織の両輪として統括するということであり、これは国際パラリンピック委員会(IPC)が推進するパラリンピック・ムーブメントにおいてはかなり画期的な取り組みになります。

IPCの記事によれば、オリンピックとパラリンピックが同一組織で管轄されている国はアメリカを含め4つしかなく、もともと別組織だったものの後年に統一されたというケースはアメリカが史上初のようです。

例えば、日本では2014年にパラリンピックの所管がオリンピックと同じ文部科学省に移管されるなど以前より連携は進んでいるものの、日本オリンピック委員会(JOC)と日本パラリンピック委員会(JPC)は異なる組織として活動し、選手もそれぞれに所属しています。

USOPCのスーザン・ライオンズ委員長は、この決定について、「アメリカのスポーツ界において誇るべき日であり、私たちの包括性への取り組みを代表するもの」とコメントしています。これからはオリンピック選手もパラリンピック選手も全員が「Team USA」の名のもとに活動することになり、また、ロゴマークやホームページなどはすでに一元化され、オリンピックトレーニングセンターもオリンピック&パラリンピックトレーニングセンターに変更されます。

このニュースにアメリカのパラリンピアンたちは一様に喜びの声を上げていますし、IPCのアンドリュー・パーソンズ会長も、「この名称変更は、アメリカが本当の意味でオリンピックとパラリンピックを並列で推進していくという決意の表明だ」と歓迎し、「2028年ロサンゼルス大会やそれ以降におけるパラリンピック発展にもつながるもの」と期待を寄せています。

スポーツ大国、アメリカによる画期的な決断は今後、パラリンピックの発展にどう貢献し、どのように他国にも影響を及ぼしていくのでしょうか。前向きな期待とともに、興味深く見守っていきたいと思います。

▼参考記事: ”Historic name-change for USOC”
https://www.paralympic.org/news/historic-name-change-usoc

(文:星野恭子)