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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(267) アーチェリーの4選手が東京2020パラへの出場枠獲得!など、パラ選手が国内外で躍動

東京2020大会まで、あと1年あまりとなり、代表選出をかけた戦いも含め、国内外でパラスポーツ大会が連日、開催されています。6月上旬に行われた大会からほんの一部をピックアップし、それぞれの主な結果とともに、パラアスリートたちの活躍をまとめました。

なお、下記に列挙する大会結果のデータは、私が大会を現地取材して得たものに加え、各大会や関連する各競技団体のホームページやSNS等を参照して得た内容も含まれています。ご了承ください。

ところで、東京パラリンピックの代表となるための選考条件は各競技によって異なります。例えば、指定大会での順位や世界ランキング、国際大会での累積ポイントなどです。ただし、全競技で共通事項があります。競技ごとの条件をクリアし、「出場枠」を得た選手は現時点では、あくまでも「代表候補選手」です。団体競技の場合もチームとして「出場権」を得て、日本代表選手に選ばれている場合でも、選手個人はまだ、「代表候補選手」です。

パラリンピックでは最終的な「代表選手決定」について、オリンピックとは異なる手続きとなっています。基本的には各競技団体が代表候補選手を日本パラリンピック委員会(JPC)に推薦し、JPCが編成方針や選手選考基準に従って改めて選考し、「日本代表選手」として決定されます。(推薦期間は未発表。おそらく来年春~夏頃の見込み)

JPCは今年6月6日付で、「東京2020パラリンピック競技大会日本代表選手団編成方針及び選手選考基準」を発表しています。詳細は下記のリンクをご参照ください。
(参考)
http://www.jsad.or.jp/paralympic/news/%E6%9D%B1%E4%BA%AC2020%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E9%81%B8%E6%89%8B%E5%9B%A3%E6%B4%BE%E9%81%A3%E6%96%B9%E9%87%9D%E5%8F%8A%E3%81%B3%E9%81%B8%E6%89%8B%E9%81%B8%E8%80%83%E6%96%B9%E9%87%9D.pdf

<国際大会>

【アーチェリー】 世界選手権大会/6月3日~9日@オランダ・スヘルトーヘンボス
東京2020パラリンピックへの出場枠がかかった重要な大会で、男女個人、団体など各種目が行われた。W1オープンMIX(車いす、混合)で仲喜嗣・岡崎愛子ペアが銅メダルを獲得。リカーブ男子オープン個人で上山友裕が6位、同女子で重定知佳が9位になるなど健闘。また、リカーブオープンで団体では、日本男子(上山、長谷川貴大、小野寺公正)は8位、女子(平澤奈古、永野美穂、篠原彩)が6位に入った。

これらの結果、下記4選手がそれぞれ「東京パラリンピック出場枠」を獲得し、「代表候補選手」として後日、JPCに推薦される予定となった。

■リカーブオープン=男子: 上山友裕/女子: 重定知佳
■W1オープン=男子: 仲喜嗣/女子: 岡崎愛子

【車いすテニス】 全仏オープンテニス・車いすの部/6月6日~8日@パリ・ローランギャロス
テニスの4大大会の一つで、車いすテニスの部も実施されている。男女シングスには世界ランキング上位7名とワイルドカード1名による8選手が、今大会から実施されるようになったクアードクラス(四肢障害、男女混合)には世界ランキング上位3位とワイルドカード1名による4選手だけが出場できる権威ある大会である。それぞれダブルスも実施されるが、シングルス出場者の中でペアをそれぞれ組むことになっている。

日本からは3選手が出場。世界ランキング男子シングルス1位の国枝慎吾はシングルスでは準決勝でフルセットの末、惜しくも敗れたが、G・フェルナンデス(アルゼンチン)と組んだダブルスでは優勝を果たした。

また、同女子シングルス2位の上地結衣はシングルスで準優勝。クアードクラス世界ランク3位で初出場した菅野浩二はシングルスで3位、ダブルスではY・シルバ(ブラジル)とのペアで2位となった。

(*国枝慎吾と上地結衣は昨年10月にジャカルタで開催されたアジアパラ競技大会でそれぞれシングルス優勝を果たしたことにより、「東京2020パラリンピック出場枠」を獲得し、「代表候補選手」となっている。)

<国内大会>

【陸上】 2019日本ID(知的障害)陸上競技選手権大会/6月1日~2日@熊谷スポーツ文化公園 陸上競技場 (埼玉県熊谷市)
知的障害のあるアスリートによる日本一決定戦。赤井大樹が男子1500mで3分59秒83をマークし、日本新記録を樹立、古屋杏樹が女子800mで2分19秒30の日本新、アジア新を記録したほか、大会記録も多数更新されるなど好記録にわいた。

全レース結果:
https://docs.wixstatic.com/ugd/567d89_133a431f71924083a73baaa9ab5682a6.pdf

【ブラインドサッカー】 第18回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権
予選ラウンド1/6月1日(土)~2日(日)@東京会場 (港区立港南小学校・中学校グラウンド)
予選ラウンド2/6月8日(土)~9日(日)@福島会場 (十六沼公園運動場)

史上最多となる全22チームが参加して、初めて2会場に分かれて行われた予選ラウンドと準々決勝を経て、7月7日(日)に開催予定のFINALラウンドへの出場チームが決定した。

決勝戦: freebird mejirodai (東京) 対 埼玉T.Wings
3位決定戦: buen cambio yokohama (神奈川) 対 兵庫サムライスターズ

なお、FINALラウンドは一部の無料エリアを除き、有料席制で開催される。

大会サイト: http://axa-bravecup.b-soccer.jp/
チケット: http://axa-bravecup.b-soccer.jp/ticket/

【水泳】 第22回日本知的障害者選手権水泳競技大会/6月9日@横浜国際プール(横浜市)

知的障害のあるスイマーたちによる日本一決定戦で、個人17種目と混成リレー2種目に男女合わせて19種目に約400選手が出場。芹沢美希香が50m平泳ぎ(36秒35)、100m平泳ぎ(1分20秒13)で、山口尚秀が50m背泳ぎ(29秒21)の日本新を更新するなど、多くに新記録が誕生。

また、大会中、下記の国際大会に出場する日本代表選手の壮行会も行われた。

2019世界パラ水泳選手権大会 (9月9日~15日/ロンドン)
男子: 田中康大、東海林大、中島啓智、山口尚秀
女子: 北野安美紗、芹澤美希香
2019世界パラ水泳選手権大会代表選手たち。前列は左から選手を激励に訪れた、東京オリンピック・パラリンピック担当大臣の鈴木俊一大臣と日本知的障害者水泳連盟の佐野和夫会長 撮影:星野恭子

INAS(国際知的障害者スポーツ連盟)グローバルゲームズ・ブリスベン2019 (10月12日~19日/オーストラリア・ブリスベン)
男子: 加古敏矢、鴨弘之、坂倉航季、高柳春貴、津川拓也、林田泰河、宮崎哲、村上舜也
女子: 井上舞美、木下萌実、福井香澄、渡邉麗美
INASグローバルゲームズ・ブリスベン2019代表選手たちと、前列は同上 撮影:星野恭子

(文・写真:星野恭子)