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激闘の勝敗を分けたのは、ほんのわずかなメンタリティの差!【日本電動車椅子サッカー選手権予選大会】

「第20回日本電動車椅子サッカー選手権 北海道・関東ブロック予選大会」が、6月7日(土)、7チームが羽村スポーツセンター(東京都)に集結して無事に開催されました。
 
 東北・北海道エリア唯一の札幌のチーム「Safilva」もこの関東ブロック予選大会に参戦しました。例年はこの予選大会で勝ち上がった3チームに、秋に開催される日本選手権大会への出場権が与えられています。今年度は東北・北海道エリアの枠が一つ加わり4チームに出場枠が広がりました。
 
 決勝では私の予感が的中し、私が監督を務める前年度日本選手権優勝チームのYokohama Crackersと3位のレインボー・ソルジャーが記憶に残る壮絶な好ゲームを演出しました。
 
 前半は終始レインボー・ソルジャーのペースで試合が進み、Yokohama Crackersが、何とかその攻撃を凌ぐ展開が続きました。
 
 後半になっても前半と同じ流れで、圧倒的にレインボー・ソルジャーがボールを支配し、優位に試合を運びました。その圧力に打ち負かされ、Yokohama Crackersは、先制点を奪われる苦しい試合状況に陥りました。そこからドラマチックなエンディングに向けて試合が動き出しました。
 
 残り時間が少なくなりYokohama Crackersはリスクを冒して攻めるしか策はありません。右サイドのポジションにいた竹田選手は、自身の判断によりキーパーの位置に下がり、それまでキーパーを務めていた若手のホープの紺野選手を前に上げました。
 
 このベテラン選手ならではの戦術眼により、試合の流れが大きく変わり始めました。
 
 一点を守る気持ちが強くなるレインボー・ソルジャーに対して、必死に追いつこうとするYokohama Crackers。この両者の試合展開が及ぼす精神状態の 差が大きく試合結果に影響しました。
 
 残り時間およそ5分。ついにYokohama Crackersの執念が実り、同点弾がゴールに突き刺さり試合がふりだしに戻りました。Yokohama Crackersは攻撃の手を緩めることなく攻め続け、試合終了間際に絶好の位置でフリーキックのチャンスを得ました。
  
 その絶好の機会を逃すことなく、試合を決定づけるゴールを奪いました。
 
 そのまま試合は終了。2年連続でYokohama Crackersが1位の座を勝ち取りました。
 
 昨年Yokohama Crackersが予選で1位になるまでは、レインボー・ソルジャーが他のチームを圧倒して長年1位の座を防衛し続けていました。
 
 その均衡を、昨年PK戦の末に勝利したYokohama Crackersが打ち破りました。PK戦の勝利に関しては単純に運が良かっただけという見解もあると思います。しかし今年度のYokohama Crackersは、窮地に追い込まれながらも、逆転して勝利を収めました。
 
 そこから何が見えるかというと、やはり日本一のチームとして予選では絶対に負けられないという「断固たる決意」がYokohama Crackersの各々の選手にあったことです。勝負にかける強い想いのほんの僅かな差が、勝者と敗者を分けたのではないでしょうか。
 
 出場した全チームが最後まで必死に日本選手権への出場権を掴み取るために戦い抜きました。非情にも、やはり今年度も戦前の予想通り、過去に日本選手権に出場した経験がある4チームが順当に出場権を勝ち取りました。
 
 今回敗れ去った3チームの選手には決してこの悔しさを忘れることなく、来年度に向けて再始動していってほしいと思います。諦めない限り、そのチャンスは常に目の前に平等に存在しているのですから。
 
 そして、この素晴らしい闘いを、これからもっと、一人でも多くの人に、見ていただきたいと思います。
 
《試合結果》
1位 Yokohama Crackers(神奈川県)
2位 レインボー・ソルジャー(東京都)
3位 FINE(東京都)
4位 Yokohama Bay Dream(神奈川県)
5位 BLACK HAMERS(埼玉県)
6位 ウイニングフェニックス(千葉県)
7位 safilva(北海道)
 
(平野誠樹)
写真:イメージ
PHOTO by Majmule (Own work) [Public domain], via Wikimedia Commons