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星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ(34) 5.21~6.4

 国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今年は多くの競技が、夏に世界選手権、10月にアジア選手権を控えます。6月はそれぞれの目標を胸に予選大会や遠征など海外でがんばるパラアスリートも多いです。
 
■車いすテニス
・5月26日: 国別対抗戦「ワールド・チーム・カップ」がオランダで開幕した。日本からはワールドグループ男子(三木拓也、齋田悟司、眞田卓、藤本佳伸)、同女子(上地結衣、二條実穂、堂森佳南子)、クアード(⇒註)(諸石光照、川野将太、平田真一)の3チームが出場。
 
⇒クアード(四肢まひ): まひなどの機能障害が3肢以上にみられる重度障害の人のクラス。オーバーハンドサービスができない人、手動車いすの操作に支障がある人、ラケットを握るのに支障があるためテープで固定したり、補助具を使う必要のある人など、障害の内容や程度には個人差が大きい。男女の区別はなく1クラスとして実施される。
 
・31日: 準決勝が行われ、男子はフランスに0-20-2で敗れ、翌日の3位決定戦に回った。女子はオランダに0-3で敗れたが、3位決定戦で戦う予定だったドイツがケガ等で棄権したため、不戦勝で銅メダルが確定した。クアードはイギリスに0-2で敗れ、つづいて行われた3位決定戦ではイスラエルに1-2で敗れ、4位となった。
 
・6月1日: ワールド・チーム・カップ最終日。男子は3位決定戦でイギリスに1-2敗れ、4位に終わった。なお、男子は開催国オランダを2-0で下したフランスが、大会3連覇で通算6回目の優勝を果たした。女子はオランダがイギリスを2-1で下し通算27勝目を挙げた。クアードはイギリスがアメリカを2-1で退け、通算4度目の優勝を決めた。
 
・4日: 全仏オープン車いすテニスの部がスタート。日本からは国枝慎吾、三木拓也、上地結衣の3選手が出場する。シングルスは国枝と上地がそれぞれ第1シードにランクされている。ダブルスでは国枝は三木とのペア、上地は英国のジョーダン・ホワイリーと組み、頂点を目指す。
 
■車いすバスケットボール
・6月2日: イギリスのウスター大学を舞台に男子3カ国交流戦「コンチネンタル・クラッシュ3」が開幕。参加国は日本、イギリス、オランダで、3カ国とも7月に開催される世界選手権(韓国インチョン)への出場権を得ている。交流戦は5日まで行われる。初日はイギリスがオランダと2試合を行い、2勝を挙げた。日本は3日から登場する。
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【日本男子代表チーム(前列左から)藤井新悟、森紀之、川崎皓也、石川丈則、佐藤聡、豊島英、(中列左から)千脇貢、土子大輔、宮島徹也、藤本怜央(キャプテン)、香西宏昭、永田裕幸、(後列左から)杉山美穂マネージャー、眞田崇トレーナー、室田智トレーナー、及川晋平ヘッドコーチ=東京体育館、5月18日/撮影:星野恭子】
 
・3日: 日本は「コンチネンタル・クラッシュ3」の初戦でオランダに57-69、つづく2戦目は地元イギリスに48-71と連敗した。
 
■ドイツ発
・6月3日: 国際パラリンピック委員会(IPC)は5月度の最終選手賞「アスリート・オブ・ザ・マンス」(⇒註)にノミネートされた5選手を発表。日本の車いすテニスプレイヤー上地結衣もリストアップされた。最優秀選手は一般投票で選ばれる。投票は、10日12時(日本時間10日19時)まで、IPC公式サイトのトップページで受け付けている。

(⇒註)アスリート・オブ・ザ・マンス:ノミネート選手は該当月の競技実績などをもとに、各国パラリンピック委員会と各国際競技団体の推薦によって選出され、翌月の初旬に一般投票が実施される。
 
5月度のノミネート選手5名は下記の通り。
■上地結衣(車いすテニス):
 ジャパンオープン(福岡県飯塚市)で優勝し、日本の女性選手として初めて世界ランク1位に輝いた。現在20歳。
■M.ベルブート(陸上競技/ベルギー):
 故障復帰後のIPCグランプリ・ノットヴィル(スイス)大会で、T52(車いす)クラス女子の800mと5,000mレースでヨーロッパ新記録を樹立。
■A.デービース(陸上競技/英国):
 IPCグランプリ・グロッセト(イタリア)大会で、F42(大腿切断)クラス男子の円盤投げで48.69mをマークし、世界新記録を12年ぶりに更新。
■D.ペンダー(車いすフェンシング/ポーランド):
 IWAS(国際車いす・切断者競技連盟)主催車いすフェンシング・グランプリ・モントリオール(カナダ)大会で、男子Aカテゴリーで自身10カ月ぶりに世界タイトルを獲得、世界ランク1位にも返り咲いた。
■M.ディスパルトロ(ボッチャ/カナダ):
 BISFed(ボッチャ国際スポーツ連盟)主催の2014ワールド・オープンモントリオール(カナダ)決勝戦で、ブラジル選手との一進一退の激戦を制し、金メダルを獲得した。
 
■陸上競技
・5月21日: 車いすのトラック競技大会、ダニエラ・ユッツェラー・メモリアル大会(スイス・ノットヴィル)で、小西恵子がT53女子200mで自己新となる32秒54をマークし、優勝した。100mでも18秒52で2位、400mは4位だったが1分03秒97の自己新をマーク。小西は10月のアジア選手権への標準記録突破を目指していたが、今大会で3種目すべて達成した。
 
 また、T53-54男子1,500mでは樋口政幸が3分0秒4で2位に入った。優勝は世界王者のマルセル・フグ(スイス)でタイムは2分59秒25だった。
 
(文・写真:星野恭子)