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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(262) 東京の名所を巡る、東京パラのマラソンコース決定!/パラスポーツを観にいこう!(5月度編)

まもなく大型連休。オプエドも祝日にあたる4月29日、5月6日がお休みとなります。こちらのコラムも休刊となるため、今号は前半で「東京パラリンピックニュース」を、後半で「パラスポーツを観に行こう~5月編」という2つのテーマをまとめてお届けします。

まずは、東京パラリンピック関連のニュースから。日本勢のメダル獲得も期待される、2020年パラリンピックでの陸上のマラソンコースが決定したことが4月8日、大会組織委員会から発表されました。

昨年年5月に発表されたオリンピック同様、新国立競技場を発着とする42.195㎞のコースで、日本橋から浅草・雷門前を通り、銀座や新橋を通り、東京タワーそばの増上寺付近で折り返し、皇居外苑など都内の名所を巡るコースです。パラリンピックのマラソンコースがオリンピックと全く同じコースで行われるのは2008年の北京大会以来3大会ぶりとなります。東京パラリンピックのマラソンコースを発表する(左から)室伏広治氏、西田宗城(ひろき)選手、増田明美氏 (撮影:星野恭子)

さまざまな障害の選手が参加するパラリンピックでは、足元が見えない、見えにくい選手や競技用車いすで走るといった競技特性などを考慮して急なカーブや凹凸のある石畳などはできるだけ避けることが望ましく、2012年ロンドン大会や2016年リオ大会では一部のコースでオリンピックとは異なるルートが使われました。

2020年大会のマラソンでは男女視覚障害クラス、男女車いすクラス、男子上肢障害クラスの計5クラスが実施されます。オリンピックのコースをベースに道路の幅や安全面なども検討したうえで、最終的に国際パラリンピック委員会や世界パラ陸上(連盟)の承認も受けて同じコースで決定したそうです。

組織委の室伏広治スポーツディレクターは、「オリンピックスタジアムをスタートし、渋谷、新宿、文京、千代田、台東、港、中央の全7つの区を回り、オリンピックスタジアムに戻ってくる全長42.195㎞のコース。ロンドン、リオ大会は周回コースを基調としていたが、東京(大会)では広域をわたって東京の街を駆け抜ける、パラリンピックのマラソンでは類をみないダイナミックなコース設定」とPRしました。東京マラソンコース全図とコース高低差図(左上) (画像:Tokyo 2020提供)

日本パラ陸上競技連盟の増田明美会長はマラソン日本代表としての経験も踏まえ、「オリンピックと全く同じコースで行われるのは選手には喜びでしょう。とくにスタジアムの大観衆の中でフィニッシュできるのは頑張った選手のご褒美のよう。また、視覚障害や車いすの選手にとって重要なのは道幅が広く、路面滑らかで走りやすいこと。過去大会に比べて最高に走りやすいコースではないでしょうか。日本が誇れる部分」と歓迎しました。

さらに、車いすマラソンの西田宗城(ひろき)選手は、「スタートとフィニッシュがオリンピックスタジアムというのは、選手としていちばんモチベーションが上がる。まだ、走れるか決まっていないが、今からワクワクしている」と話し、これからの代表選考にもさらに気合が入った様子。

終盤の37㎞付近から3㎞で約33m登る坂があり、とくに車いす選手には厳しいと思われるコース設定ですが、平坦すぎるとスピード勝負になりますが、起伏があるからこそ、さまざまな駆け引きも加わり、勝負の行方が最後まで分からない「面白いレース」になる可能性も大いに期待されます。

西田選手も、「車いす競技の特徴はスピード感。下りでは時速50~60キロになります。(東京大会では)スタート直後は高速で走り抜け、中盤はコーナーも多く、駆け引きの魅力を感じてもらえるし、ラストの登りではハンドリムを一生懸命叩く選手の姿を沿道から間近で見てもらえるのでは思います」と力強く話しました。

また、リオ大会の視覚障害女子クラスで銀メダルを獲得している道下美里選手も日本パラ陸連を通してコメントを発表。「比較的きれいなアスファルト舗装で、同じコースを往復する部分も数カ所あり、ブラインドランナーにとって走りやすいコース。オリンピックと同じ大都市の公道を疾走する姿を想像するだけで胸が熱くなります。パラリンピックの最終日、たくさんの方々と感動を共有できることを心から願っています」

なお、東京パラリンピックのマラソンは大会最終日の2020年9 月6日に全5種目が行われる予定です。スタート時間は午前7時で最終調整が進められています。暑さ対策から、オリンピックでは午前6時スタートに変更されましたが、パラアスリートの中には早朝での準備が難しい選手もいるなど選手の声も聞きながら検討が続いているようです。続報が入りましたら、またお伝えします!

11連覇達成? 阻止するチームが出現?

<5月の見逃せない一戦!> 
天皇杯 第47回日本車いすバスケットボール選手権 決勝戦
→5月12日(日)15時30分(予定)から、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京・調布市)にて

チャンピオンには天皇杯も授与される日本一のクラブチーム決定戦です。4月中に行われた東日本と西日本での予選会の上位3チームと、昨年の優勝、準優勝チームを加えた全8チームしか出場できない国内最高峰の大会です。

昨年大会では、宮城MAXが前人未到の10連覇を達成し、絶対王者として君臨していますが、ここ2大会の決勝戦はNO EXCUSE(東京)を相手にかなりの大接戦となっています。一昨年は55-52、昨年は延長戦にまでもつれ、88-78でMAXが振り切りました。

今年もまた、MAXが王座を守るのか、果たして他のチームが覇権を奪うのか、注目です。NO EXCUSEはもちろん、過去2連続で3位になっている、埼玉ライオンズも今年は国内大会で何度も優勝するなど好調です。

入場、観戦は無料です。注目の一戦をぜひ、会場でご覧ください!

大会日程: 2019年5月10日(金)~12日(日)
会場: 武蔵野の森総合スポーツプラザ (東京・調布市)
参考: https://www.jwbf.gr.jp/game/championship_man/47th/

5月開催予定の主なパラスポーツ大会

■5月18日(土)~19日(日)
【パラトライアスロン】 2019世界パラトライアスロンシリーズ横浜大会
世界シリーズは、パラリンピックにつぐステータスのシリーズ戦。
横浜大会は年間3回開催のうちの1戦で、世界各地からトップランカーが集結!
18日にはパラ・エリート部門が、19日にはパラ・エイジ部門が行われる。

会場: 山下公園周辺特設会場 (横浜市)
参考: http://yokohamatriathlon.jp/wts/

■5月23日(木)~26日(日)
【シッティングバレーボール】 シッティングバレーボールチャレンジマッチ2019
下肢に障害のある選手を対象に、お尻を床につけた状態で行うシッティングバレーボールで、東京2020パラリンピックでは千葉・幕張メッセが会場となっており、日本男女の開催国枠での出場が決定している。

今大会は千葉市で初めて開催される国際大会。日本、中国、カナダ、イタリアという4カ国の女子代表チームによるラウンドロビン(予選リーグ)と順位決定戦が行われる。25日、26日は各種パラスポーツ体験会やステージイベントなども開催。

会場: 千葉ポートアリーナ (千葉市)
参考:  http://www.city.chiba.jp/sogoseisaku/opsuishin/opchosei/sv-challengematch2019.html

(文:星野恭子)