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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(253) ブラインドサッカー、ビッグゲームが続々開催! あっと驚くパフォーマンスを会場でぜひ!

目隠しをして視覚を完全に遮断して行うブラインドサッカーの大会が2月から3月にかけて続きます。今号では、その第1弾として2月10日に行われた、「KPMGカップ ブラインドサッカークラブチーム選手権2019」の結果リポートと、これから開催を控える2つの国際大会、女子日本代表戦の「ノーマライゼーションカップ」(さいたま市)と男子日本代表が出場する「ワールドグランプリ2019」(東京都品川区)のプレビューをお届けします。

日本代表の2枚エースが直接対決!~クラブチーム選手権大会

まず、「クラブチーム選手権」は毎年、ブラインドサッカーの国内7チームと海外招へいチームの計8チームによって競われる大会で、9回目となった今年は、昨年8月から12月に行われた国内4つの地域リーグ(北日本、東日本、中日本、西日本)で上位に入った7チームと、韓国の「プラミスランド ブラインドサッカーチーム」が頂点を争いました。2月9日が悪天候で中止となったため、スケジュールを変更して1日での開催となったなか、決勝戦でたまハッサーズ(東日本リーグ1位)が連覇を狙ったAvanzare(アヴァンツァーレ)つくば(同3位)を1-0で退け、7年ぶり2度目の優勝を果たしました。クラブチーム選手権2019を制し笑顔のたまハッサーズの選手とスタッフ (撮影:星野恭子)


前日の降雪から一転、冬晴れのもとで行われた決勝戦は序盤から両チームの闘志あふれる攻防が繰り広げられたなか、前半10分、日本代表エースでもある、ハッサーズの黒田智成選手が左へのドリブルから得意の左足で鮮やかなシュートを決めて先制。アヴァンツァーレも、日本代表主将の川村怜選手を中心に攻撃を仕掛けるものの、ハッサーズが1点リードのまま逃げ切りました。たまハッサーズ優勝の立役者、黒田智成選手(左)。ともに日本代表エースとして活躍する、Avanzareつくばの川村怜選手(右)の守備を振り切り、ゴールを目指す (撮影:星野恭子)

ハッサーズは黒田選手のほか、田中章仁選手や日向悟選手ら日本代表を抱える強豪で、代表合宿などで培った華麗なパスサッカーを随所で見せるなど、東日本リーグを無敗で制した強さを見せつけました。ブラインドサッカーのピッチはサイドライン上に立つ高さ約1mのフェンスが特徴。ボールや選手がピッチ外に飛び出すのを防ぐほか、選手が触って位置を確認したり、また、「壁際の攻防」も見ごたえがある (撮影: 星野恭子)

黒田選手は準決勝での4得点を含め、3試合で計6点を挙げ、最優秀選手賞にも選出されました。決勝点となったゴールについては、「長いドリブルからのシュートは得意なプレーの一つ。決められてよかった」と振り返り、「各試合で異なる相手に対し、イメージ通りのゴールを決められ、自信がついた」と話しました。勝因については、「(日本)代表ではない選手も含めて、試合状況や展開に応じてメンバーを入れ替えながら決勝まで行った。みんなでつかみ取った優勝」と喜びを語りました。ブラインドサッカーでは国内特別ルールとして男女混合を採用。女子の日本代表経験のある、ハッサーズの斎藤舞香選手も激しいプレーで選手権優勝に貢献 (撮影: 星野恭子)

惜しくも敗れたアヴァンツァーレの川村選手は、「ワンチャンスをトモさん(黒田選手)に決められた。あの一本を防いでいれば、何かが起こったかもしれない。僕もチャンスが何本かあったので、しっかり決めていれば結果は違っていたと思う。チームとして、内容では満足できる戦い方ができた」と振り返りました。

川村選手も3試合で4得点。決勝でもハッサーズゴールをたびたび脅かした川村選手について、黒田選手は、「(日本代表として)味方だと頼もしい選手だが、敵に回すと怖い存在。わずかなチャンスを逃さず、シュートを打ってくるのはさすがだと思った」と称え合いました。

3位決定戦は、韓国のプラミスランドブラインドサッカーチームがfree bird mejirodai(フリーバード・メジロダイ)を1-0の接戦で下しました。韓国の監督は、「大会が1日になって調子を上げきれず、本来のプレーがなかなかできなかったが、銅メダルを獲得できてよかった」と話しました。

さて、現在、日本ブラインドサッカー協会に加盟する国内のクラブチームは20チーム。この先は、毎年6月から7月に開催される日本選手権に向けて練習を続けていきます。

女子の国際大会も!~さいたま市ノーマライゼーションカップ2019

ブラインドサッカーは日本国内では特別ルールにより男女混合で行われていますが、正式には男女別に行われる競技で、パラリンピックでは現在、男子のみが実施されています。

女子選手は世界的に見てもまだ少ないのですが、オリンピック同様、パラリンピックでも、「男女の機会均等」が叫ばれ、ブラインドサッカーを統括する国際団体、「国際ブラインドスポーツ協会(IBSA)」はブラインドサッカーがパラリンピック競技として継続できるよう、女子選手の発掘や普及にも努めています。
2月23日(土)開催予定の「さいたま市ノーマライゼーションカップ2019」のポスター。中央はエースとして活躍が期待される、日本の菊島宙(きくしま・そら)選手 (画像提供:日本ブラインドサッカー協会)

2017年5月にはようやく、IBSA主催の第1回女子トレーニングキャンプがオーストリア・ウィーンで開催され、日本を含む16カ国から75名の選手とスタッフが参加。最終日には試合も行われ、日本代表が初代女王に輝いています。

今年はその女子トレーニングキャンプの2回目が2月21日から22日にかけて日本で行われる予定で、10カ国から27名の選手とスタッフが参加予定です。

キャンプ後の23日(土)には日本女子代表とIBSA世界選抜チームが戦う国際親善試合「さいたま市ノーマライゼーションカップ2019」がサイデン化学アリーナ(埼玉県さいたま市)で開催されます。世界選抜チームはキャンプに参加した選手から編成されます。試合は14時キックオフで、誰でも無料で観戦できます。世界の女子選手をチェックするチャンスです。

日本代表チームは以下の通り。昨年2月の同カップ戦でアルゼンチン選抜と対戦して以来の国際大会となります。ぜひ、応援ください!

▼女子日本代表メンバー
FP: 加賀美和子(buen cambio yokohama)/菊島宙(埼玉T.Wings)/工藤綾乃(Avanzareつくば)/鈴木里佳(コルジャ仙台ブラインドサッカークラブ)/竹内真子(兵庫サムライスターズ)/橋口史織(ラッキーストライカーズ福岡)GK: 大作眞智子(埼玉T.Wings)/本多さかえ(—-)
監督: 村上重雄
ガイド: 藤井潤 (ラッキーストライカーズ福岡)

<さいたま市ノーマライゼーションカップ2019>
日時:2019年2月23日(土) 14時キックオフ
会場:サイデン化学アリーナ(さいたま市総合記念体育館) *入場、観戦無料!
参考:http://normalizationcup.b-soccer.jp/

男子トップクラスの8チームが品川で激突!~IBSAワールドグランプリ 2019

最後は、東京2020パラリンピックでのメダル獲得を目指す男子日本代表が出場する国際大会、「IBSAワールドグランプリ 2019」です。3 月19日(火)から24日(日)まで、東京の品川区立天王洲公園で行われます。
IBSAワールドグランプリ2019大会ポスター。右端は日本代表高田敏志監督(画像提供:日本ブラインドサッカー協会)

このグランプリは日本代表の強化とブラインドサッカーの普及を目的に昨年、新設されたIBSA公認の国際大会で、順位がIBSAの世界ランキングに影響します。2020年まで3年連続で開催される予定で、昨年3月に行われた第1回大会には6カ国が参加し、アルゼンチン代表が優勝、日本代表は5位となっています。

今年は昨年と異なり、IBSAランキング20位以内(*1)のチームから日本をはじめ、8チームが出場します。4チームずつの2グループに分かれ、1回戦総当たりのグループリーグを実施し、各グループ2位までが準決勝に進出。最終日(24日)に決勝戦と3位決定戦、5位決定戦、7位決定戦を行い、全順位を決定します。8カ国での戦いはパラリンピック本番と同じ試合体制となるので、2020年に向けた経験を積む貴重な機会にもなります。 (*1: 2018年1月時点)

1月11日に行われた抽選会で、最新の世界ランキング(*2)9位の日本はグループAに入り、予選ラウンドではロシア(13位)、コロンビア(11位)、スペイン(4位)の順に対戦します。日本は3カ国とも公式戦では初対戦となります。日本の高田敏志監督は、「対戦経験のないチームと戦うことが重要と考えていたので、(グループリーグは)願っていた通り。いい機会を得られた。大事に戦いたい。積み上げてきたものを披露し、勝ちたい」と意気込みを語りました。 (*2:2018年3月2日時点)

高田監督によれば、ロシアは小柄ながら運動量も個の力もあり、「うまいという印象がある」、コロンビアは南米のチームらしく個人技に優れ、「タフで粘り強く決定力もある」、スペインは駆け引きにも長け、「ここ一番に強い」と言い、どこも強豪です。

でも、来年パラリンピック初出場を控える日本にとって貴重なシミュレーションの機会でもあります。川村怜主将は3チームについて、「どれも厳しい試合になる。まずは初戦のロシア戦に勝利できるよう初戦の入り方や準備を大事にしたい。(2020年を前に)今まで積み上げてきたものをすべて出すこと。今のうちに失敗を恐れず、挑戦したい」と力強い決意を話しています。日本代表を主将としてエースとしてけん引する川村怜選手(左から2番目)。今年のクラブチーム選手権決勝ではたまハッサーズの執拗なマークをかいくぐり、何度もゴールに迫った(撮影:星野恭子)

一方、グループBは、まず総合力があり、国際大会上位常連のアルゼンチン(2位)、フィジカルがあり、パラリンピック2大会連続出場のトルコ(6位)、組織力に長けたイングランド(12位)、そして、急成長中のタイ(17位)という4チーム。日本は過去、どのチームとも対戦経験があり、やはりアルゼンチンが頭一つ抜けている感がありますが、スポーツでは何が起こるか分かりません。

日本代表は現在、定評ある守備に加え、攻撃的サッカースタイルを目指して進化中です。昨年のワールドグランプリでは、そのスタイルを貫き、グループリーグ最後のトルコ戦で引き分ければ決勝戦進出だったところ、「勝ち」にこだわって前がかりに行った結果、守備のスキを突かれて得点され、敗戦。5位決定戦に回ることとなりました。

昨年の結果を受け、高田監督は今年の戦い方について、「勝ち上がり」を目指すと話します。「ここ2年はプロセス重視でやってきたが、(今年は)選手を勝たせ、次のステージに行かせることにこだわりたい。どんな強い相手に対しても、一定の時間はボールを保持できる実力はついている。1戦1戦大事に戦い、決勝に行けるように、最終日まで楽しめるようにやりたい」とコメント。

川村主将も、「日本のスタイルを貫き通し、主導権を持って戦い勝利する姿をピッチの上で表現したい」と話し、エースとしても「昨年は強豪国に対し『突破する』ことを自分のテーマにしていたが、今年はフィニッシュにもこだわり、『決め切る』ことに意識して取り組みたい」とコメント。宣言通り、豪快なシュートを決め、勝利に突き進む姿を期待したいと思います。

また、大会アンバサダーとして組み合わせ抽選も行った、サッカー元日本代表で現日本障がい者サッカー連盟の北澤豪会長は、「素晴らしい8チームが集まり、パラリンピック以上かもしれない。選手や監督にはプレッシャーのかかる大会だが、今までにない環境の中、『見えてるんじゃないか』というプレーを(選手が)してくれることで、ブラインドサッカーのすごさや面白さ、選手のポテンシャルの高さや勇気などを発見できる場にもなると思う。ぜひ多くの方に観ていただきたい」と大会をPR。

また、日本代表については、「攻撃的になり、正直、リスクもあるなと見ている。だが、守っているだけでトライをしなければ、メダルまではたどり着かない。監督や選手には練習の成果を見せてほしいし、(観客にも)そのチャレンジを観てほしい」と期待感を示しています。ワールドグランプリ2019の組み合わせ抽選会に臨んだ日本障がい者サッカー連盟の北澤豪会長(左)。右は大会特別共催の品川区文化スポーツ振興部オリンピック・パラリンピック準備課の辻亜紀課長 (撮影:星野恭子)

なお、こちらの大会は有料での開催で、チケットの前売り販売はすでに2月9日から、日本ブラインドサッカー協会販売専用サイトやファミリーマート内Famiポート始まっています。前売り価格はメインスタンド(指定席)で大人2000円、ゴール裏スタンド(自由席)で大人1500円から、今年初めて設置されるボックスシート席(14000円=4人掛け指定・飲食付き)まで各種用意されています。特設スタンドは約1300席。各日4試合が行われ、1枚のチケットで2試合まで観戦できます。詳しくは下記の専用サイトを確認ください。

▼ワールドグランプリ2019チケットガイド (試合日程やチケット種別、購入方法など)
http://www.b-soccer.jp/12100/news/wgp2019ticket.html

世界の強豪8チームが顔をそろえるなか、日本代表の今を知るチャンス。来年の東京パラリンピックの予習にも最適です。「音が頼り」のブラインドサッカーは「静かに見守る観戦スタイル」も特徴です。スケジュールをチェックして、ぜひこの機会にご体験ください!

<IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2019>
大会名:   IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2019
大会日程:  2019年3月19日(火)~3 月24日(日)
会場:    品川区立天王洲公園(東京都品川区東品川)
大会サイト:https://www.wgp-blindfootball.com/

(文・写真:星野恭子)