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101%のプライド

『101%のプライド』

著者:村田諒太

出版社:幻冬舎

価格:¥1,404

 

 

 ミドル級のオリンピックチャンピオン、村田諒太が関西出身特有のユーモアを交えながら語るように書いている。ロンドン五輪で金メダルを取るまでの軌跡、自らのルーツからボクシングの練習法や考え方まで、村田のすべてをさらけ出している。しかしそれは世界でもっとも選手層の厚いミドル級の頂点に立ったボクサー、48年ぶりに日本に金メダルをもたらした男のイメージではない。自らを、すぐに人と比べてしまうプレッシャーに弱いビビリ、すぐに「ネガティブ君」が襲ってくると言い、ボクシングから四度逃げ出したヘタレとも書いている。実際にロンドン五輪後も現役引退、アマチュアでの競技続行、プロ転向と進路は転々、自ら書いている通り「ブレやすい僕」の村田そのものだった。
 ただしボクシングの技術論に見られるように競技への洞察は深く、金メダルを獲得したアスリートのメンタリティ本として読むだけではもったいない一冊。