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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(251) パラスポーツを観にいこう! ~2月開催予定の主な大会・イベント情報

開幕まで570日余りとなった2020年東京パラリンピックでの実施競技やシーズン本番を迎えた冬季競技など、パラスポーツの大会は今、全国各地で開催されています。世界の強豪たちが参加する国際大会や日本一を争う大会を中心に、2月中に開催される主な大会をピックアップしました。

東京2020大会も見据え、大会運営や演出などにも工夫が凝らされた大会も増えています。初めて見る人にも安心の競技ガイドが配られたり、実況放送が行われたり、もちろん、パラスポーツ体験ブースなどもあります。パラスポーツの魅力を知るには、「百聞は一見にしかず」。こちらのリストを参考に、ぜひ会場で選手たちの驚くべき身体能力を目撃してください!

また今回から、毎月数ある大会のなかから「見逃せない一戦!」をピックアップして、ちょっと詳しくナビゲートします。

<2月の見逃せない一戦!>

【2019ジャパンパラゴールボール競技大会 決勝戦】   
→ 千葉ポートアリーナにて、2月3(日)12時10分~(予定)

ゴールボールは視覚障害のある選手がアイシェード(目隠し)をして行う球技です。攻撃側は音の鳴るボールを転がしたり、バウンドさせたりして投げ、ゴールを狙います。守備側はボールの音や相手選手の気配などからボールの位置を探り、3選手が協力し、体を横たえてボールがゴールに入るのを防ぎます。立ったり、横たわったりと、見ている以上に激しいスポーツです。

<参考>2018年ゴールボール世界選手権(6月/スウェーデン)で、トルコ女子代表(左)と対戦中の日本女子代表 (撮影:星野恭子)

「ジャパンパラ大会」は、その日本女子代表の強化を目的に、世界トップクラスの女子チームを集めて行われている国際強化大会です。今年は世界ランキング上位の日本(4位)、ブラジル(1)、トルコ(2)、アメリカ(6)による4カ国対抗で行われます。2月1日から2日にかけて行われる2回の総当たり戦を経て、勝ち上がった2チームによって最終日の3日に決勝戦が行われます。

4チームとも世界ランクは6位以内。どのチームが勝ち上がっても、ハイレベルな戦いになることは請け合いです。しかも、来年の東京パラリンピックには日本をはじめ、ブラジル、トルコもすでに出場を決めており、アメリカも今後の国際大会で出場権を得る可能性の高いチームです。したがって、ジャパンパラ大会の決勝戦はどんなカードになろうと、東京パラリンピックの金メダルを占う上でも「見逃せない一戦」というわけです。

さて、日本代表は2012年ロンドンパラリンピックで金メダル獲得という快挙を成し遂げています。小柄ながら、ボールの音を聞き分ける抜群のサーチ力とチームワークによる鉄壁の守備力が強みです。リオパラリンピックでは海外勢に研究され、高さのあるバウンドボールなどを多用されるなどで苦しみ、5位に終わってメダルを逃しました。

その悔しさをバネに、守備体制を見直したり、フィジカルも強化するなど守備力をさらにアップさせてきました。また、俊敏性を生かした移動攻撃や、「ボールの音」を巧みに消して相手をかく乱する戦法などで得点力も高めてきています。海外勢の重くて強いボールを武器にした攻撃を、日本チームが磨いてきた守備力でどう封じるかも大きな見どころです。

守備力に定評ある日本女子代表。ボールの音や相手の気配など、「五感」をフル活用して、ゴールを守る(撮影:星野恭子/2018世界選手権)

ところで、視覚に障害のある選手が「音」を頼りにプレーするゴールボールには、独特の観戦マナーがあります。審判の、「クワイエット・プリーズ(お静かに)」という声と「ピー」という笛が鳴ったら、声や音を出さず、静かに見守らなければなりません。でも、ボールがゴールに転がり、審判が「ピーピー」と笛を2回鳴らしたら、それは「ゴール」の合図です。その時は、大きな声や拍手で選手たちを称えてあげましょう!

なお、大会は今週2月1日(金)に開幕し、2日(土)までは予選ラウンドです。1日6試合ずつ行われる他、ゴールボール体験会の時間もあります。そして、最終日の3日(日)には、10時スタートの3位決定戦のあと、12時10分(予定)から、いよいよ決勝戦です。

東京パラリンピックで金メダル奪還を目指す、日本女子の戦いぶりは? そして、今大会の頂点に立つチームは? 会場観戦は3日間とも無料です。また、3日の3位決定戦と決勝戦はストリーミングによるライブ配信もあります
https://www.youtube.com/user/jsadchannel/live)。静寂の中の熱い戦い、ゴールボールの奥深さを、ぜひご覧ください!

【ゴールボール】 2019ジャパンパラゴールボール競技大会
日程: 2月1日(金)~3日(日)
会場: 千葉ポートアリーナ (千葉市)/入場無料
参考: http://www.jsad.or.jp/japanpara/goalball/

<2月の大会・イベント>

■2月2日(土)~3日(日)
【パワーリフティング】 第29回全日本パラ・パワーリフティング 国際招待選手権大会
東京2020大会への出場用件である、2019世界選手権(7月/カザフスタン)参加標準記録の指定大会。今年はさらに、ラオス、ベトナム、韓国から外国人選手も参加する。また、会場となる日本工学院八王子専門学校とのコラボで、大会デザインや運営に新たな試みもあり!

会場: 日本工学院八王子専門学校 片柳記念ホール (東京都八王子市)
参考: http://jppf.jp/news/detail/id/223

■2月3日(日)
【陸上競技】 第68回別府大分毎日マラソン大会 兼 第19回日本視覚障がい男子マラソン選手権大会
日本ブラインドマラソン協会の強化指定選手から、男子8名、女子8名がエントリー。日本選手権も兼ねている男子の戦いはもちろん、世界記録保持者の道下美里選手など女子の熱い走りにも注目を!

会場: 大分県大分市、別府市内
参考: 出場選手リスト 
 http://jbma.or.jp/news/news_event_info/event_190118_01/

2017年の別府大分毎日マラソンで行われた第17回日本視覚障害者男子マラソン選手権で優勝した、熊谷豊選手(T12/弱視)のラストスパート (撮影:星野恭子/2017年第66回別大マラソン)

■2月9日(土)~10日(日)
【ブラインドサッカー】 KPMGカップ ブラインドサッカークラブチーム選手権2019
日本国内リーグ(4地区)でそれぞれ上位に入った7チームに、海外から1チームを加えて実施されているクラブチーム選手権。今年は韓国リーグを制覇したPramisland Blind Soccer Teamが来日予定。連覇を目指すAvanzareつくば(東日本3位)、初出場初優勝を目指すチームも!

会場: 富士通スタジアム川崎 (神奈川県川崎市)
参考:http://clubchampionships.b-soccer.jp/「KPMGカップ ブラインドサッカー クラブチーム選手権大会2019」のポスター (提供:日本ブラインドサッカー協会)

■2月9日(土)~11日(祝・月)
【アルペンスキー】 2019全日本チェアスキーチャンピオンシップINよませ
スーパー大回転、大回転、回転の3種目を実施。障害カテゴリー別(チェアスキー・立位・視覚・ID・マスターズ・チャレンジクラス・オープン)に計算タイム(*)で順位を決定。リズミカルなターンや迫力あるジャンプなど、選手のテクニックにも注目!

(*)計算タイム: カテゴリーごとに障害のレベルなどに応じて設定されたパーセンテージ(ハンデキャップのようなもの)を実走タイムに掛けて算出したタイム。

会場: よませ温泉スキー場 (長野県下高井郡山ノ内町)
参考: https://jps-ski.com/
平昌冬季パラリンピックでも活躍したパラアルペンスキー日本代表選手たち。左から、村岡桃佳選手、狩野亮選手、森井大輝選手 (撮影:星野恭子/2018年12月25日)

■2月15日(金)~17日(日)
【車いすバスケットボール】 2019国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会
車いすバスケットボールの普及と日本女子代表の強化などを目的に開催されている国際親善大会。今年は、オーストラリア、イギリス、オランダが来日予定!

会場: 大阪市中央体育館
参考: http://www.osakacup.org/index.html
2017年の国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会より。対イギリス戦で、シュートを狙う日本の藤井郁美選手(撮影:星野恭子)

■2月16日(土)
【テコンドー】 第12回全日本テコンドー選手権大会 パラ・キョルギの部
国際クラス取得者と取得可能性のある選手を対象とし、2019年度の強化指定、育成指定選手の選考大会としても開催。

会場: 千葉ポートアリーナ (千葉市)
参考: https://www.ajta.or.jp/domestic/alljapan/

■2月16日(土)~17日(日)
【スノーボード】 第5回全国障がい者スノーボード選手権大会&サポーターズカップ 障害のある選手のレースと、サポートする健常の選手のレースを同時に開催することで、互いの親睦や交流を図ることも目的にした大会。パラ選手にとっては、次年度のパラスノーボード代表チーム選考合宿への参加要素ともなる大会。

会場: 白馬乗鞍温泉スキー場 (長野県北安曇郡小谷村)
参考: https://jps-ski.com/

■2月23日(土)
【ブラインドサッカー】 さいたま市ノーマライゼーションカップ2019
日本女子の強化を目的にした国際親善試合。今年は、大会前の2月19日~20日に行われる、IBSA(国際視覚障害者スポーツ連盟)が主催する「IBSA女子トレーニングキャンプ2019」に参加する海外選手の中から選抜チームを編成し、日本代表と対戦する予定になっている。

女子のブラインドサッカー選手は世界的にもまだ少なく、2017年5月に初めて女子選手を対象とした国際大会「IBSA女子ブラインドサッカートーナメント2017(オーストリア・ウィーン)」が開催され、日本代表が初代女王に輝いた。さいたま市ノーマライゼーションカップは2013年から日本男子代表の強化を目的に開催されてきたが、昨年からは日本女子の強化試合として実施されるようになり、昨年は日本代表がアルゼンチン選抜に7-3で勝利している。

会場: サイデン化学アリーナ (さいたま市記念総合体育館)
参考: 
http://www.b-soccer.jp/12073/news/pr190114jyoshidaihyo.html
2018年のノーマライゼーションカップでは日本代表(青)が7-3でアルゼンチン選抜を下して勝利 (撮影:星野恭子)

(文:星野恭子)