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星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ(30) 4.24~4.30

 国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今回もパラスポーツの広がりと深まりを感じさせる、興味深いニュースが国内外からたくさん届いています。

■東京発
・25日: 「ソチ・オリンピック競技大会並びにソチ・パラリンピック競技大会入賞者に対する記念品贈呈式」が、総理大臣官邸で行われた。日本選手団は同オリンピックで金メダル1個を含む8個のメダルを、パラリンピックでは金メダル3個を含む6個のメダルを獲得。式典では安倍晋三首相が記念品を授与し、「持てる力を全て発揮した姿、コンディションの悪い中、全力を尽くした姿、メダルを取って日章旗が揚がる中、誇らしい姿。それぞれ、私たち日本人に感動と勇気を与えていただいた。改めて日本国民を代表し、皆さんにお礼を申し上げたい」と選手たちを称えた。

■陸上競技
・24日: 国際パラリンピック委員会(IPC)が主催する、IPC陸上競技グランプリシリーズ(⇒註)第3戦となるブラジル大会がブラジル・サンパウロで開幕。走り高跳び男子T12(弱視)クラスで、キューバのルイス・フェリーペ・グティエレス・リベーロが2メートル06をクリアし、世界新記録を更新した。それまでの記録は2000年にベラルーシの選手が樹立した、2メートル02だった。

(⇒註)IPC陸上競技グランプリシリーズ: 2013年からスタートしたパラ陸上のシリーズ戦。同年には6つの大会と最終戦の7大会が開催され、69の国と地域から計1,037名のアスリートが参加し、10個の世界新記録が誕生した。2014年は8つの大会と最終戦の全9大会が予定されている。

・28日: IPCとブラジルパラリンピック委員会は、今年度からリオデジャネイロでのハーフマラソン大会とサンパウロでのマラソン大会を新設し、2017年まで毎年開催することで合意したと発表した。IPCでは2013年からロンドン・マラソンを舞台にIPCマラソンワールドカップを開催しているが、さらに多くの長距離ランナーに国際大会の機会を提供することが目的だ。

 今年度はリオ・ハーフマラソンが8月31日、サンパウロ・マラソンが10月19日に開催されることが決定している。両大会とも、視覚障害(T11-13)、立位(T42-46)、座位(T51-54)の3カテゴリーが実施される予定だが、詳細は後日、発表されるという。


■パラトライアスロン
・26日: フィリピンのスビックベイで「2014ASTCアジア・トライアスロン選手権」のパラトライアスロンの部スプリント・ディスタンス(スイム0.75キロ、バイク20キロ、ラン5キロ)が行われ、男子PT2クラス(⇒註)で窪山信吾が1時間18分22秒で、PT4クラスで古畑俊男が1時間08分48秒で優勝した。さらに、PT5クラスの男子は白江淑浩(ガイド:安本慶一)が1時間17分03秒で、女子は山田敦子(ガイド:脇真由美)が1時間28分30秒で制した。日本からは他に、男子3選手が出場していた。

 パラトライアスロンは、2016年リオデジャネイロ大会でパラリンピックの正式種目としてデビューすることが決定している。5月中旬には横浜市で、国際トライアスロン連合(ITU)主催のITU世界トライアスロン大会シリーズの横浜大会が開催され、5月17日にはパラトライアスロンの部(午前6時55分スタート)も実際される。

(⇒註)パラトライアスロンのクラス: 2014年2月のITU競技ルール改正に伴い、パラトライアスロンのクラス分けも改正された。これまではTRI1-6の6クラスに大別されていたが、新しいクラス分けではPT1(シッティング/座位)、PT2-4(スタンディング/立位)、PT5(ビジュアリー・インペアード/視覚障害)の5クラス制になった。

■ブラインドサッカー
・30日: 日本ブラインドサッカー協会(JBFA)は5月17日~18日にロービジョン(弱視)フットサルのトレーニングキャンプを東京・八王子市で開催し、同キャンプの参加者、弱視のフィールドプレーヤー(FP)と晴眼のゴールキーパー(GK)を一般公募すると発表した。

 これは、来年5月に韓国・ソウルで開催される視覚障害者スポーツの国際総合大会、「IBSA World Championships and Games」のロービジョン・フットサルに出場する日本代表選手の発掘と強化の一環で、応募はブラインドサッカーやロービジョンフットサルの経験がない人、あるいは一般のサッカーチームやフットサルチームに所属している人でも可能。今後、トレーニングキャンプなどを経て、FP11名、GK3名が強化指定選手として選出され、この中から最終的にFP8名、GK2名が日本代表として世界大会に出場する。詳細や申込み方法などは、JBFA公式サイトに掲載されている。

(⇒註)ロービジョン・フットサル: 旧ブラインド・サッカーB2/B3(弱視)クラスのことで、JBFAは競技内容などのより適切な表現をめざし、2014年1月より名称を変更した。