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ゴルフ界で15歳が活躍する理由(小林一人)

 国内女子プロゴルフツアー「KKT杯バンテリンレディスオープン」で15歳のアマチュア勝みなみさんが優勝した。これで国内女子ツアーのアマチュア優勝は清元登子、キム・ヒョージュ、宮里藍に続いて4人め。15歳293日での勝利は同ツアーの史上最年少記録となった。

 15歳での優勝と言えば誰もが思い出すのが石川遼だ。アマチュア時代の2007年「マンシングウェアオープンKSBカップ」に15歳245日で勝ったことで日本中に激震が走り、瞬く間に国民的スターへの階段を駆け上がったことは記憶に新しい。目新しい話題の乏しい国内ツアーにおいて、ジュニアゴルファーの優勝は最もインパクトがあり、メディアにとって格好のネタとなるだけに、知名度が全国区になるための条件といえよう。

 なぜこれほどまでにゴルフツアーにおける若年化が進んだというと、最大の要因は道具の進化だろう。昔のゴルフクラブは、そう簡単には音の出ない管楽器のようなもので、使いこなすまでには相当の時間がかかったものだが、イマドキのクラブはまっすぐ打つのは比較的簡単なのだ。しかも距離が出るので、ジュニアゴルファーは早い段階でツアーで戦えるボールストライキングのレベルに達することができるというわけだ。スイングを作る段階から試合でゲーム感覚を養う段階にいち早く進めるので、プロのトーナメントでチャンスが出てくるのである。

 若年化したもう1つの大きな要因はYouTubeをはじめとする動画サイトだろう。いまは自宅にいながらトップ選手のスイングを見ることができるので上達が早いのだ。世界の舞台で活躍している選手のアドレス、グリップ、トップのポジション、体の使い方といった、昔ならそう簡単に手に入らなかった情報が手軽にゲットできるので、教える側も、教わる側も、スイング作りに迷わなくなったことは大きい。活躍している選手のスイングをコピーすることは最も効果的な方法だし、韓国選手の躍進はこのあたりに秘密があるともいえよう。


 15歳といえば、5月1日に開幕する中日クラウンズに出場する青島賢吾君も15歳だ。青島君はハワイ在住の「バイリンガル」ジュニアゴルファーで、国内では無名だが、アメリカのジュニアゴルフ界では知られた存在だ。

 1998年に東京で生まれた青島君は、半導体関連の事業を営む父親の転勤に伴い、1歳半でハワイに移住。2歳のときにトップアマの祖父から短く切ったパターを与えられたことでゴルフに目覚め、5歳でアメリカ本土のサンノゼに引越してからは学校の夏休み期間に限って試合に出場し始めたという。9歳で帰国し、アメリカンスクールに通いながら、毎年USキッズワールドチャンピオンシップと世界ジュニアのみに挑戦。10歳のときにUSキッズワールドチャンピオンシップでベスト10入りし、12歳のときには世界ジュニア11-12歳の部で2位に入ったが、このときの優勝者はマスターズの最年少ローアマに輝いたグァン・ティンラン君だった。

 一昨年の9月に再びハワイに移住すると、名門イオラニスクールに入学しゴルフ部のエースとして活躍中の青島君。今年3月にはハワイ州のアマチュア選手権で2位になり、4月には高校生チャンピオンに輝いたばかりだ。その実力と恵まれたルックスが関係者の目に止まり中日クラウンズに推薦出場することになった次第だが、予選を通過する力は十分あるだけに、優勝争いでもしようものなら日本中がフィーバーする可能性は大だ。

 ただし本人にも両親にもプロ入りの意思はいまのところない。アメリカの大学に進学しゴルフ部で活動するのが本人の希望で、そのためには勉強にも手は抜けない。もっかの目標は、高校を卒業するまでにハワイの州アマで連覇することと、全米アマに日本人として出場することだという。

 小さい頃からゴルフだけに専念し、他のことは知らないという選手がひしめく日本のゴルフ界において、青島君のような文武両道を行くゴルファーは貴重である。ツアー初挑戦の結果は神のみぞ知ることだが、彼の持つ独特のオーラで異彩を放つことだけは間違いないだろう。

写真:青島賢吾君