電動車椅子サッカー・シーズン開幕!期待と将来への課題=時速10キロへの転換は?(平野誠樹)
電動車椅子サッカーは新年度を迎え、これから本格的なシーズンが開幕します。
今週末の19日(土)には、関西では初めての国際ルールの競技速度10キロ(国内ルールは6キロ)で実施される第1回CLUB CHAMPIONSHIPが、大阪のアミティ舞洲で開催されます。
この大会では関西を中心とした6つのクラブチームによって熾烈な戦いが繰り広げられます。
関東からは昨年の日本選手権大会で優勝したYokohama Crackersと、一昨年の優勝チームのレインボー・ソルジャーの2チームが参戦します。
私が監督を勤めるYokohama Crackersにとっては日本選手権で初優勝した相性のよい会場での試合なので、アウェーとはいえ伸び伸びと試合に臨めると思います。
日本選手権以外では遠征する機会が少なく、他のエリアでの大会は刺激的で選手にとっては貴重な経験となる事は言うまでもありません。
特に1試合目で対戦するレッドイーグルス兵庫とは、昨年の日本選手権の決勝でPK戦までもつれるタフな激戦を繰り広げた因縁の強敵なので、日本選手権を越えるような熱戦を実現できればと望んでいます。
国内ルールの6キロと異なり、10キロでの試合はスピードが約2倍になるので、スペースを意識して相手の背後を狙ったり、通常のサッカーに近い選手間の動きが求められます。
全く異なる競技なのでは……と、錯覚するくらいのインパクトが存在します。
選手にとっては体力的にも精神的にも厳しい戦いとなりますが、客観的な意見を言うなら10キロの方がよりスリリングで、観る者を魅了する力があります。
残念ながら日本国内においては、道路交通法によって歩道は6キロ未満で移動しなくてはいけないという規制があり、日本製の電動車椅子はほとんどのメーカーが6キロ以下の速度に制限されています。
海外製の電動車椅子を持つ事のできない選手もたくさんいるので、現時点では国内のほとんどの大会が最高速度6キロで実施されています。
仮に日本が本気で世界の頂点を目指すのであれば、この問題を一刻も早く解決しなければなりません。
個人的には国際基準の10キロで競技するチームと、国内基準の6キロで競技するチームを2つのグループに分けて、別々に活動していく事もやむを得ないと考えています。
他の国々が国際ルールに基づいて10キロで日々練習している中、ダブルスタンダードで中途半端に異なる2つの速度で競技を実施していく事のデメリットは大きいと思います。
そういう意味でも関西で初めて開催される第1回CLUBCHAMPIONSHIPは、とても重要な転機になるかもしれません。
関東エリアでは、神奈川県電動車椅子サッカー協会が主催するドリームカップというクラブチームによる10キロの大会が実施されています。
日本電動車椅子サッカー協会が主催する日本選手権以外の大会では、8月に各ブロックの選抜チームが参加する10キロの大会が存在します。
しかしながら、そのような大きな大会に参加できる選手はごく僅かです。
今後、より多くの10キロでの大会が行われていく事が、ワールドカップでの優勝を現実化する為には必要不可欠だと思います。
少しずつでも地道に活動していく事が、夢を実現させる為には欠かせないので、私も自分ができる事から10キロの普及を推し進めて行きたいと思っています。
Photo by Olivier Epron (Own work) [CC-BY-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by/3.0)], via Wikimedia Commons