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星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ(25) 3.11~3.28

 国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。ソチ冬季パラリンピックは、国際パラリンピック委員会会長から「史上最高の大会」と評価され、閉幕。金3個を含むメダル6個を獲得した日本チームの結果から何を学び、どう生かすか……が、2020東京に向けて重要な課題だと思います。次への戦いはもう始まっています。

【ソチ・パラリンピック】
・13日: 大会7日目、アルペンスキーの男子回転が行われ、座って滑る座位で、鈴木猛史(駿河台大職員)が金メダルを獲得した。鈴木は1本目で、トップに立ったクロアチアの選手と1秒61差の54秒35で2位につけ、2本目は59秒43と、ただ一人1分を切る最速タイムを叩きだし、合計1分53秒78と大きくリードした。つづいてスタートしたクロアチアの選手が転倒して途中棄権となり、鈴木が今大会、日本勢3個目となる金メダルに輝いた。鈴木自身としては、9日の滑降で獲得した銅メダルと合わせ、2個目のメダル獲得だった。

「回転のスペシャリスト」と呼ばれるほど高い技術を誇る鈴木は、パラリンピック出場3回目にして念願のメダルを手にし、「ソチ大会の前に『3度目の正直なので金を狙う』と言っていたことが実現できてよかった。ずっと狙ってきた『回転での金』だから、本当に幸せ」と充実の笑顔を見せた。

・14日: バイアスロン男女ロングが行われ、女子12.5キロに出場した出来島桃子(新潟・新発田市役所)が大会運営ミスに巻き込まれた。1周2.5キロの女子用コースを5周するはずが、コース誘導のミスからほとんどの選手が1周目を誤って3.0キロの男子用コースを滑ってしまった。2周目からは正しいコースに戻ったが、「事前に配られたコース地図通りに滑った」という出来島は1周目から正しいコースを滑りつづけ、首位を独走。ところが、審判が「公平を期すため」という判断で、出来島に最終周になって男子用コースを滑るよう指示、結局、7位に順位を落とした。

 レース直後、日本チームは審判団に抗議したが認められず、競技は成立。さらに国際パラリンピック委員会(IPC)にも抗議したが、IPCも「(最終周の)判断は競技運営上、自然な決定だった」として日本側の抗議を退け、日本チームにとっては「前代未聞のトラブル」という後味の悪いレースとなった。「関係者の皆さんが精一杯努力してくださった結果なので、私は受け入れるだけ」と話した出来島は2日後(16日)のクロスカントリー・5キロレースで6位入賞と快走し、強さを見せてくれたことが救いだった。

・16日: 閉会式がソチのオリンピクパーク内のフィシュト・スタジアムで2014年にちなんで20時14分(日本時間17日午前1時14分)から行われ、10日間にわたって史上最大規模の5競技72種目で繰り広げられた熱戦が幕を閉じた。大会には過去最多45カ国から547人の選手が参加。日本からは20選手がアルペンスキーとクロスカントリースキー、バイアスロンに出場、全6個(金3、銀1、銅2)のメダルを獲得した。


[caption id="attachment_19995" align="alignnone" width="620"] 「不可能から可能へ」というテーマが強調された閉会式[/caption]

 閉会式は、「不可能を可能に」というテーマのもとに行われた。ロシアのプーチン大統領をはじめ、各国選手団と4万人の大観衆が見守るなか、アルペンスキーで金メダル2個に輝いた狩野亮選手(マルハン)が日本選手団を代表して日の丸とともに行進。国際パラリンピック委員会(IPC)のフィリップ・クレイヴン会長は、「2007年から大会準備を始めたソチは今、バリアフリー・シティになった。選手の皆さんは、どんなことも絶対に可能であることを世界に示してくれた。私は心からお礼を述べたい。2014年ソチ大会は、冬季パラリンピック史上最高の大会だ。奇跡には境界がないことを証明してくれた」と挨拶した。

 ソチ大会は入場券売上(31万枚以上)やテレビ放映権(40カ国、20億米ドル以上)、公式サイトへのアクセス数(訪問30万人、150万ページビュー以上)などで冬季大会史上最高の実績をあげ、商業的にも成功裏に閉幕。次回2018年冬季大会は韓国・平昌(ピョンチャン)で開催される。

■ロシア発
・24日: ロシアのプーチン大統領はIPCのクレイヴン会長とシャビ・ゴンザレスCEO(最高経営責任者)をモスクワのクレムリンに招き、それぞれに「名誉勲章」と「友好勲章」を授与した。他に、ソチ五輪とパラリンピック大会の成功に寄与した大会関係者やコーチ40人以上が表彰され、名誉勲章はIOC調整委員会のジーン・クロード・キリー委員長にも授与された。

 クレイヴン会長は、「プーチン大統領は大会運営においてもこの表彰においても、五輪とパラリンピックを完全に同等なものとして向き合ってくれた。これは、ロシアでパラリンピック・スポーツがとても高いレベルで認知されたことを意味し、それが今大会でロシア選手が見せた素晴らしいパフォーマンスにつながったのだと思う」と謝辞を述べた。

 同表彰に先駆け、プーチン大統領は、金メダル30個を含む全80個のメダルを獲得した全69名のロシア選手団にも栄誉賞を贈り、金メダル6個を獲得したR・ペティシュコフ選手など活躍が特に顕著だった12選手には、「祖国に対する勲功勲章」四等を授与している。


■ノルディックスキー
・28日: ソチ冬季パラリンピック日本代表に所属4選手を送った日立ソリューションズ・スキー部が同社内(東京・品川区)で2013-14シーズン報告会を開催した。同社のクラブ後援会会員や地元商店街の役員らを前に、ソチ代表選手らが大会結果の報告と来季への抱負などを語った。
[caption id="attachment_19996"

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align="alignnone" width="620"] 左から、荒井秀樹日本代表監督、阿部友里香選手、太田渉子選手、久保恒造選手、新田佳浩選手[/caption]

新田佳浩選手:
パラリンピック5大会連続出場。前回バンクーバーで金メダル2個。連覇を狙ったソチではクロスカントリー・ロング(20キロ)クラシカルで4位入賞など
「結果は悔しい。でも、悔いはあるが後悔はない。次につながるはず。応援が力になった。(2018年冬季パラリンピックが開催される韓国の)平昌(ピョンチャン)まで、気を引き締めてやりたい」

久保恒造選手:
 バイアスロン・ショート(7.5キロ)で銅メダル獲得など。来季からは車椅子レースに専念予定
「(初出場だった)バンクーバーで悔しい思い(6位)をしてから4年間ずっと、1日1回は『メダルを獲る』と思い、どうやって表彰台に上がれるかを考えてきた。『しつこく思えばかなう』ことを実感。ソチは(冬季競技としては)集大成だが、アスリート久保恒造としては通過点。これからも頑張りたい」

太田渉子選手:
バイアスロン・ショート(6キロ)で6位入賞など。開会式では日本選手団の旗手
「(3度目のパラリンピックで初めて)メダルを持ち帰れず、残念。でも、初めて参加した開会式は素晴らしく、旗手として日の丸を持って行進したときは背筋が伸び、『スキーをやってきてよかった』と感激した。6位入賞は(周囲の)支えのおかげ。また新しい目標に向かっていきたい」

阿部友里香選手:
 盛岡南高校生で、同社のジュニアスキー部所属。競技歴約3年でパラリンピックに初出場し、クロスカントリー・ロング(15キロ)クラシカルで8位入賞など
「学校の理解もあり、たくさん練習できて、満足の結果につながった。パラリンピック初戦は胃がキリキリするほど緊張したが、(狙っていた)ロングで出し切ることができた。暑さ(気温10度以上に上昇)のなか、途中は意識も飛ぶほどでゴール後は倒れ込んでしまった。2日前に高校の卒業証書をもらい、4月からは大東文化大学でスキーを続ける。これからも頑張る」

荒井秀樹日本代表監督:
 1998年長野パラリンピックから障害者スキーに関わり、ソチまでの5大会連続でメダリストを輩出
「応援、本当にありがとうございました。阿部選手はロングを本命にして、(同社開発のソチコースシミュレーションマシンで)トレーニングを重ねた結果。社の技術的なバックアップも大きかった。太田選手は開会式での旗手と、式翌日のレースで6位入賞と2つの大役を果たしてくれた。久保選手はここ2年、世界ランク上位の実績があり、なんとしてもメダルを、の思いだった。(銅メダルを獲得した)レースはアメリカ選手との秒差を争う展開だったが、ゴール前の直線をしっかり走り切った結果。応援席からの応援も後押しになった。新田選手にもメダルを獲らせたかった。悔しい4位ではあったが、4年後のために『神様がくれた試練』と思い、また頑張ってほしい。スキー部も(今年11月で)結成10周年を迎える。また初心に返り、世界に通じ、勝てる選手をつくっていきたい」


■ブラインドサッカー
・21日: 国際親善試合「さいたま市ノーマライゼーションカップ2014」が開催され、日本代表は2013年欧州選手権4位のドイツ代表に0-3(前半0-1/後半0-2)で敗れた。日本とドイツは初対戦。前半13分にPKで先制したドイツは、後半6分、同24分にも追加点を挙げて勝利。

 日本代表の魚住稿監督は試合を振り返り、「得点差ほど、差としては感じていない。(差は)ほんのちょっとで互角以上に戦えた。得点力が課題として残ってしまった」とコメント。

 なお、同大会は、さいたま市が2011年に政令指定都市では初めて制定した「さいたま市 誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例(ノーマライゼーション条例)」の理念に基づいた大会で、昨年に続き2回目の開催。さいたま市の清水勇人市長やドイツ連邦共和国大使館のクラウス・アウアー公使も観戦した。

・22日-23日:「フィアット カルチョ 2014」が横浜市で開催され、昨秋の各地域リーグ上位チームと来日中のドイツ代表がカップを争った。予選リーグなどを経て、決勝戦ではドイツ代表がF.C.Avanzareつくばを3-1(前半3-1/後半0-0)で下し、優勝した。前半5分で先制したドイツが、同7分に追いつかれるも、同21分、22分と得点して突き放した。また、3位決定戦はラッキーストライカーズ福岡がたまハッサーズを2-1で退けた。

 ドイツ代表ウルリヒ・フィスターラー監督は、「日本のクラブチームは技術力が高く、ドイツのクラブチームと比較しても遜色がなかった。ただドイツのほうがゴールへの強い意志が上回っていた。11月の世界選手権(⇒註)でまた会いたい」

(⇒註)11月の世界選手権:「2014IBSAブラインドサッカー世界選手権」のことで、今年11月中旬に東京の国立代々木競技場フットサルコートでの開催が決定している。IBSA(国際視覚障害者スポーツ連盟)との共催大会で、日程など詳細は調整中。

(カンパラプレス配信+NBSオリジナル)
(写真撮影:星野恭子)