星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ(23) 2.23~2.27
国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。ソチ冬季パラリンピックは開幕まであと1週間となりました。ロシア国内では聖火リレーが始まり、日本選手団(全20選手)も続々と日本を発ち、決戦の地へと向かっています。私、星野恭子も来週からソチに飛び、次号では現地から大会リポートもお届けする予定です。どうぞお楽しみに。
■アルペンスキー
・25日: ワールドカップ今季最終戦がイタリアで開幕、ソチ冬季パラリンピック日本代表も多数エントリーしている。この日は滑降(DH)が2レース行われ、狩野亮(マルハン)が2連勝した。2レース目は2位のカリブ・ブラッソー(カナダ)をわずか0.06秒の僅差で制した。
・26日: スーパー複合(スーパーG+回転)が行われ、狩野が2位、鈴木猛史(駿河台大学)が3位に入った。優勝はカナダのジョシュ・デック。
■ロシア発
・26日: 来月7日開幕するソチ・パラリンピックの聖火リレーがロシアで最も東にあるデジニョフ岬(ベーリング海峡を挟んでアラスカのプリンス・オヴ・ウェールズ岬の対岸にある岬)からスタートした。同地点はロシアで最も早く日の出を迎える地点だという。
パラリンピックの聖火リレーは、ギリシャで採火された聖火が各地を巡る五輪とは違い、大会ごとに形式が異なる。ソチ大会では毎日、ロシア国内の複数地域で同時に行われる形式で、来月7日の開会式までにロシア国内45都市で実施されることになっている。また、史上初めて開催国以外でも実施され、リレー初日にはパラリンピック発祥の地とされるイギリスのストーク・マンデビルで行われた。採火方法も場所ごとにいろいろで、日光のほか、ハンマーで金床を叩いたり、火山の火花などが使われる予定という。
ソチ大会の聖火走者は約1,500人、そのうち2割は体に障害のある人たちで、期間中約4,000人のボランティアがサポートする。日本からも走者として、3大会連続パラリンピアンで、2020年東京五輪・パラリンピック招致の最終プレゼンでも活躍した佐藤真海さんなどが参加する予定だ。
■ドイツ発
・27日: 国際パラリンピック委員会はパラリンピックを普及させるデジタル戦略の一環として、ソチ・パラリンピック大会期間中にファンが選手と交流できる場となる「グーグル・ハングアウト」を実施すると発表した。これは、特設のサイトにファンが選手に対して質問などを書き込むと、指名された選手が毎日夕方、表彰式前のステージ上で質問に答え、その様子がライブ中継されるというもの。中継を見逃した場合でもオンデマンドで録画を見ることができるという。
このプログラムに参加する選手として現時点までに15名が発表されており、日本からはアルペンスキーの森井大輝(富士通セミコンダクター)と鈴木猛史(駿河台大学)、ノルディックスキーの久保恒造(日立ソリューションズ)の3選手が含まれている。森井はソチ日本代表の主将で、ソチでパラリンピック4大会連続出場、過去に3個のメダルを獲得している。鈴木は前回バンクーバー大会銅メダリストで、2大会目のソチでさらに上を狙う。久保もソチは2度目のパラリンピック。先シーズンのワールドカップ総合優勝の称号とともにバイアスロンで初のメダルを目指している。
■陸上競技
・23日: 東京マラソン2014が東京都庁前から東京ビッグサイトまでの42.195キロのコースで行われ、車いすの部男子は山本浩之(福岡県)が1時間30分43秒で、2年ぶり3度目の優勝を、女子は土田和歌子(サノフィ)が1時間48分08秒で大会7連覇を果たした。
男子はスタートから山本と、2位に入った副島正純(シーズアスリート)とのデッドヒートが終盤まで続く大接戦。わずかに1秒差で栄冠を手にした山本は、「狙い通りに最後の坂で仕掛けて、あとはゴール寸前まで必死だった」と激戦を振り返った。昨年、副島に敗れ2位に終わった雪辱を期し、「例年より早くから走り込みを開始し、1月の走行距離は1000キロ以上。おかげで、最後までしっかり走り切れた」と話した。
女子は土田が序盤から後続を置き去りにする圧勝だったが、「10キロ過ぎから体がきつく、なんとかゴールにたどりついたレース」と明かした。今シーズンは4月にボストンとロンドンの2大会を連戦し、世界の強豪の中で実力を試すことを一つの目標にしており、今大会は4月に向けたスピードトレーニングの途中だったという。「次につながる結果は残せた。毎年、ここ(東京マラソン)で走れることは大きな喜び。名前を呼んでの声援が大きな後押しになった」と笑顔を見せた。
(カンパラプレス配信+NBSオリジナル)