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アプローチを劇的にやさしくするウェッジ(NO BORDER GOLF編集部)

 ゴルフというスポーツにおけるプロとアマの差はどこにあるのだろうか。もちろんさまざまな要素があるが、確実に言えるのは、ショートゲームの技術が圧倒的に違う、ということだろう。

 クラブとボールは劇的な進化を遂げ、飛距離は伸びたし、ボールは曲がらなくなった。その結果、アベレージゴルファーでも、比較的容易にグリーン周りまでボールを運ぶことができるようになった。しかしプロとアマではそこからが違う。グリーンをはずしたとき、プロは確実に寄せワンでパーセーブするのに対し、アマチュアはアプローチを寄せ切れず、簡単にボギー、あるいはダブルボギーを叩いてしまうのだ。バンカーではその差がさらに広がる。ツアープロは約50%の確率でパーセーブするが、アベレージゴルファーとなると、パーセーブできる確率はおそらく10%ないだろう。

 つまり、ドライバーやアイアンの飛距離は飛躍的に伸びても、肝心のスコアとなるとさほどアップしていないのが現状で、本来ならば、プロとアマの、もしくは上級者とアベレージにおけるアプローチショットの差を埋めるクラブこそが、一般的なアマチュアゴルファーにとって必要なものだといえる。

 そんな状況で生まれたヒット作がキャスコの「ドルフィンウェッジ」。文字通り「いるか」をイメージさせる独特のソール形状によって、意識せずとも勝手にダフリやトップを防いでくれることが世のゴルファーにウケている。

 なぜミスショットにならないかというと、簡単に言ってしまえば、ミスヒットに強く抜けがいいから。ソールのトゥ側のバンスをカットし、その重量をセンターからトゥ側に配分することで、フェースの先っぽに当たってもしっかりとボールをターゲットに運んでくれる。ソールのセンター部分は幅広で、かつバンス角が適切に設定されているので、上から打ち込み過ぎたり、下からすくい上げても、ソールが地面を滑ってくれるのだ。またフィンが付いたソールのネック部分は、バンカーショットでエクスプロージョンショットを行った際、ヘッドが砂に潜るのを防いでくれる。

 トップ防止機能に関してはどうかというと、通常のウェッジはフェースを開くことでバンスが効いてくるが、フェースを開くとリーディングエッジが地面から浮くので、トップしやすくなる。ところがドルフィンウェッジは、フェースをスクエアに構えた状態でバンスが効くように設計されているので、リーディングエッジをボールの赤道の下に入れやすく、トップしないというわけだ。

 アプローチが苦手なゴルファーにとって、ドルフィンウェッジはまさに救世主といえるだろう。スイングを変えなくてもザックリやトップを防いでくれるし、バンカーでもフェースを開く必要がなく、何も考えずに打てば、勝手にクラブが仕事をしてくれる。距離感さえ合ってくれば、寄せワンできる確率は劇的にアップするはずだ。

 ソールの形状は独特だが、構えたときの見え方はオーソドックスなので、上級者にとってもドルフィンウェッジは頼もしい武器になるだろう。フェース表面は精密にミーリングされているし、大きくアールをつけた逆さ富士型の溝はスピン性能を最大限に発揮できるように開発されている(新溝ルール適合)。性能はツアーモデルと同等で、かつ、ミスショットの可能性が限りなく減るので、球筋や落としどころにより集中できるだろう。

 近年、ドライバーやフェアウェイウッドの開発競争が盛んに行われているが、それは高額商品なので利幅が大きいから、という事情もある。もちろん飛距離は伸び、かつやさしく打てるようになっているのは事実で、すべてのゴルファーが、ロングゲームに関しては最新のテクノロジーを享受することができている。

 しかしながら、スコアを作るのはショートゲームであることは間違いないのだ。最新テクノロジーがウェッジに導入されれば、アプローチはよりやさしくなるだろうし、ドルフィンウェッジはそのパイオニアとして先頭を走り続けるのではないだろうか。

※最新ゴルフギア事情 Vol.2
(NO BORDER GOLF編集部)