イタリアでうっかりプロ野球選手になっちゃいました
著者:八木虎造
出版社:小学館
価格:¥1,260
人生はかくも意外なものなのか。イタリア・セリアAのプロ野球選手に「うっかり」なってしまったカメラマン八木虎造氏(草野球歴20年)の抱腹絶倒の手記。運命と偶然に左右され、シチリア島で訳の分からないうちに入団テストを受け、自分がプロ野球選手になったことに気付いたのは1年も経ったあと……。笑うしかない物語が軽妙な言葉でつづられている。20個以上のフォアボールが出る試合があったり、相手チームがやって来なかったりするイタリアプロ野球に八木「選手」はどんどんのめり込んでいく。と同時にシチリア、イタリア文化へも傾倒していく様も描かれている。
しかし、ただの野球がマイナーである国での奮闘記ではない。『シチリアで野球をやっている選手たちは、「野球さえできれば何でもいいよ」と口にする人が本当に多い』仕事や経済的事情で試合に出なかったり、能力があっても上のリーグへ行かなかったりする。それでもまったく悲観的ではなく「何でもいいよ」と野球を続けていく。プロであっても受動的ではなく能動的に好きだから野球をする。これこそ本来の「スポーツをする」ことではないだろうか。
シチリア島の片田舎でも、僕らと同じ様に野球に熱狂しているイタリア人がいると考えただけでも楽しくなる一冊。