2014年、ゴルフギアのキーワードは「いるか」!? (NO BORDER GOLF編集部)
ゴルフメーカーの熾烈な開発競争によって進化が止まらないのがゴルフギアの世界。イマドキのドライバーは、クラブヘッドの重心位置をフェースに近づけた浅重心設計でバックスピン量を減らし、ライナー性の弾道で飛ばそうというのが主流になっている。今年発売されるドライバーのニューモデルには、重心位置を上下に変化させられるものまで登場したから驚きだ。重心位置を変化させることで、飛距離ロスの要因となる余分なバックスピンをなくそうというのが、ドライバーのトレンドなのだ。また、ロフト角やフェースの向きをヘッドとシャフトのジョイント部で調整できる機能を持つモデルも多く、飛距離が伸びただけでなく、持ち主のスイングに合うようにカスタマイズできるというのも魅力だ。
最新のテクノロジーを搭載したドライバーによって飛距離は飛躍的に伸びたが、そのムーブメントはフェアウェイウッドに波及し、「300ヤード飛ぶスプーン」なるものまで登場している。ドライバーの開発はある意味やり尽くした部分もあるし、反発係数やヘッド体積などにはルールによる制限もあるので、これ以上の飛距離アップは望めない。だったら同じテクノロジーをフェアウェイウッドに搭載し、新たなマーケットを作ろうというゴルフメーカーの思惑がそこに見え隠れしている。事実、2013年はフェアウェイウッドの当たり年だったと言ってもいいだろう。
そして2014年を迎えたいま、熱いのがウェッジだ。時代の流れに敏感なメーカーはいち早くウェッジの開発に力を入れ始めており、キャスコの「ドルフィンウェッジ」などのヒット作も出ている。クラブの性能が上がり、かつ飛距離が伸びた現代ゴルフにおいて、ウェッジの重要性はますます高まっているのでそれも当然か。プロゴルフツアーではボギーを叩いている場合ではないのだ。グリーンを外したときにきっちりと寄せワンでパーセーブする、またパー5では2打でグリーンの近くまで運べるケースが多いので、そこから2つであがってバーディをとることが、過酷な競争社会で生き残っていくための必要条件となる。ウェッジのロフトバリエーションを増やす傾向にある、プロのクラブセッティングからもそれは明白だ。
アマチュアにとってもウェッジの重要性は同じく高い。プロと違うのは、そこにミスショットという要素が入ってくるため、ミスの出にくいクラブが求められる、ということだろう。「ドルフィンウェッジ」のヒットの理由はまさにそこにあって、いるかを連想させるなめらかで無駄のない独自のソール形状によって、ザックリやトップのミスが出ないのだ。バンカーではフェースを開かなくてもヘッドが砂に潜らないので、バンカーショットが苦手なゴルファーでもうまく打つことができる。このオートマチックさが世のゴルファーにウケているのだろう。
ドライバーやフェアウェイウッドの飛距離を巡る争いがひと段落した感のあるいま、今後はよりやさしいウェッジを目指してメーカー間の開発競争が巻き起こる可能性は少なくない。そうなればスコアアップに直結するので、アマチュアにとっては喜ばしい傾向だと言えるだろう。
※最新ゴルフギア事情 Vol.1
(NO BORDER GOLF編集部)