ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ⑱ 1.16~1.20

 国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。開幕まで50日を切ったソチ冬季パラリンピックの前哨戦として注目される、スキー競技のワールドカップの模様のほか、2020年東京大会に向けての動きも見逃せません。

■ドイツ発
16日: ソチ冬季パラリンピックが開幕する3月7日までちょうど50日となり、国際パラリンピック委員会(IPC)がカウントダウン・キャンペーンをスタートさせた。同大会には、45カ国以上の国と地域から約600人の選手が参加、全5競技72種目が実施される予定だが、IPCは今後、1日1カ国ずつ同大会に出場する国にスポットを当て、その国にまつわるトリビアも盛り込み、大会特設ページ上で紹介していくという。

 初日はブラジルで、トリビアのひとつは同国にとってソチ大会が史上初めての出場する冬季パラリンピック出場になること。もうひとつは2012年のロンドン・パラリンピックまでに73個の金メダルを含む累計230個のメダルを獲得し、金メダル数、累計個数ともに国別順位が27位であること。特設ページにはこれらの他、全部で8つのトリビアが紹介されている。

■ロシア発
18日: 国際パラリンピック委員会(IPC)によれば、ロシアのプーチン大統領が18日、まもなく開幕するソチ冬季五輪とパラリンピックをささえるボランティアたちを直接激励したという。ソチ大会のボランティアは応募者20万人から選ばれた25,000人。この人気の高さはボランティアリズムという新しい精神がソチ大会開催決定の直接的な成果としてロシア全土に広まっていることを示すよい例であり、この精神はさらに、大会の遺産として今後も存続していくことが期待されている。
 大会ボランティアは期間中、競技会場や報道センターから交通や選手村でのサービスなど、大会のすべての活動をささえることになる。そんな彼らに向けて、大統領は語りかけた。「あなた方ボランティアが大会の素晴らしい雰囲気をつくりだしてくれることを心から願っています。選手や観客の印象を左右する大会の雰囲気をつくるのはあなたたちの力。それは最も重要な役割のひとつなのです」


■東京発
・19日~20日: アンドリュー・パーソンズ副会長率いる、国際パラリンピック委員会(IPC)の代表団が来日し、日本オリンピック委員会(JOC)と東京都、日本障害者スポーツ協会日本パラリンピック委員会(JSAD/JPC)と合同で「IPC/東京2020オリエンテーションセミナー」を開催した。
 同セミナーの目的は2020年東京パラリンピックの開催準備にあたってIPCと日本の関係団体との情報の共有をはかることで、IPC代表団からパラリンピックの概要やパラリンピック・ムーブメント、大会運営の方法といった基本的事項に関する説明が行われ、日本側からは大会実施計画のプレゼンテーションなどのほか、20年に競技会場となる一部施設の視察ツアーなども行われた。JPCとJOC、東京都など関係各団体から、2日間でのべ384人が参加した。
 20日には東京都内で報告会見が行なわれ、パーソンズ副会長が、「関係者の皆さんの熱意とやる気に感激した。(大会は)史上最高の夏季大会になるポテンシャルがある。このセミナーは20年に向けて今後6年間にわたるIPCと「東京2020」とのパートナーシップのスタートであり、大会までの期間は日本とアジアにおけるパラリンピック・ムーブメントを広める最高のチャンス。大会の成功に向けて、我々も精一杯サポートしたい」と話した。
[caption id="attachment_18653" align="alignnone" width="363"] 会見の最後に“強い連携”を誓う、(左から)ハビエル・ゴンザレスIPC CEO、アンドリュー・パーソンズIPC副会長、鳥原光憲JPC委員長、山脇康IPC理事[/caption]

 また、東京では1964年の五輪と併催で第2回パラリンピックが開かれたが、IPCのハビエル・ゴンザレスCEO(最高執行責任者)は、「20年大会は史上初めて同一都市で行われる2度目のパラリンピックとなる。前回とはパラリンピックの大会自体も変化し、価値も高まっているなか、(20年への)期待は大きい」と強調。
 鳥原光憲JSAD会長兼JPC委員長は、「東京大会がパラリンピック・ムーブメントを一層推進し、パラリンピックの認知と成熟度を高める大会になるという大きな期待を感じた。20年に世界中の選手や関係者が競技に全力を注げる最高の環境を提供できるよう、引き続きIPCと緊密に連携し、全力で準備を進めていきたい」と決意を示し、成功のカギとして、「意識改革が重要だ。パラスポーツの魅力は社会にまだ十分に認識されていないのが現状なので、まず魅力を世間に伝えていく活動に全力をあげたい。特に子どもたちにしっかりと伝えたい。さらに、社会全体や企業にも伝えていきたい」と話した。
 同会見には、昨年11月に日本から11年ぶりにIPC理事に選出された山脇康日本障害者スポーツ協会理事兼JPC副委員長も同席した。

■アルペンスキー
・17日: IPCアルペンスキーのワールドカップ第5戦が世界15カ国から75選手を集めてアメリカ・コロラド州で開幕。初日は男女大回転が行われ、男子座位で森井大輝(富士通セミコンダクター)が1分57秒06で優勝。日本チームに勢いをつけた。森井は2010年バンクーバー冬季パラリンピックの同種目で銀メダルを獲得。主将として臨むソチ大会での連覇にも期待が高まった。

・18日: 男女回転が行われ、男子座位で鈴木猛史(駿河台大学)が1分24秒27で2位に入った。1本目は40秒29で首位に立ったが、2本目は43秒98で3位に順位を落とし、フランス選手に逆転された。

・19日: 前日につづき、男女回転の2回目が行われ、男子座位で前日2位の鈴木猛史がリベンジを果たした。1本目で首位(39秒49)に立ち、2本目も42秒03とまとめてトップを守り、合計1分21秒52で、表彰台の頂点に上がった。

・20日: 男女大回転の2回目が行われ、女子座位で村岡桃佳(正智深谷高等学校)が今大会初優勝を飾った。1本目は1分04秒03で4位だったが、2本目に上位陣が相次いで途中棄権するなか、村岡は堅実な滑りで1分05秒76の2位と粘り、合計2分09秒79でトップに躍り出た。男子座位では鈴木猛史が、1本目は58秒41で6位だったが、2本目は上位陣が順位を落とすなか、57秒53の4位と順位を上げ、合計1分55秒94で2位に躍進、3日連続の表彰台を達成。
 この日で第5戦は終了。日本選手の多くは帰国後、25日から28日に長野県白馬村で開かれる、「2014ジャパン パラアルペンスキー競技大会」に出場する予定。


■ウィルチェアラグビー
・17日~19日: 「マーダー(殺人)ボール」とも呼ばれ、車椅子同士の激しいぶつかり合いも見どころのウィルチェアラグビー。その、クラブチーム日本一を決める日本選手権大会が千葉ポートアリーナ(千葉市)で開かれ、15回目となる今年は各地の予選リーグを勝ち抜いた全8チームが出場。熱戦の末、前年覇者のブリッツ(BLITZ/埼玉)がアックス(AXE/埼玉)を64-49で退け、連覇を達成。北海道ビッグディッパーズ(Big Deppers)が58-55でライズ(千葉)を振りきり、3位になった。また、ビッグディッパーズの池崎大輔が最優秀選手(MVP)に選ばれた。最終順位は以下の通り。

優 勝:ブリッツ
準優勝:アックス
 3位:北海道ビッグディッパーズ
 4位:ライズ(千葉)
 5位:沖縄ハリケーンズ(Okinawa Huricanes)
 6位:ブラスト(BLAST/千葉)
 7位:ヒート(HEAT/大阪)
 8位:フリーダム(Freedom/高知)

■ノルディックスキー
・17日: IPCノルディックスキー・ワールドカップのクロスカントリースキー競技の最終戦(~19日)がドイツのオーベストドルフで開幕した。大会はソチ冬季パラリンピックの前哨戦として注目されていた。初日は男女ロング・フリースタイル(男子20km、女子15km)が行われ、出場した日本人5選手では女子立位の出来島桃子(新発田市役所)の4位(46分27秒6)が最高位だった。

・18日: 男女スプリント・フリースタイル(男女とも1.2km)が行われ、男子立位で新田佳浩が、女子立位で太田渉子(ともに日立ソリューションズ)が揃って3位に入った。タイムはそれぞれ2分37秒27と、3分17秒10だった。

・19日: 男女ミドル・クラシカルが行われ、男子立位(10km)で新田佳浩が27分29秒9で、前日のスプリント・フリースタイルにつづいて3位。新田が「本命」とする同種目での表彰台は、開幕が迫ったソチ大会へのよい弾みとなったようだ。
 日本障害者クロスカントリースキー協会によれば、この日は気温が高く、湿雪でのレースとなったが、新田は、「気温が非常に高く、ソチに近いコース条件の中で、表彰台に立つことができたのは非常に良かったと思う。この条件に合った板を作ってもらったワックスマン、コースで応援してくれたスタッフや選手に感謝したい。ソチに向けて、応援してくれている多くの方々に感謝をし、良い形で本番を迎えられるように、しっかりと準備をしていきたい」とコメント。

(カンパラプレス配信+NBSオリジナル)
写真:星野恭子