ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

『NIPPONスポーツ宣言2013』への賛同署名を求めます(広瀬一郎&玉木正之)

 2013年9月7日。ブエノスアイレスでのIOC総会で、東京での2度目のオリンピック・パラリンピックの開催が決まりました。
「オ・モ・テ・ナ・シ」は年間の流行語大賞にもなるなど、その決定はスポーツ界だけでなく、日本の社会全体にも大きな影響を及ぼしています。国民の多くが、2020年の開催に向けて希望を抱いたことは、ほんとうに喜ばしいことと言えるでしょう。

 私たちは、もちろん、その慶事に水を差すつもりではありません。
 しかし、有頂天になって浮かれているように見える我が国のスポーツ界に対して、無条件に100パーセント同調する気にはなれない、とも感じています。

 言うまでもありませんが、オリンピック開催が決まったことで、日本のスポーツ界が現在も抱えている問題が解決したわけではありません。むしろ、東京オリンピックが開催されるまでの実質6年間のあいだに、これまで手をこまねいて手つかずだった「構造的な問題」に着手する良い機会が与えられた、ととらえるべきではないでしょうか。

 この国のスポーツ界に残る多くの構造的な問題は、「体育とスポーツの混同」という点から派生していると考えています。
 この国において真のスポーツ理解を阻害している起点は、どうもこの点に求めることができそうです。

 例えば、選手宣誓の時の「スポーツマンシップに則って」という、誰にとっても聞き慣れたフレーズ。ここには「スポーツマンシップとは何かが、皆に理解されているはず」という前提があります。「はず」ですが、実態はそうなっていないこと。しかも、その状態が長いあいだ放置されつづけてきたという事実は、我が国の「スポーツ理解のいびつな実態」を象徴しているように思われます。

 スポーツを愛する者ならば、誰もが「スポーツマンシップ」の重要性を理解しているはずです。が、最も基本的なこのこと――「スポーツマンシップとは、どういうことか?」「スポーツとは何か?」ということを、じつは理解しないまま(あるいは理解させないまま)、あたかも理解しているように選手宣誓は繰り返されてきました。これは、無意識のうちのゴマカシと言える行為にほかなりません。

 私たちは、こういったスポーツにおけるゴマカシを放置したまま、オリンピックを開催することを潔しとしません。オリンピック開催にふさわしい国となって、胸を張って世界のスポーツファンを迎えたい。その時に始めて、表面を取りつくろうだけでなく、本当に心のこもった「オ・モ・テ・ナ・シ」ができるのではないでしょうか。

 そんな思いで、2013年12月10日に東京青山のベルコモンズにて、「日本のスポーツを考える」をテーマに、シンポジウムを催しました(過去の記事をご参照ください)。そして、そのシンポジウムの最後に、以下に示す『NIPPONスポーツ宣言2013』と名付けた宣言書を採択しました。

 この『スポーツ宣言』は、これから活動する改革の出発点にしたいと考えています。そして、多くの方の賛同と協力を得ることを希望します。この『宣言』に賛同してくださる方は、署名を寄せてください。宣言書は、賛同してくださった方々の署名とともに、来年中にまとめて文部科学省に提出したいと考えています。どうか御協力をよろしくお願いします。
                               以上

        広瀬一郎
        (スポーマンシップ育成会理事長)
        玉木正之
        (スポーツ評論家・NOBORDER SPORTS主筆編集長)

  『NIPPONスポーツ宣言2013』
   1.日本人の誰もに、スポーツの正しい理解を広めよう。
   2.日本のスポーツ界から「敵」という言葉をなくそう。
   3.「体育の日」の名称を「スポーツの日」に変えよう。

                  2013年12月10日
             日本のスポーツを考える会 発起人一同

             
 上記「スポーツ宣言」に賛同していただける方は、下記URLにてご署名をお願いします。
http://www.sports-soken.com/seminar/declaration/

 2013年12月10日、東京・青山のベルコモンズにて開催されたシンポジウム参加者は下記の通り。
  潮 智史(朝日新聞編集委員)
  遠藤利明(衆院議員/スポーツ議員連盟幹事長
       /2020年東京オリパラ大会推進議連幹事長)
  玉木正之(スポーツ評論家/NOBORDER SPORTS主筆編集長)
  西野 努(元浦和レッズ選手
       /オプト・スポーツ・インターナショナル代表取締役)
  広瀬一郎(スポーツマンシップ育成会理事長)
                       以上(アイウエオ順)

(『NIPPONスポーツ宣言2013』に賛同される方は、こちらからアクセスしていただき、表示された入力フォームより登録してください。フォームにご入力後、所属とお名前がスポーツ総合研究所の『NIPPONスポーツ宣言2013』のサイト上に公開されます。)