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星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ⑬12.8~12.16

 国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今回は、開幕まで3カ月を切ったソチ・パラリンピックを見据えた戦いが期待される、ノルディック・スキーのワールドカップ第1戦の模様のほか、盲人マラソンでの日本新記録誕生など、各地の大会をリポートしています。

■パワーリフティング
・8日: 第14回全日本障害者パワーリフティング選手権大会が日本体育大学・世田谷キャンパス(東京・世田谷区)で開催され、国際パラリンピック委員会(IPC)公認の部で全13階級、視覚障害の部で2階級の競技が行われた。

IPC公認の部男子88kg級では大堂秀樹が162.0kgを挙げ、優勝した。ロンドンパラリンピック6位入賞の大堂はパークレイズ杯(平成25年度最優秀選手賞)も受賞した。また、競技会最優秀選手賞には、女子50㎏級で66.0kgをクリアして優勝した小林浩美と、男子88kg級で152.0kgをマークして準優勝した斉藤伸宏が選ばれた。詳しい大会結果は日本ディスエイブル・パワーリフティング連盟の公式サイトで確認できる。こちらへ。

■ノルディック・スキー
・9日: 国際パラリンピック委員会(IPC)主催のワールドカップ(W杯)の第1戦が、カナダ・キャンモアで開幕した。世界12カ国から約100選手が集まるなか、日本からはソチ代表に内定選手ら計6名がエントリー。この日はクロスカントリー(距離)競技が行われ、立位女子5kmフリーで太田渉子(日立ソリューションズ)が16分19秒8で2位、出来島桃子(新発田市役所)が17分10秒7で3位に入った。1位は15分12秒2をマークした、ロシアのアレーナ・カウフマン。座位男子10kmフリーはロシアのグリゴリ・ムリジンが30分46秒9で1位。現在、世界ランク5位の久保恒造(日立ソリューションズ)は31分56秒0で6位だった。

・10日: クロスカントリー競技のスプリント種目が行われ、立位女子1.25kmクラシカルで太田が4分04秒57で2位、立位男子1.25kmクラシカルで、新田は3分16秒9で6位。

・12日: クロスカントリー競技のクラシカルスタイル・ロング種目が行われ、座位男子15㎞で久保が38分53秒1で5位、立位男子20kmで新田が58分00秒2で5位。この日でクロスカントリー競技は終了し、ロシアが全18個のメダルのうち15個を獲得し、圧倒的強さを見せた。なお、今季W杯のクロスカントリー競技の個人ランキングはこの日までで、座位男子は久保がW杯ポイント121点で6位、立位男子は新田が同109点で8位、立位女子は太田が同160点で3位、出来島が同60点で5位にランクされた。

・14日: W杯第1戦のバイアスロン競技が始まった。この日はショートの部が行われ、座位男子7.5㎞で世界ランク1位の久保が22分03秒3で2位に入った。金メダルはイレク・ザリポフ(ロシア)で21分54秒4。立位男子7.5kmは佐藤圭一(エイベックス・グループ・ホールディングス)が20分22秒3で5位に入った。立位女子6kmでは出来島が20分10秒0で3位、太田が22分11秒5で5位。

・15日: バイアスロン競技ミドルの部が行われ、座位男子12.5㎞で久保が41分07秒9で2位。トップのロマン・ペトゥシコフ(ロシア)とは10秒6差だった。立位女子10kmでは、出来島が35分33秒9で3位、太田渉が36分47秒0で4位だった。優勝はナタリア・ブラティウク(ロシア)で34分54秒1。立位男子12.5kmは佐藤が39分15秒0で10位だった。

・18日: バイアスロン競技ロングの部が行われ、座位男子15㎞で久保が41分02秒7で2位。1位は40分06秒8をマークしたペトゥシコフ(ロシア)で、ミドル(12.5km)に続く2冠。立位女子12.5kmでは、出来島が47分14秒1で3位、太田は51分05秒2で5位。立位男子15kmは佐藤が45分19秒0で4位だった。大会はこの日で全日程を終了した。なお、今季W杯のバイアスロン競技の個人ランキングはこの日時点で、座位男子は久保がW杯ポイント240点で2位、立位男子は佐藤が同121点で7位、立位女子は出来島が同180点で3位、太田が同140点で5位につけた。


■盲人マラソン
・15日: 第44回防府マラソンが開催され、日本盲人マラソン協会(JBMA)の強化指定選手数名が参加した。JBMA女子強化選手6人のうちのひとり、道下美里(T12/弱視クラス)が自己記録3時間9分55秒を大きく上回る3時間6分32秒をマークし、同クラスの日本新記録も更新した。タイムはIPC公認記録として、今後の国際大会派遣の選考基準にもなるという。

■ブラインド・サッカー
・15日: 荒天のため10月から延期されていた「関東リーグ2013」の第5節分の2試合が行われ、B1(全盲)クラスではbuen cambio yokohama(神奈川)が埼玉T.Wings(埼玉)を1-0で、B2/3(弱視)クラスではA.C.TOKYO(東京)がS.C.SFIDAつくば(茨城)を1-0で下した。また、B1(全盲)クラスのもう1試合は山梨キッカーズ(山梨)の棄権により、たまハッサーズが不戦勝を収めた(規定により、得点は3-0)。

この日をもって、関東圏のチームが参加して8月から開催されていた同リーグは8節にわたる全日程を終了して閉幕した。B1クラスでは、Avanzareつくば(茨城)が2連覇を飾り、B2/B3クラスでは昨年2位のA.C.TOKYO(東京)が悲願の優勝を果たした。各クラスの最終順位は以下の通り。

●2013年度最終順位
[B1]
 1位 Avanzareつくば     勝点12 (得失点差+7)
 2位 たまハッサーズ      勝点10
 3位 buen cambio yokohama 勝点10 (+5)
 4位 松戸・乃木坂ユナイテッド 勝点9 (+1)
 5位 埼玉T.Wings       勝点3 (0)
 6位 山梨キッカーズ      勝点0 (-21)
[B2/B3]
 1位 A.C.TOKYO        勝点10 (+4)
 2位 S.C.SFIDAつくば     勝点4 (-1)
 3位 東京N-flugels      勝点2 (-3)


■ドイツ発 
【2013年度パラスポーツ『最高の瞬間』トップ50】
(詳細は、IPC公式サイトまで。上記をClickしてください。)
 国際パラリンピック委員会(IPC)が12月31日までカウントダウン形式で毎日発表するリストを、コンパクトに紹介するシリーズ。

No.22: ボッチャ・ヨーロッパ選手権(6月/ポルトガル)で、BC3クラス(⇒註)のマセド選手(ポルトガル)は優勝候補のギリシャ選手を接戦の末に退け、優勝した。

⇒BC3: ボッチャは重度脳性まひ者、もしくは同程度の四肢重度機能障害者のために考案された球技で、競技は男女の区別なく、障害の程度の重いほうから順にBC1~4のクラスに別れて行われる。

No.21: ロンドン・パラリンピックで銅メダルに終わったウィルチェア(車椅子)ラグビーのアメリカ代表は2013年、ウイルチェアラグビー・チャレンジ(6月/デンマーク)、3カ国トーナメント(9月/オーストラリア)、そしてIWRFアメリカ大陸選手権(10月/アメリカ)の3大会全てで優勝し、世界ランク1位に返り咲いた。

No.20: 車椅子フェンシング世界選手権(8月/ハンガリー)で、中国チームが圧勝した。個人では男女5つずつ計10個の金メダルを、団体では男子エペとフルーレ、女子エペで3つの金メダルを獲得した。

No.19: 車椅子カーリング世界選手権(2月/ロシア)でカナダが優勝。チームの主力、ガーデット選手にとって2009年、11年に続く3つ目の世界タイトル獲得であり、パラリンピックでも06年、10年と金メダルに輝き、来年のソチ・パラリンピックで3つ目の金メダルを狙う。ちなみにパラリンピックで2つの金メダルを獲得したカーリング選手はガーデット選手のみ。

No.18: IPC水泳世界選手権(8月/カナダ)でウクライナが合計84個(金33、銀22、銅29)を獲得し、2位ロシアに30個差をつけて国別メダル獲得数で圧勝した。スバイデルスカ選手とバイノラデット選手がそれぞれ個人7冠に輝き、チーム勝利に大きく貢献。

No.17: 車椅子テニスプレーヤーのシットホール選手がUSオープン(9月/アメリカ)のクオードの部(⇒註)で、世界ランク1位のアメリカ選手をフルセットの末に下して初優勝を果たした。南アフリカ人によるグランドスラム大会の制覇は史上初の快挙。

⇒クオード(四肢まひ): まひなどの機能障害が3肢以上にみられる重度障害の人のクラス。オーバーハンドサービスができない、手動車いすの操作に支障がある、ラケットを握るのに支障があるためテープで固定したり、補助具を使う必要があるなど、障害の内容や程度には個人差が大きい。男女の区別はなく1クラスとして実施される。

No.16: IPCパワーリフティング・アジア・オープン選手権(11月/マレーシア)で男子107kg級のポーミルザエイ選手(イラン)が276kgを挙げて優勝。それまでの世界記録を36kgも上回る大記録だった。

(カンパラプレス配信+NBSオリジナル)