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星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ⑩11.19~11.25

 国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今回は、来年の世界選手権出場権をかけた地区予選会の戦況などのほか、国際パラリンピック委員会が発表した、2012年ロンドン・パラリンピックで活躍した選手らを表彰する「パラリンピック・アワード」をリポートしています。

■車椅子マラソン
・19日: 国際パラリンピック委員会(IPC)は2014年4月のロンドン・マラソンで開催されるIPC陸上競技マラソン・ワールドカップの実施クラスとして、新たにT51-52(車いす)クラスも加えると発表した。IPCマラソン・ワールドカップはIPC陸上の新たな公式競技会として、2013年のロンドン・マラソン大会に併催される形で初開催されたが、実施クラスはT42-46(四肢切断)、T11-13(視覚障害)、T53-54(車いす)の3クラス(男女別)のみだった。新たに加えられるT51-52は、T53-54よりも障害の程度が重度になる。ロンドン・マラソンとの併催によるIPCワールドカップは少なくとも2017年までの実施が決定している。

■ウィルチェア・ラグビー
・20日: 4カ国(日本、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ)が参加して、IWRF2013アジア・オセアニア選手権が南アフリカで開幕した。大会は2014ウィルチェア・ラグビー世界選手権(8月/デンマーク)の予選も兼ねており、上位2チームが世界選手権の切符を手にする。世界ランク5位の日本はこの日、ニュージーランド(同10位)と南アフリカ(同25位)と対戦し、それぞれ55-40、66-31で勝利を収め、好発進した。(⇒IWRF:国際ウィルチェア・ラグビー連盟)

・22日: 予選ラウンドを終了し、日本は6勝0敗で決勝に進出。オーストラリア(同2位)とニュージーランドが3勝3敗で並んだが得失点差でオーストラリアが決勝に進んだ。この結果、日本とオーストラリアが2014世界選手権出場権を獲得。

・23日: 決勝戦では、予選全勝の日本がオーストラリアに終始リードを許し、48ー55で敗れ、銀メダルに終わった。3位決定戦はニュージーランドが南アフリカを65ー33で下し、銅メダルを獲得した。


■車椅子バスケットボール
・22日: IWBFアジア・オセアニア地区車椅子バスケットボール選手権大会がタイで開幕した。男子は日本など10チーム、女子は日本を含む4チームがエントリー。2014年世界選手権(6月/韓国・仁川)の予選会を兼ねており、男女とも上位3カ国が出場権を得る。初日の日本は、男子がイランと対戦し、接戦の末、71-72で敗れた。女子はオーストラリアに28-64で敗れた。(⇒IWBF:国際車椅子バスケットボール連盟)

●男子:
 グループA:日本、イラン、中国、マレーシア、台湾
 グループB:オーストラリア、韓国、クエート、ニュージーランド、タイ
●女子:
 オーストラリア、日本、中国、タイ

・25日: 男子は予選リーグが終了し、日本は3勝1敗でグループAの2位となり、27日からの決勝トーナメントに進んだ。女子の予選リーグは総当たり戦を2回行うため、27日まで続く。日本はこの日までに4戦し、2勝2敗となっている。

■アテネ発
・23日: 国際パラリンピック委員会(IPC)は、2012年ロンドン・パラリンピックで活躍したアスリートらを表彰する「パラリンピック・アワード」の発表・表彰式をギリシャ・アテネで行った。スポーツ部門6カテゴリー、メディア部門4カテゴリーの受賞者と主な受賞理由は以下の通り。

[スポーツ部門]
・ベスト女子:エステル・フェルヘール(オランダ)/車いすテニスで、シングルスでは4連覇達成、ダブルスでは2個目の金メダルを獲得。
・ベスト男子:デイビッド・ヴェアー(イギリス)/陸上競技T54(車いす)で、800m、1500m、5000m、マラソンの4種目で金メダル獲得。
・ベスト初出場女子:マーロウ・ファン・リジン(オランダ)/陸上競技T44(両膝下義足)クラスの100mで銀メダル、200mで金メダルを獲得。
・ベスト初出場男子:アレックス・ザナルディ(イタリア)/H4(ハンドサイクル)クラスの、個人ロードレースと個人タイムトライアルで2冠達成、混合リレー(H1-4)でイタリアチームの銀メダル獲得に貢献。
・ベストチーム:視覚障害サッカーブラジルチーム(ブラジル)/金メダルを獲得し、2004年アテネ、08年北京に続き3連覇を達成。
・ベスト審判: シルビア・ゼコウスカ(ドイツ)/車いすラグビーのヘッド・テーブルオフィシャルとしての活躍に加え、審判トレーニングプログラムなどにも貢献。

[メディア部門]
・ベスト・テレビ放送: チャンネル4(イギリス)/大会期間中、500時間以上にもわたるテレビ放送により、大会の普及、宣伝に貢献。
・ベスト新聞:テレグラフ・メディアグループ(イギリス)/新聞とオンラインでの幅広い大会カバー記事の掲載。
・ベスト・ラジオ放送:BBCワールドサービス(イギリス)/ラジオ放送により、大会の普及、宣伝に貢献。
・ベスト写真:エドモントン・ジャーナル(カナダ)のカメラ記者ラリー・ウォン/水泳カナダチームのベノイト・ウォット選手の勝利の瞬間の写真。


■ドイツ発 
【2013年度パラスポーツ『最高の瞬間』トップ50】
(詳細は、IPC公式サイトまで。上記をClickしてください。)
 国際パラリンピック委員会(IPC)が12月31日までカウントダウン形式で毎日発表するリストを、コンパクトに紹介するシリーズ。

No.43: ブラジル・サンパウロ市で1月、2016年リオ・パラリンピック開催準備の一環として、同国初となるパラリンピアン専用のトレーニング・センターの建設が始まった。2015年に完成後、2016年の大会本番を経て、将来的にも障害者スポーツ・センターとして活用される計画という。

No. 42: パラ・カヌー世界選手権(8月/ドイツ)で、スワボダ選手(オーストリア)が 男子カヤックシングル(K-1)200m TAクラスで2連覇を達成した。好スタートを切ったスワボダは、ロシアとイタリアの選手に猛追されたが、40秒79で逃げ切った。

No. 41: 脳性麻痺者サッカーのインターコンチネンタル・カップ(8月/スペイン)でブラジルが銀メダルを獲得。長年続いたウクライナ、ロシア、イランのトップ3に割って入り、2016リオ・パラリンピックのメダル候補に名乗りを上げた。

No. 40: パラ卓球アジア選手権(10月/北京)でロンドン・パラリンピック2冠のフェン選手(中国)が個人(C3クラス)、団体とも金メダルを獲得。来年の世界選手権の出場権も手にし、世界ランキングもシュミットバーガー選手(ドイツ)に続く、第2位に上がった。

No. 39: 全仏オープン車いすテニスの部(6月/パリ)で、地元のウデ選手(フランス)が男子シングルスで世界ランク1位の国枝慎吾を破り、2連覇を達成。さらに、国枝と組んだダブルスでも優勝し、2冠に輝いた。

No. 38: 10月、ユースを対象にした国際大会があいついで開催された。パンアメリカン大会には16カ国から600人以上の選手が10競技に参加。アジア大会には28カ国から約1300選手が14競技に参加。それぞれ史上最大規模での開催となり、パラリンピック・ムーブメントの裾野の広がりと将来への可能性を感じさせた。

No. 37: パラリンピアン2人がそれぞれパラリンピック・ムーブメントの普及啓発を目的にしたチャリティ・イベントに挑戦し、成功を収めた。まず、車いすレーサーのチャルマース選手(アメリカ)がロサンゼルスからニューヨークまで約3,500マイル(5,600km)を71日間(4月~6月)かけて車いすで走破。一方、両脚義足のスプリンター、ホワイトヘッド選手(イギリス)は今夏、「40日間毎日マラソン」を完走した。

(カンパラプレス配信+NBSオリジナル)