星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ⑨11.12~11.18
国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今回は、ゴールボールと車椅子バスケットボールの国際大会で、日本代表が活躍した模様を。また、国際パラリンピック委員会(IPC)がカウントダウン形式で公開を始めた「2013年度パラスポーツ『最高の瞬間』トップ50」を当連載でもコンパクトに紹介していきます。
■ゴールボール
・15日: 開催中のIBSA(国際視覚障害者スポーツ協会)アジア・オセアニア選手権大会(中国・北京)で、6チームが参加している男子は、日本(世界ランク21位)、イラン(同13位)、中国(同16位)、が予選リーグ3勝1敗で並び、2014年世界選手権(6月/フィンランド)への2枚の切符獲得に向け、激しい戦いを続行中。
女子は予選リーグ最終日で、中国(同2位)が3勝3引き分けで決勝進出を決めた。日本(同4位/2勝1敗3引き分け)とイラン(ランクなし/2勝2敗2引き分け)が準決勝に進んだ。なお、2014年世界選手権出場権は、昨年のロンドン・パラリンピックでそれぞれ金、銀メダルの日本と中国がすでに出場権を得ているため、イランが獲得した。
・16日: 男子の準決勝は2試合とも1点を争う熱戦となった。まず、イランが中国を3-2で振り切り、続いて日本もオーストラリアを3-2で下した。この結果、イランと日本が悲願のフィンランド世界選手権への切符を手にした。女子の準決勝は、日本がイランに3-2で競り勝った。
・17日: 大会最終日。男子決勝ではイランが日本を14-4と圧倒し、優勝した。イランのモハマド・ベッドゴリ監督は、「(2014)世界選手権の切符を得るため、7回の合宿でハードな練習を重ねてきた。とてもいい大会 だった」とコメント。また、中国が10-1でオーストラリアを下し、銅メダルを獲得した。
ここ数大会でライバル関係にある日本-中国で争われた女子決勝は、延長戦を終えてなお0-0と緊迫した試合になった。エクストラスロー(⇒註1)に入って中国は3本とも決めたが、日本は中国の鉄壁のディフェンスの前に無得点に終わった。
⇒1)エクストラスロー: サッカーのPK戦に似たルールで、前後半12分ハーフ、ハーフタイム3分の正規時間(レギュラータイム)と、ゴールデンゴール形式の3分間x2回(ハーフタイム3分)の延長戦でも決着がつかない場合、勝敗を決めるために行われる投球合戦。
■車椅子バスケットボール
・15日: 「北九州市制50周年記念 国際車椅子バスケットボール大会」が福岡県北九州市で開幕した。男子のみの大会で、日本、オーストラリア、カナダ、韓国の4カ国が出場。総当たりの予選リーグを経て、17日に決勝戦と3位決定戦が行われる。初日は日本が韓国に、また、昨年のロンドン・パラリンピック金メダルのカナダが同銀メダルのオーストラリアに勝利。
・17日: 大会最終日。予選リーグを終え、カナダとオーストラリアが2勝1敗、日本が1勝2敗、韓国が3敗となり、続く3位決定戦で日本が韓国を破って3位に、決勝ではオーストラリアがカナダを下し、優勝した。両国は昨年のロンドン・パラリンピック決勝で対戦し、銀メダルに終わったオーストラリアが借りを返した形になった。なお、今大会はインターネット(ユーストリーム)で中継された。
■ブラインドサッカー
・17日:「東北・北信越リーグ2013」(⇒註2)の第2節が、スパークさかき(長野県びんぐしの里)で行われた。新潟フェニックスファイヤーズがコルジャ仙台FCを2-1で、F.C.長野RAINBOWを5-0で下し、仙台対長野は0-0で引き分けた。第2節を終えて、新潟4勝0敗で首位に立ち、仙台が2敗2引き分けで並ぶ長野を得失点差で抑え、2位となっている。
⇒2)東北・北信越リーグ: 東北・北信越を活動拠点とするチームが参加し、同地区のチャンピオンを目指す公式のリーグ戦。今年度はB1(全盲)クラスの3チーム(新潟フェニックスファイヤーズ/コルジャ仙台FC/F.C.長野RAINBOW)が参加している。
■ドイツ発
・12日: 国際パラリンピック委員会(IPC)はこの日から12月31日まで、「2013年度パラスポーツ『最高の瞬間』トップ50」をカウントダウン形式で毎日公開すると発表。さっそく第50位からスタートした。
【2013年度パラスポーツ『最高の瞬間』トップ50】
(詳細は、IPC公式サイトまで。上記をClickしてください。)
No.50: パラアーチェリーのヨーロッパ王者でパラリンピック金メダリストのテュチノフ選手(ロシア)がついに世界選手権(11月/タイ)も制覇。
No.49: 競泳世界選手権(8月/カナダ)に、ナミビア人として初めてナシロスキー選手が出場を果たし、同国のパラスポーツ史に新たなページを記した。
No.48: パラサイクリングのワールドカップと世界選手権(ともに8月/カナダ)のハンドサイクルの部で、ザナルディ選手(イタリア)とバン・ダイク選手(南アフリカ)がデッドヒートを繰り返した。新たなライバル関係が誕生。
No.47: アルペンスキー世界選手権(2月/スペイン)の視覚障害の部でパラリンピック3大会連続出場のサンタカーニャ選手(スペイン)が滑降、大回転、スーパー複合で3冠に輝く。
No.46: パワーリフティングのヨーロッパ選手権(5月/ロシア)で、フランスのガズゥオーニ選手が150㎏をクリアし、女子73㎏級の世界新記録を更新。
No.45: ゴールボールのヨーロッパ選手権(11月/トルコ)で、世界ランク5位のリトアニア男子チームが、エクストラスローの末、スペインを下し、悲願の金メダルを獲得。
No.44: 車いすダンス競技(⇒註3)が活動を大幅に拡充。公式サイトのリニューアルやフェイスブックページ創設のほか、一部ルールの改正を行った。さらに8月にはロシアで大陸選手権を開催し、12月には東京(7日~8日/世田谷区駒沢体育館)で第8回世界車いすダンススポーツ選手権の開催も決まっている。
⇒3)車いすダンス競技:車いすのダンサー(ウィルチェア・ドライバー)と立ち役の健常者(スタンディング・パートナー)がペアとなって踊るダンス競技で、1996年にIPCより障害者スポーツとして認定され、2014年のアジアパラリンピック大会(韓国)の正式種目としても承認されている。
(カンパラプレス配信+NBSオリジナル)