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チャンプ

 ボクシングの世界王者に上り詰めながら、激しい頭痛に苦しみ引退。酒とギャンブルにおぼれ、妻にも逃げられたビリー(ジョン・ボイト)は競馬場で働きながら、8歳の一人息子(リッキー・シュローダー)と、貧しくも仲良く暮らしている。そんな親子ふたりの前に偶然、交通事故で亡くなったと説明していた母アニー(フェイ・ダナウェイ)が現れる。離婚後にデザイナーとして成功をおさめ、すでに再婚もしていたアニーは息子との再会を望むが、ビリーは「いまさら母親面するつもりか」と強く拒む。
 元夫婦、母と息子、そして父と息子。それぞれに葛藤を抱えるなか、大好きな父親のことをいつまでも「チャンプ」の愛称で呼ぶ息子のため、ビリーはカムバックを決意。息子がセコンドにつき、客席に座る元妻の前で、8年ぶりの世界タイトルマッチのリングに立つ。
 見応えあるボクシングシーンの技術指導(殺陣)は、「ロッキー」と同じジミー・ガンビナが担当。タイトルマッチの相手役を務めたランドール・コッブは実際のヘビー級プロボクサーで、のちに世界ランカー入り。82年にはラリー・ホームズのWBC級王座に挑戦(判定負け)している。
 キング・ビダー監督、ウォーレス・ビアリー主演で1931年に公開された作品のリメイク映画。
 この79年版のDVDには特典として、主演のジョン・ボイトと、撮影当時の8歳から32歳へと成長したリッキー・シュローダーの「親子」が、ふたりで本編を観ながら語り合う解説が付いている。すでにご覧の方も多いお馴染みの作品だろうが、この解説を聴くだけでもDVDを購入する価値がある。