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ザ・ファイター 

 WBUというマイナー団体でウェルター級王者になったミッキー・ウォード(マーク・ウォールバーグ)と、あのシュガー・レイ・レナードから一度だけダウンを奪ったことで地元の英雄になったあと、薬物におぼれて刑務所入りをくり返している兄のディッキー・エクルンド(クリスチャン・ベイル)。実直なパワーファイターの弟と、天才肌のアウトボクサーの兄。性格もボクシングスタイルも異なる実在の兄弟ふたりをモデルに、こちらも実際にマネージャーを務めていた過保護なステージ・ママ(リング・ママ?)やら、弟の稼ぎに寄り掛かる9人の姉妹やら、理解ある父親やら、ミッキーの恋人やらが絡んで織りなすボクシング家庭劇。
 引退後のレナードが、テレビ中継の解説者として本人役で出演しているのも、ボクシングファンにはうれしいボーナス。エンドロールでは、本物のディッキーとミッキーの兄弟の姿も見ることができる。
 単純なハッピーエンドのハリウッド映画ではあるが、興奮してきっちりと楽しめる。結局のところ、ボクシング映画はイロイロと苦労があって、最後に主人公が勝つと文句なしに感激できる…、ということなのかも。 
 ちなみに、現実のディッキー・エクルンド対シュガー・レイ・レナードの一戦は、1978年7月18日に10回戦で行われ、第9ラウンドに先に一度ダウンしたディッキーが、同じラウンドの2分50秒にレナードからダウンを奪い返している(レナード側はスリップを主張)。試合はレナードが判定勝ちをおさめた。