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打撃王(原題:The Pride of the Yankees)

 現役生活17年間で通算2,721安打、493本塁打、1,995打点。連続2,130試合出場。三冠王1度(1934年)、MVPが2度(27年、36年)。「マーダラーズ・ロウ(murderers’ row 殺人打線)」の中心として、ニューヨーク・ヤンキースのワールドシリーズ4連覇を牽引した不世出の大打者ルー・ゲーリック。彼の少年時代から「今日の私は地上で一番幸運な男です」のスピーチで知られる引退セレモニーまでを描いた伝記物語。
 運動機能を失う脊髄の難病「筋委縮性側索硬化症」のため、37歳の若さでゲーリックが亡くなった翌年に、ヤンキースの協力のもと制作、公開された。
 日本では49(昭和24)年に劇場公開。ゲーリックと同じ左利きの一塁手・王貞治も子どもの頃、兄に連れられ映画館で観た覚えがあり、巨人の選手になったあと、ある人物からルースとゲーリッグのサインボールを見せられて、「どちらかをあげる」と言われたとき、迷わずゲーリッグのサインボールに手を伸ばしたそうだ。
 ベーブ・ルース、ビル・ディッキーといった、ゲーリックと同じ時代にヤンキースのユニフォームを着ていた名選手たちが本人役で出演していることもあって、野球のシーンは映画用に撮影されたものなのか、当時の実際の映像なのか。区別がつかない。
 シンプルな偉人伝で脚色されたエピソードも多いのだが、1900年代初期のMLBのロッカールームや、先輩ルースとの微妙なライバル関係をうかがわせるなど、野球ファンの心をくすぐる場面が次々に続く。ラストシーンで大写しになる背番号「4」は、ヤンキースの永久欠番になっている。