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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」⑤10.14~10.23

 「パラスポーツ・ピックアップ」は、国内外各地から届くパラリンピック競技の話題を独自にセレクトし、1週間分まとめてお送りするシリーズです。
 今回は、日本の頂点を目指す戦いから、開幕まで5カ月を切ったソチ・パラリンピック大会出場権をかけたアイススレッジホッケー日本代表の挑戦や、2020年東京大会へのステップとなる大会までバラエティ豊かな内容です。

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■ゴールボール
・13日: 日日本ゴールボール選手権大会2013が開催され、男子は「チーム附属(筑波大学附属視覚特別支援学校・通称「付属盲学校」)」(東京)、女子は「九州なでしこ」(福岡)がそれぞれ優勝、クラブチーム日本一に輝いた。大会は事前の予選を勝ち抜いた男子8チーム、女子4チームが出場し、12日から2日間にわたるリーグ戦で行われた。上位の結果は以下の通り。

【男子】
 優 勝:チーム付属(東京)
 準優勝:スーパーモンキーズ(京都)
 3 位:岐阜NBS(岐阜)
【女子】
 優 勝:九州なでしこ(福岡)
 準優勝:武蔵フューチャーズ(東京・埼玉)
 3 位:ROMERICA-GANGSTAR(京都・福岡・大分・東京)

⇒ゴールボールとは、視覚障害のある人向けに開発されたスポーツで、バレーボールと同じ広さのコートを使い、アイシェード(目隠し)を着用した1チーム3人のプレーヤーが、鈴入りのボールを転がすように投球し合い、味方のゴールを防御しながら相手ゴールにボールを入れ、得点を競うゲーム。パラリンピックの公式競技になっており、2012年ロンドン大会で、日本女子チームが初の金メダルを獲得した(パラリンピック団体競技の金メダルは日本チームとして史上初)。

■陸上競技
・20日: 日本盲人マラソン協会(JBMA)主催による「JBMA駅伝in長居兼第16回全国視覚障害者駅伝大会」が大阪市の長居公園で開催され、24の視覚障害者チームと19の一般チーム、計43チームが出場した(男女混合可。視覚障害者チームは中学生以上で要ロープ伴走の視覚障害ランナーが2名以上いることが条件)。1チーム4区間計20㎞のコース(長居陸上競技場発着の公園内外周路)で争われ、視覚障害者チームの部は、はやぶさが1時間14分21秒で優勝、一般の部はOGACが1時間12分36で制した。

 今大会は視覚障害者チームとして結成された“ドリームチーム”の走りも見どころの一つだった。1区(6.4km)はロンドン・パラリンピック5000m銅メダルペアの和田伸也選手(全盲)と伴走の中田崇志さん(ランニングクラブコーチ)、2区(3.4km)はアトランタ・パラリンピックマラソン金メダルペアの柳川春巳選手(全盲)と伴走の安田享平さん(2013IPC陸上世界選手権日本代表監督)、3区(3.4km)は元五輪マラソン2大会連続代表の中山竹通さんが単独で走り、アンカー(6.8km)は2013世界選手権代表で伸び盛りのランナー谷口真大選手(全盲)を元五輪1万m代表の大崎栄さんが伴走。豪華な顔ぶれによる襷リレーは1時間11分55秒(20分29秒/14分26秒/11分59秒/25分01秒)と圧倒的な強さを見せ、雨のなか駆けつけた観客を沸かせた。


■アイススレッジホッケー
・20日~: 2014ソチ・パラリンピック出場権をかけた、IPCアイスレッジホッケー世界最終予選がイタリア・トリノで開幕し、21日から試合がスタートした。日本を含む6チーム(イギリス、イタリア、韓国、スウェーデン、ドイツ)が参加して、26日までリーグ戦を行い、上位3チームが出場権を得る。

 日本は今大会、第5シードにランクされた。2010年バンクーバー・パラリンピックで銀メダルを獲得したものの、12年の世界選手権Aプールで7位 に沈み、Bプールに降格。13年3月に長野市で開催された世界選手権Bプールで準優勝し、最終予選出場の切符を得た。エース高橋和廣を中心に、ソチへの出場権獲得を目指している。

 大会3日目(23日)終了時点で、第1シードで3大会連続のパラリンピック出場を目指すイタリアと、第2シードで初出場だったバンクーバーから連続の出場を目指す韓国が3勝(勝ち点9)をあげて1、2位、パラリンピック常連国のスウェーデンが2勝1敗(同6)の3位。1勝2敗(同1)で4位につけている日本は25日にドイツ、最終26日にスウェーデンと対戦する(是非とも下記ネット中継を御覧のうえ、日本チームを応援してください!)。06年トリノ大会以来の出場を目指していたドイツ、イギリスは3敗で出場権レースから脱落した。

 なお、試合は1日3試合(日本時間17:00、20:30、24:00)で、全試合がインターネットでライブ中継されている。
ネット中継チャンネルはこちらをClick!

 ちなみに、今年4月に行われた世界選手権Aプールで上位5位に入った、カナダ、アメリカ、ロシア、チェコ、ノルウェイはすでにソチへの切符を獲得している。

⇒アイススレッジホッケーとは、下肢に障害をもつ人を対象に、アイスホッケーのルールを一部アレンジして行われるスポーツ。底部に2枚のスケートの刃を取り付けたスレッジと呼ばれる専用のそりに乗り、左右の手に1本ずつ持ったスティックでそりを漕いだり、パックを操ったりしてプレイする。スティックにはアイスピックとブレードが付いている。アイスホッケーと同じリンクで行い、氷上でプレイできる選手はゴールキーパーを含め、1チーム6人。ボディチェック(体当たり)も認められており、激しいプレイとスピードが魅力。パラリンピックの正式競技で、2010年バンクーバー大会では日本が銀メダルを獲得(日本史上初のパラリンピック団体競技のメダル)。


■東京発
・21日: 10月26日から30日までマレーシア・クアラルンプールで開催される「第3回アジアユースパラ競技大会マレーシア2013」に出場する日本選手団(一部)が21日夕、成田空港近くのホテルで結団式を行った。日本の全選手団は164名(選手93名 、役員71名)で、14競技中6競技(陸上競技、バドミントン、ボッチャ、ゴールボール、水泳、車椅子バスケットボール)に出場する。結団式には渡航日などの関係で、陸上競技と水泳、ボッチャの選手が参加した。

 結団式では選手団を代表し、主将の西勇輝(陸上競技/18歳)が、「選手一人ひとりが日本代表であることの自覚と誇りを持ち、行動規範を順守して精一杯戦うことを誓います」などと決意表明した。また、森下友紀(水泳/17歳)が、開・閉会式の旗手を務める。

 日本選手団は22日と23日の2陣に分かれて現地入りし、26日からの大会に臨む。

【選手コメント】
・池田樹生(陸上競技/16歳):
 (大会前に競技用義足に変えて)調子はいいです。100mは12秒台、200mは25秒台で、ともに自己ベスト狙います。

・池 愛里(水泳/15歳):
 日の丸を背負って出る大会は初めてなので、しっかり結果を残したいです。一番得意な100m自由形は1分4秒40、100m背泳は1分14秒台、100m平泳ぎは1分28秒台を出して、それぞれ自己ベスト更新が目標です。また、400m自由形は5分を切りたい。ペース配分を考えて、試合で出せるようにしたいです。

・西 勇輝(陸上競技/18歳):
 (選手団主将は)責任を感じています。競技は100mと200m、そして400mに出ます。得意の100m、200mはメダルを目標に、400mは自己ベス トを目指してがんばりたい。2020年の東京大会は今の自分には「夢の舞台」。まだレベルアップが必要です。マレーシアで確実にステップを踏んで、しっかり東京に合わせたい。

・森下友紀(水泳/17歳):
 (旗手は)緊張しますが、がんばります。競技は100mの自由形、背泳ぎ、平泳ぎに出ます。特に 自由形では1分10秒を切ってメダル獲得が目標です。

⇒アジアユースパラ競技大会はアジア地域の14歳~21歳のアスリートに国際大会の機会を与え、競技力向上と他国選手との交流を深めることを目的に2003年、香港大会から始められた。第2回は09年東京で開催され、以後4年に一度の大会として確立した。今大会(マレーシア2013)は、31の国と地域から選手約900名と役員約600名が参加見込みで、14競技(陸上競技、バドミントン、ボッチャ、ゴールボール、水泳、車椅子バスケットボール、アーチェリー、チェス、柔道、パワーリフティング、卓球、ボウリング、シッティングバレーボール、車椅子テニス)の実施が予定されている。

(カンパラプレス配信+NBSオリジナル)
(写真提供: 越智貴雄)