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日本オープン、コース観戦のススメ(中井学)

ゴルフとはコースとの戦い——

 こうした言葉を耳にした方は少なくないだろう。

 しかし、近年の日本のゴルフツアーにおいては、「コースと勝負」という感覚でプレーしている選手は稀である。

 優勝者や上位選手のプレー後のコメントも「アプローチでしのいだ」「パットが入ってくれた」などは多く聞かれるが、コースマネジメントに関するコメントを残す選手は多くない。

 なぜか?

 クラブやボールなどの進歩によってドライバーやアイアンの飛距離が大きく伸びたため、多くのトーナメントでショートゲームやパッティングさえ調子が良ければ勝ててしまうという状況が増えてしまったのだ

 その結果「コースと対峙する」という感覚が希薄となってきたのではないか。

 だが、日本オープン、とくに今年の舞台、茨城ゴルフ倶楽部は少し様子が違う。

 長い距離設定、硬く早いグリーン、砂の多いバンカー、フェアに伸ばされたラフなど、「ゴルファー日本一」を決めるセッティングでは、プレッシャーに強いスイング、ショートゲームの安定感、そして高いレベルのマネジメント能力、これらすべてを兼ね備えた者しか勝つことができないのだ。

 このように、コースと対峙せざるを得ない日本オープン、そこでの試合観戦は、技術向上を目指すアマチュアゴルファーにとって絶好の機会であることは言うまでもない。

 例えば、スイングを学ぶのなら2、6、13、17番の各パー3に足を運んでほしい。グッドスインガーはパー3でスコアを崩さないものだ。

 ショートゲームなら1、3、16番の各パー4のグリーンへ行こう。距離が長く2オンが安易ではない中、どのようにしてパーをセーブしていくかに注目するのもよいだろう。

 マネジメントのチェックは4、7、12番へ。400ヤードを切る短いパー4で各選手の攻め方の違いが明確になるだろう。

 もしもあなたが自他ともに認めるシリアスゴルファーならば、上達の『最高の教材』を観に、日本オープンの会場に足を運ぶべきなのだ。

中井学(プロゴルファー/ティーチングプロ)