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星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ②9.23~9.29篇

 「パラスポーツ・ピックアップ」は、国内外各地から届くパラリンピック競技の話題を独自にセレクトし、1週間分をまとめてお送りするシリーズとして先月からスタートしました。
 さて、先週は各競技会に加え、パラリンピック・ムーブメントを大きく後押しするビッグニュースがあいつぎました。

■パラトライアスロン
21日: 日本トライアスロン連合(JTU)は、パラリンピック日本代表の強化拠点として横浜市の「障害者スポーツ文化センター横浜ラポール」と提携したと発表した。

 パラトライアスロンは2016年のリオ・パラリンピックから正式競技として実施されることが決まっており、JTUは昨年12月にパラリンピック対策プロジェクトを発足させている。強化拠点の指定もその一環。

 横浜ラポールは1992年に新設された、障害者を対象とするスポーツやリクリエーションのための総合センターで、障害のある人にも利用しやすい工夫を施したさまざまな設備を備えている。たとえば、25mx6コースの屋内プールには下肢障害や車椅子ユーザーも出入りしやすい装置などが備えられ、陸上トラックには視覚障害者でも一人で走れるようにガイドロープがついている。近隣には宿泊施設もあり、合宿なども実施しやすい環境となっている。

■アメリカ発
24日: 国際パラリンピック委員会(IPC)は、アメリカのNBCテレビが2014年ソチ冬季パラリンピックと2016年リオ夏季パラリンピックの米国内放映権を獲得することで、米国オリンピック委員会(USOC)と合意したと発表した。契約内容によれば、来年3月7日から16日まで開催されるソチ大会では開会式と5競技(アルペンスキー、バイアスロン、クロスカントリースキー、アイススレッジホッケー、車椅子カーリング)を全50時間、また16年9月7日から18日までのリオ大会では計66時間の放送が予定されている。ちなみに昨年のロンドン大会の放映時間は60.5時間だったという。

 この合意を受け、IPC会長のフィリップ・クレイヴァン卿は、「とても喜ばしい。これで米国の人々が世界のトップアスリートのパフォーマンスに触れるチャンスが広がった。初めてパラリンピックを見る人も多いだろうが、すばらしいパフォーマンスにきっと魅了されることだろう」などとコメントした。また、ソチ大会組織委員会のドミトリー・チェルニシェンコ組織委員長は、「パラリンピック大会はすでにロシア国民の、そして世界の人々の意識を変える大きなきっかけとなっているが、NBCの放送によってより多くの視聴者に大会の興奮が届けられ、人々の意識の変化という目標達成がさらに促進されるだろう」などと話した。

■アジア発
26日: アジア・パラリンピック委員(APC) は、アジア太平洋放送連合 (ABU) との間で、アジアにおけるパラ・スポーツの普及と放映の拡大を目指した提携に関する了解覚書に調印したと発表した。この提携により、2014年仁川(韓国)パラ・ゲームズなどAPCが主催する主要な国際大会の放映が保証されることになる。対象となる最初の大会は来月26日から30日までマレーシアのクアラルンプールで行われるアジア・ユース・パラゲームズになる見込み。

 ABUは63カ国で255の会員社を有している。こうした提携は史上初めてで、APCのダトゥー・ザイナル・アブ・ザリン会長は、「アジアにおけるパラリンピック・ムーブメントの新たな第一歩だ」などとコメントした。


■ブラインドサッカー
28日: 山梨県の押原公園を会場に、「関東リーグ2013」の第3節のB1クラス2試合が行われた。地元の山梨キッカーズがダブルヘッダーに臨んだが、buen cambio yokohama(神奈川)が2-0、Avanzareつくば(茨城)が5-1と勝利した。 第3節終了時点の首位は勝ち点6を挙げている、昨年覇者のAvanzareつくば。

 なお、第4節は10月6日(日)、渋谷区立広尾中学校(東京都渋谷区)でB1クラスの3試合が行われる。当日は一般の小中学生を対象にブラインドサッカー体験会も実施予定。

 ⇒「関東リーグ」は関東圏で活動するチームを対象に、毎年8月から12月にかけて第8節で実施されるリーグ戦。8月24日に開幕した今年度はB1(全盲)クラス6チームと、B2/3(弱視)クラス3チームが参加しており、クラスごとに王座が争われる。

■アーチェリー
28日~29日: パラ・アーチェリーでは国内最高峰の大会、「ジャパンパラアーチェリー競技大会」が埼玉県障害者交流センターを舞台に開催された。大会は国際規則に則って全日本アーチェリー連盟の公認大会として実施され、最終結果は国際大会の代表選手選考の参考とされる。全5種目の優勝者はそれぞれ以下の通り。

  ●男子
   ・コンパウンド・オープン: 服部和正(東京都)
   ・リカーブスタンディング個人: 宮本リオン(東京都)
   ・リカーブW2個人: 渕上朋伸(兵庫県)

  ●女子
   ・コンパウンド・オープン: 平沢奈古(埼玉県)
   ・リカーブスタンディング個人: 黒岩信恵(神奈川県)

 ⇒アーチェリーはパラリンピックでの実施競技のひとつで、2012年ロンドン大会には29カ国から139名の選手が参加。日本代表は3名(男子2、女子1)で、男子リカーブW2で安嶋裕が17位、男子コンパウンド・W1で斉藤紳一が9位、女子コンパウンド・オープンで永野美穂が5位に入った。メダル獲得数の上位国は1位ロシア(男女計5個/金2銀1銅1)、2位韓国(3/1、2、1)、3位中国(4/1、1、2)。

(カンパラプレス配信+NBSオリジナル)
(写真提供: 越智貴雄)