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麻雀放浪記

『麻雀放浪記』

著者:阿佐田哲也

出版社:角川書店

価格:¥596

 

 

 『けんかえれじい』と同様、「麻雀」というスポーツ(娯楽)を題材にしたスポーツ小説。ただしギャンブル・ゲームに賭ける勝負師の心理は、自らの肉体を駆使して勝負するスポーツマンの心理とはかなり異なる(他人の肉体を用いて勝負するチームの監督の心理とも異なる)。その違いを、一言でいうなら、ギャンブラーの勝負に賭ける心理は頽廃・腐敗に向かうが、スポーツにおいて勝負する心理は、敗北を喫してもなお建設的で前向きである、ということである(プロ・ボクサーなどで心の頽廃や腐敗が生じるのは、ボクシングというスポーツ以外の要素によるものである)。もちろん、頽廃や腐敗が「悪」で、建設的で前向きなことが「善」であると言う気は毛頭ない。(全四巻)