ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

ブリューゲルの「子供の遊戯」―遊びの図像学

『ブリューゲルの「子供の遊戯」―遊びの図像学』

著者:森洋子

出版社:未来社

価格:¥8,100

 

 

 ヨーロッパ中世は、身体文化(スポーツ)を考えるに適当な書物がない。稲垣正浩氏の好著『スポーツを読む』(三省堂選書)には『ローランの歌』が紹介され、シャルルマーニュの時代のスペイン・バスク地方のスポーツ文化に関する記述が解説されているが、原著をひもとくよりも、稲垣氏の解説を読めば十分である。それよりも、子供の“遊び”を、ブリューゲルの描いた絵から考察する本書のほうが興味深い発見が多い。よく見ると、そこには近代スポーツとしての球技や格闘技のもとになる「自然な子供たちの営み」が活写されている。