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東京風景3 オリンピックへ!東京大改造 1962~1964

 戦後すぐから1980年まで。東京の街並みと人々の生活風景の移り変わりを、NHKの膨大なアーカイヴのなかから選出、構成した全5巻の映像集「東京風景」の第3巻。1959年5月、東京オリンピック開催が決まっての‘万歳三唱’からスタートして、日本武道館や国立競技場の建設風景、首都高速の開通、東海道新幹線営業開始…など、国家的イベントを目前に大きく変貌する東京の姿を収めた映像が、次々続いていく。

 五輪のマークが街じゅうにあふれかえり、満員の日比谷公会堂ではオリンピックの開会・閉会式入場券の公開抽選会が行われる。オリンピックに向けた「首都美化デー」には200万人が参加、オリンピック記念メダルの発売日には長蛇の列ができた。映像はオリンピックの開会式を、小学校の教室のテレビで見ている子どもたちや街頭テレビで見ている大人たちの笑顔で締め括られる。東京全体がなにやら得体の知れない興奮に包み込まれたかのようだ。

 昭和の東京オリンピックは戦後復興の象徴であり、美しい祭典だった。が、それによって日本のスポーツ環境が、健全に発展したとは言い難い。2020年に開催される2度目の東京オリンピックを、一時的なお祭り騒ぎで終わらせず、体育と企業内クラブと興行中心の日本のスポーツのあり方を改める契機にして、誰もがスポーツを楽しむ権利を認められる豊かな社会へつなげる。そのことは、この国のスポーツに関わるすべての人の責務である。