スポーツマン一刀斎
著者:五味康祐
出版社:講談社
価格:¥797
一刀流始祖・伊藤景久十七代目の末裔で、かつて巨人で連続代打本塁打37本というとてつもない記録を残した伊藤一刀斎が、プロに復帰する意志を示す。ただし、その条件が、「色道修行」の面倒を見てくれること。そこで南海ホークス監督山本(鶴岡)一人は、女優の山本富士子を紹介し、一刀斎の獲得に成功する。さらに、岡田茉莉子、有馬稲子、丹下キヨ子……といった実在の女優に加えて、芸妓や女流画家や深窓の令嬢が次々と登場。虚実の混じり合った奇想天外の筋書きのなかで、一刀斎は、とつぜん巨人との日本シリーズを前に……。「日本の野球小説はウェットなものが多い」などと誤解している人は、この痛快破天荒な物語を読むべし。そして、そのなかにちりばめられている女優論、女性論、風俗論、セックス論、恋愛論、スポーツ論に接すべし。五味康祐ならではのそれらの日本文化論に、読者は舌を巻くに違いない。