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禅語録ー世界の名著(18)

『禅語録ー世界の名著(18)』

編者:柳田聖山

出版社:中央公論新社

価格:¥1,620

 

 

 スポーツにまとわりついている浅薄な精神論は、たとえば次の一文によって簡単に排除することができる。〈問い「道とは何ですか」/答え「君は心を起こして道に向かおうとしている。奸巧(かんこう)が生まれて有心(ゆうしん)のなかにおちこむだけだ。道という心が起きると、巧偽(こうぎ)が生まれる。有心の方便はすべて奸偽(かんぎ)にすぎぬ」(注・奸巧、巧偽、奸偽は、すべて「巧みに取り繕う」の意)〉
「野球道」などという言葉が「方便」として用いられていることのナンセンスはいうまでもないが、欧米のスポーツマンが、禅の世界をはじめとする東洋的神秘的精神論をスポーツの世界に持ち込みはじめた今日、「金メダリストの誰某が座禅を組んでいるらしい」などと感心するだけでなく、禅の基本的な考え方くらいは知っておきたい。