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チャンピオン―ジョー・ルイスの生涯 (シリーズ・ザ・スポーツノンフィクション)

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『チャンピオン―ジョー・ルイスの生涯

(シリーズ・ザ・スポーツノンフィクション)』

著者:クリス・ミード

訳者:佐藤恵一

出版社:東京書籍

価格:¥1,728

 

 

 白人に支持された黒人の史上最強の世界チャンピオンは、ナチス・ドイツのチャンピオンであるマックス・シュメリングを相手に、民主主義の闘士としてタイトルマッチを闘う。その他、様々な政治的・社会的意味を有する試合を闘わされるボクサーを通して、時代に翻弄されるヒーローの姿が浮き彫りになる。もちろん、そのことから、ベーブ・ルースは幸福であり、ジョー・ルイスは不幸だった、というような短絡的な結論を導き出すべきではない。ヒーローと時代の関係とは、もっと複雑なものである。
 本書は『シリーズ・ザ・スポーツノンフィクション』(全15巻)のなかの一冊だが、このシリーズには、ほかにもロジャー・カーン『ひと夏の冒険』、アラン・ブース『ニッポン縦断日記』『ラスト・アメリカン・ヒーロー—ベスト・オブ・スポーツコラム』、フランク・ベアード『プロ』、テリー・プルート『カンバック!』、レッド・スミス『今はなき友へ』、B・ナッシュ他『アメリカ野球珍事件珍記録大全』『彼女のアラスカ—ベスト・アウトドア・コラム』、ベッティナ・セルビー『ヒマラヤ自転車旅行記』、マーク・ワインガードナー『スカウト』、ジョージ・プリンプトン『ボギー・マン』、トマス・ハウザー『モハメド・アリ その生と時代』『バンカーから死体が—ゴルフミステリー傑作選』といった面白い“スポーツもの”の本が並んでいる。スポーツファンならば、当然全巻読破すべきだろう(といっても、一日一冊、わずか二週間のことである)。