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黒い輪—権力・金・クスリ・オリンピックの内幕

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『黒い輪—権力・金・クスリ・オリンピックの内幕』

著者:ヴィヴ・シムソン/アンドリュー・ジェニングズ

訳者:広瀬隆

価格:¥1,944

 

 

 タイトルどおり、現代のオリンピックのどろどろとした裏面を描いた暴露本。ファン・アントニオ・サマランチ(第7代IOC会長)、プリモ・ネビオロ(第4代国際陸連会長)、ジョアン・アヴェランジェ(第7代国際サッカー連盟会長)といったスポーツ界の権力者を俎上にのせ、広告代理店やスポンサー企業との癒着による裏金の動きを暴露する。それは、スポーツ・ジャーナリストとしては、当然の行為だ。が、その結論が、過去のブランデージ時代への回帰をめざすのでは、少々認識が甘いといわざるを得ない。その結論は無視して、本書に書かれた世界のスポーツ界の現状は“常識”として把握しておくべきだろう。広瀬隆による秀逸な解説は一読の価値がある。