祖国へ、熱き心を―東京にオリンピックを呼んだ男
著者:高杉良
出版社:講談社
価格:¥905
ロサンゼルス在住の日系二世・フレッド和田の評伝小説。戦前の貧困や太平洋戦争の苦難に挫けず、戦後は青果商としてスーパーの経営に成功し、フジヤマのトビウオと呼ばれた日本水泳陣のアメリカ遠征を支援。東京五輪招致でも私費を投じて南米各国を訪問し、IOC委員の説得に心血を注いだ。「戦後の復興五輪」の成功の裏には、このような無私の精神を貫く見事な「昭和の男」が存在していた。
数多くの外交資料を繙いた波多野勝『東京オリンピックへの遥かな道―招致活動の軌跡1930―1964』(草思社)でも、フレッド和田の活動が際立つが、はたして今の日本に「第2のフレッド和田」は存在しているのだろうか……?
*『「黒人選手」は本当に速くて強いのか!?~スポーツと五輪の過去・現在・未来を「読書」で考える』(玉木正之)参照