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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(241) パラアスリートの魅力が満載。WOWOW『WHO I AM』シリーズ、シーズン3まもなくスタート!

2020年の東京パラリンピック開幕まで、あと2年を切り、10月19日には競技日程の大枠も発表されました。大会への準備も日々、進んでいます。

▼東京2020パラリンピック 
競技日程 https://tokyo2020.org/jp/games/schedule/paralympic/

2年後の東京パラリンピックでの観戦を前に、スター選手たちの素顔に触れるチャンスがあります。WOWOWが国際パラリンピック委員会(IPC)と共同で手がける、『WHO I AM~これが自分だ!という輝き』というパラアスリートのドキュメンタリーシリーズです。

2016年から20年までの5年にわたり、世界のトップアスリートに迫るシリーズで、すでにシーズン1(2016年)とシーズン2(2017年)で各8人ずつ、計16選手のエピソードがWOWOWプライムで順次、放送・公開されています。

そして、いよいよ10月25日(木)からはシーズン3の放送がスタートするということで、10月16日には第1話の特別試写会&トークセッションが都内で行われました。取材に行ってきたのですが、かなりお得な「エンターテイメントショー」でした。

IPC&WOWOW制作のパラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ『WHO I AM』の特別試写会より。 前列左から、国枝慎吾選手(車いすテニス)、パトリック・アンダーソン選手(カナダ/車いすバスケ)、豊島英(あきら)選手(車いすバスケ日本代表主将)、後列左から、マセソン美季さん(長野パラリンピック金メダリスト/IPC&IOC教育委員)、田中晃WOWOW社長、西島秀俊さん(俳優/番組ナビゲーター・ナレーター)、梁(りょう)邦彦氏(テーマ音楽制作)、松岡修造氏(司会)、佐々木クリス氏(通訳)。(撮影:吉村もと)

 イベントの第1部ではシリーズ3第1話の試写会が行われました。主役は、その高いパフォーマンスと実績から、「車いすバスケットボール界の神様」とも称される、カナダのパトリック・アンダーソン選手です。パラリンピックには過去4大会出場し、なんと一人で計700得点を挙げたスーパースターです。

 9歳の時に飲酒運転の車にひかれ、両脚をひざ下から切断することになり、翌年に出会った車いすバスケで才能が開花。17歳でカナダ代表になると、パラリンピックには中心選手として、シドニー大会(2000年)、アテネ大会(04年)で金メダル、北京大会(08年)では銀メダル獲得に貢献します。その後しばらく競技活動を休みますが、復帰してロンドン大会(12年)で再びチームを世界王者に導きます。

その後また、代表チームから離れ、新たな生活をスタートさせますが、チームがリオ大会(16年)で12カ国中11位と低迷したことを受け、代表再復帰を決意。「母国の金メダル奪還」を胸に2020年の東京パラリンピックを目指す毎日です。

「車いすバスケのマイケル・ジョーダン」ともいわれる、パトリック・アンダーソン選手には、プロのミュージシャンとしての顔も (撮影:吉村もと)

1話が約50分の『WHO I AM』のエピソードでは、そうしたアンダーソン選手の半生が描かれているのですが、レジェンドアスリートとしての顔だけでなく、2人の子どものパパの顔だったり、なんと奥様とデュオを組み、プロのミュージシャンとして活動していたりなど、多彩な魅力が満載でした。

そして、イベント第2部では、ご本人のアンダーソン選手と、車いすテニスの国枝慎吾選手、2018年車いすバスケ世界選手権日本代表主将の豊島英選手が登壇し、松岡修造さんを司会にトークショーも開かれました。 国枝選手も豊島選手も10月6日から13日までインドネシア・ジャカルタで開かれていたアジアパラ競技大会に出場しており、国枝選手は金メダルを、豊島選手は銀メダルを手に帰国したばかりです。

車いすテニス界のスーパースター、国枝慎吾選手 (撮影:吉村もと)

国枝選手は『WHO I AM』シーズン1出演選手の一人でもあります。実は以前から、アンダーソン選手のファンを公言しており、実はドキュメンタリーの主役にアンダーソン選手を推薦したのは自分だと明かしました。

「WOWOWの番組関係者に相談されて、僕は『パトリックの番組がぜひ見たい』と。彼は抜群の競技力で、僕はバスケの試合を見ながら、彼のプレーだけを目で追ってしまうほど」と推薦理由を話しました。さらに、自身も卓越した車いす操作(チェアワーク)で定評がありますが、「パトリック選手は、どの車いすプレーヤーよりも車いすと仲良しの選手。彼のチェアワークは真似できない。まるで、空を飛んでいるように見えます」と絶賛。

また、豊島選手は、「ロンドンパラリンピックの初戦で(日本は)カナダと当たったが、素晴らしい選手だと思ったし、僕ではまだ相手にならないと感じたことを覚えています。引退されたと聞き、残念に思っていたが、復活されてうれしい。選手として、パトリック選手は目標です」と再戦を楽しみにしていました。

スピードを生かしたプレーで、2010年から車いすバスケットボール日本代表として活躍。パラリンピックには12年、16年と連続出場中の豊島英選手(撮影:吉村もと)

さらに、シーズン1からずっと番組のナビゲーターとナレーターを務める俳優の西島秀俊さんも登壇し、「この『WHO I AM』シリーズはパラリンピアンの素晴らしいパフォーマンスや努力も描くが、一番の特色は、パーティを楽しんでいたり、ドライブしたり、日常生活も描いていること。パトリックの場合は特に、その部分が多く、家族と音楽、バスケのバランスをとりながら、時に悩み、時に楽しみ、共感する部分も多く、丁寧にナレーションした」と番組の魅力を語りました。 そして、「自分でも、くじけそうなときに、『WHO I AM』シリーズを見ます。部屋に置いてあって。見ると、『自分なんてまだまだ。もっとできる』と思えるんです」と、番組をPRしていました。 『WHO I AM』シリーズのナビゲーター・ナレーター、俳優の西島秀俊さん。「僕も見ています」 (撮影:吉村もと)

イベントの最後には、番組のテーマソングなどを手掛ける梁(りょう)邦彦さんも登場し、アンダーソン選手とのスペシャルミニライブも行われました。パトリック選手が奥様と組む、「The Lay Awakes」のオリジナル曲に加え、最後は、ジョン・デンバーの代表曲『Take Me Home, Country Roads(カントリー・ロード)』で終演となりました。

▼The Lay Awakes https://www.thelayawakes.com/
アンダーソン選手のバスケは迫力もありますが、美しさやしなやかさもあり、思わず目を引かれてしまうのですが、歌声にも聞きほれました。

番組テーマソングを手がけるアンダーソン選手(右)と梁邦彦さんによるスペシャルミニライブが、観客を魅了 (撮影:吉村もと)

『WHO I AM』シーズン3(全8回)は10月25日(木)から、WOWOWプライムにて放送が開始されますが、アンダーソン選手が出演する第1回は無料で放送されます。必見です!

▼番組特別ページhttps://www.wowow.co.jp/sports/whoiam/

【WHO I AM シーズ3 ラインナップ】 木村敬一(水泳)/パトリック・アンダーソン(車いすバスケットボール)/ニコ・カッペル(陸上競技)/カディーナ・コックス(陸上競技&サイクリング)/ナタリア・パルティカ(卓球)/ワッチャラポン・ヴォンサータイ(ボッチャ)/マケンジー・コーン(水泳)/ユスタス・パジャラウスカス(ゴールボール)

16人の世界のトップアスリートの魅力が満載。今なら、無料で見られます!

さらに、シーズン1と2のシリーズの全話は今、インターネットで無料配信されています。ウェブでメールアドレスなど簡単な会員登録をするだけで、世界の魅力的なパラアスリート16人の素顔を垣間見ることができるのです。おすすめです。

▼シーズン1,2の無料配信ページ (Web会員登録後、視聴可能)
https://www.wowow.co.jp/sports/whoiam/videos/

なお、シーズン2は第46回国際エミー賞のドキュメンタリー番組部門にノミネートされています。国際エミー賞とは、60を超える国の500社以上の放送局や番組制作会社などを代表する会員によって構成される「国際テレビ芸術科学アカデミー」が主催する国際的に権威ある賞で、アメリカ以外で制作・放送された優秀なテレビ番組に贈られる賞で、第46回国際エミー賞の受賞作発表および授賞式は、現地時間2018年11月19日(月)にニューヨークで行われる予定です。

そんな賞にノミネートされている作品もすべて、無料で視聴できるのです。1エピソードは約50分。それぞれのアスリートの素顔の魅力がギュッと詰まっています。お時間のあるときに、ぜひチェックしてみてください!

【WHO I AM シーズン1】
国枝慎吾(車いすテニス)/ダニエル・ディアス(水泳)/マール―・ファン・ライン(陸上競技)/サフェト・アリバシッチ(シッティングバレーボール)/ザーラ・ネマティ(アーチェリー)/リカルディーニョ・アウヴェス(ブラインドサッカー)/エリー・コール(水泳)/タティアナ・マクファデン(陸上競技)

【WHO I AM シーズン2】
森井大輝(アルペンスキー)/ライリー・バット(ウィルチェアーラグビー)/ベアトリーチェ・ヴィオ(車いすフェンシング)/チェ・グァングン(柔道)/アマリア・ペレス(パワーリフティング)/ヘンリエッタ・ファルカショバ(アルペンスキー)/エヴァン・ストロング(スノーボード)/メリッサ・ストックウェル(トライアスロン)

(文・取材:星野恭子)

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