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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(236) 東京パラ開幕2年前、アジアパラ代表決定、ボッチャ世界2位……。8月後半も、ニュース続々!

8月の後半もパラスポーツに関するニュースが国内外から数多く届いています。そんな中から、気になるニュースを新着順にピックアップしました。

東京パラ開幕まで2年。各地で記念イベント開催 (8月25日)

東京2020パラリンピック開会式のちょうど2年前となった25日、大会機運を盛り上げるため、東京・江東区でカウントダウンイベント「みんなのTokyo 2020 2Years to Go!!」が開かれた。セレモニーやアスリートによるトークショー、競技体験会などが行われ、多くの人でにぎわった。

カウントダウンセレモニーでは、小池百合子東京都知事が、「パラリンピックには22競技あります。一つひとつを知って応援してください。する、観る、支える、何かの形で関わっていただき、パラリンピックを盛り上げていただきたいです」と観客に呼びかけた。

また、東京大会に向け、国際パラリンピック委員会(IPC)から特別親善大使に任命されているタレント香取慎吾も駆けつけ、盛り上げた。

さらに、東京2020大会を目指すパラアスリートを代表し、バドミントンの里見紗李奈(さとみさりな)、カヌーの小山(こやま)真(まこと)、自転車競技の川本(かわもと)翔(しょう)大(た)、ゴールボールの天摩(てんま)由(ゆ)貴(き)、ボートの前田(まえだ)大介(だいすけ)と、射撃でアテネ、北京、ロンドンパラリンピック代表だった田口(たぐち)亜希(あき)さんが、それぞれの競技の概要や見どころについて語った。

カウントダウンセレモニー登壇者による記念撮影。前列左から、田口亜希さん、天摩由貴選手、小山真選手、里見紗李奈選手、川本翔大選手、前田大介選手と、香取慎吾さん。大会マスコットのソメイティ(右/パラリンピック)とミライトワ(左/オリンピック)も花を添えた。(写真:©Tokyo 2020)

セレモニー後、ステージ上ではボート競技のデモンストレーションも行われた。パラリンピックでは水上の2000mの直線コースで競うが、この日はステージ上にボート操作の動きをシミュレーションできるローイング・エルゴメーターというマシンが持ち込まれた。

オリンピックなど通常のボート競技では、座席が前後にスライドし、上半身に加え、脚力も利用してボートを漕ぐが、この日登壇し、ボートで東京大会を目指している前田大介のように、下半身に障害がある車いすクラスの選手は座席が固定されたボートを使い、上半身の筋力だけでボートを漕ぐ。

スライド式と固定式のエルゴメーター両方を試したうえで、小池都知事は、「スライド式より、固定式の方が難しい」と話し、香取もまた、「固定式は漕ぎ方が分からない」と操作に苦戦した。

パラボート競技体験のため、ローイング・エルゴメーターに挑戦。前田大介選手にアドバイスされながら、固定式マシンを漕ぐ小池百合子都知事(手前後ろ姿)と、スライド式マシンを漕ぐ香取慎吾さん(左奥)(撮影:星野恭子)

さらに、香取はスライド式で、固定式の前田と「100m競争」にも挑戦。全力で挑むも、1.5秒ほど遅れてゴールした。「勝てるわけないです~」と、パラ選手の強さを紹介。前田も、「実際のレースは、スピード感も迫力もあるので、ぜひ観にきてください」とアピールしていた。

また、夕方からは東京スカイツリー(墨田区)や東京タワー(港区)、パレットタウン大観覧車(江東区)駒沢公園オリンピック記念塔(世田谷区)などが、パラリンピックのシンボルマーク「スリーアギトス」に使われている赤、青、緑の3色にライトアップされた。

8月25日夜、東京2020パラリンピック開会式まで2年を記念し、ライトアップされた東京タワー(港区)。赤、青、緑はパラリンピックのシンボルマーク「スリーアギトス」で使われている3色。(写真クレジット:©TOKYO TOWER)

東京パラリンピックの観戦チケット、概要発表 (8月24日)

東京2020大会組織委員会はパラリンピックの公式チケットの概要を発表した。合計230万枚のチケットを販売予定で、2019年夏から一般販売が開始される予定だ。チケット価格(税込)の幅は、開閉会式で最安8,000円から最高150,000円、競技の一般チケットは900円から7,000円となっている。

組織委は、「パラリンピック全会場満員」を目標に掲げており、競技によって価格帯が異なり、水泳や車いすバスケットボールは高めの設定だが、多くの競技では比較的手頃な価格となっている。一般チケットの他に、子どもや障がいのある人など含めたグ家族やループを対象とした企画チケットなども検討中だという。

参考までに、7月に発表済みのオリンピックのチケット価格は開閉会式で最安12,000円から最高300,000円、競技の一般チケットは2,500円から130,000円となっている。

▼詳細な価格、購入方法などは、大会公式サイトまで
https://tokyo2020.org/jp/games/ticket/

10月のアジアパラ大会日本代表305選手が発表(8月24日)

日本パラリンピック委員会(JPC)は24日、インドネシア・ジャカルタで10月6日から13日の日程で開催予定のアジアパラ競技大会に派遣する日本代表選手団の第一次発表を行った。17競技に選手305人、競技パートナー(伴走者など)12名が決定した。

選手団団長には大前千代子氏が、主将には水泳の鈴木孝幸、旗手には陸上の前川楓が任命された。JPCより発表された、それぞれのコメントは下記の通り。

【大前千代子団長】

アジアパラ競技大会日本代表選手団において、元アスリートとしては初の団長に指名いただき、光栄に思っております。日本代表選手団団長として、選手全員が持てる力を余すことなく発揮できるよう、コーチ、スタッフと力を合わせて役目を果たしたく考えております。

【鈴木孝幸主将】

この度インドネシア2018アジアパラ競技大会日本選手団の主将を務めさせて頂くことになり、大変光栄に思っております。東京2020オリンピック・パラリンピックを2年後に控え、有難いことにパラリンピックへの関心もそれまでと比べ大きくなってきたように感じます。東京パラリンピックに向けて、更に日本の皆さんが障がい者スポーツに興味を持ってくださり、応援してくださるよう、今大会日本代表は全力を尽くし、出場する全競技で可能な限り多くのメダルを獲得してきたいと思っております。ご声援の程、宜しくお願いいたします。

【前川楓旗手】

この度、インドネシア2018アジアパラ競技大会日本代表選手団の旗手を務めさせていただくことになりました。任命していただいたことに感謝でいっぱいです。日本代表選手団旗手としての責任を持って、2020年の東京パラリンピックに繋がる素晴らしい大会になるように、精一杯頑張りたいと思います。

なお、アジアパラ競技大会は4年に1度開かれるアジア最高峰の大会で、第1回大会は2010年中国・広州で、第2回は2014年韓国仁川大会で行われ、今回が3回目となる。

車いすバスケットボール世界選手権(8月16日~26日/ドイツ・ハンブルグ)

日本男子は9位。男子はイギリス、女子はオランダが優勝

大陸別選手権大会上位国などによる4年に1度の「世界一決定戦」で、今大会には男子16チーム、女子12チームが出場し、頂点を目指して熱戦を繰り広げた。日本は男子チームのみが出場し、予選ラウンドを経て、決勝トーナメント1回戦でスペインに50-52と惜敗。順位決定戦に回ったが、オランダに55-54と競り勝ち、全体9位で大会を終えた。

男子は4チームずつによる予選ラウンドが行われ、日本は初戦のイタリアを58-50、2戦目のトルコを67-62と連勝。3戦目のブラジルには61-69と敗れたが、得失点差などでC組1位となり、決勝トーナメントに進出した。

「ベスト4以上」を目指した日本だったが、悔しさが残るのはスペインと対戦した決勝トーナメント1回戦。スペインはD組4位とはいえ、リオパラリンピック銀メダルの強豪国。試合は1Qで日本が14-10とリードするが、スペインに反撃され、3Q終了時では29-44。最終Q途中、31-48の劣勢から、わずか5分間に連続17得点し、48-48の同点とする。チーム一丸となってスペインの攻撃を防ぎ、集中力高く得点を重ねた攻撃は圧巻だった。最終的にスペインに50-52の2点差で敗れたが、手ごたえのある試合となったことだろう。

また、今大会を通し、パラリンピック未経験の若手選手たちに出場機会が多く与えられた。2年後の東京パラリンピックを見据え、「チーム力」に厚みをつけ、自信を培えた大会となったのではないだろうか。

なお、優勝はイギリス、2位アメリカ、3位オーストラリア。女子はオランダが優勝、イギリスが2位、ドイツが3位だった。

ボッチャ世界選手権大会 (8月12日~18日/イギリス・リバプール)

団体で初の銀メダル! 個人も杉村が銅獲得

33カ国から約190選手が出場し、パラリンピック特有の球技、ボッチャの世界選手権大会が8月12日~18日までイギリス・リバプールで開催された。8選手が出場した日本は2年後の東京パラリンピックに向け、大きなステップを刻んだ。

3人1組で戦う団体戦では、リオパラリンピックにつづく、銀メダルを獲得。世界選手権での2位は過去最高位。決勝戦はリオ大会金メダルのタイに4-5で敗れたが、序盤かリードされ、4-9と離されたリオ大会に比べ、接戦に持ち込めた試合ぶりに進化が感じられる。

また、BC2個人戦では杉村英孝選手が銅メダルを獲得。世界ランク10位の杉村選手は準決勝で同3位のタイの選手に敗れたものの、3位決定戦では同7位のスロバキアの選手を5-1で退け、メダルを手にした。

(文・取材:星野恭子)