「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(220) 車いすバスケ男子日本代表、強豪3カ国と6月に東京で激突! 「結果を出して、2020大会のリハーサルに!」
またまた、パラスポーツの面白さを体感できる国際大会が日本で開催されます! 男子車いすバスケットボールの国際大会「三菱電機ワールドチャレンジカップ2018」です。
先週12日、日本車いすバスケットボール連盟(JWBF)が都内で会見を開き発表した概要によれば、大会には日本、オーストラリア、カナダ、ドイツの4カ国が参加。昨年11月に完成した東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ(調布市)を舞台に6月8日(金)~10日(日)まで3日間にわたり、総当たりのリーグ戦を経て順位決定戦が行われます。同プラザは2020年東京パラリンピックで、車いすバスケットボールの予選会場となることが決まっています。
男子車いすバスケットボール「三菱電機ワールドチャレンジカップ2018」の発表記者会見にて。左から日本代表候補の藤本怜央選手と鳥海連志選手、日本代表及川晋平ヘッドコーチ(撮影:星野恭子)
会見に登壇した及川晋平ヘッドコーチは、「日本全体でパラリンピックを盛り上げるためにも、今大会をいい“リハーサル”にしたい。皆さんに応援してもらうには、迫力のある、観て楽しい車いすバスケをコートの中で演じること。そこに徹していい結果をあげるとともに、『2020年はこんな風に盛り上がるんだな』というイメージを皆さんに与えられるような大会にしたい」と意気込みを語りました。
「三菱電機ワールドチャレンジカップ」は2020年大会に向けた日本男子代表の強化とパラリンピックムーブメント拡大のために昨年から新設された大会で、前回はオーストラリア、イギリス、トルコが来日し、日本は3位でした。2回目となる今年は日本を含めた4カ国とも、今年8月にドイツで開催予定の世界選手権出場国でもあり、その前哨戦としても注目され、レベルの高い見ごたえあるプレイが大いに期待できます。
オーストラリアは昨年大会の優勝国であり、フィジカルの強いアグレッシブなプレイスタイルを特徴とし、昨年10月に開催されたアジア・オセアニア地区大会も制覇している強豪国です。カナダは世界選手権のアメリカ大陸予選で、リオパラリンピック金メダルのアメリカと接戦を演じています。実は2012年ロンドン大会で銀メダル獲得後、一度代表を離れていた車いすバスケットボール界のレジェンドであり、スーパースターのパトリック・アンダーソン選手が現役復帰を果たしたことで、チーム力が格段にアップしている古豪です。そして、ドイツは世界選手権の開催国として強化を進めています。元々、日本代表選手数名も参戦しているプロリーグも存在するほど車いすバスケットボール人気もレベルも高い、こちらも強者。ワクワクするようなラインナップです。
対する日本は今、2020年大会を見据えた4年計画のチームづくりの過程にあり、2年目の今年は世界選手権でベスト4以上、10月のアジア大会(インドネシア)で優勝を目標として掲げています。強みと武器は豊富な運動量とスピードです。今大会はこのクイックネスを存分に活かした戦略が世界の高さに通用するかどうかを試す絶好の機会となります。
及川HCは2020年に向けた同一会場での開催について、「感謝したい。(地元の)観客の温かい応援は大きな力になる。迫力やアグレッシブさなど日本らしいバスケを随所に展開していい結果を手にし、世界選手権に向かいたい」と目標を語りました。
さらに2020年までの4年間の強化プロセスとして、「昨年は、(リオ大会に出場した)チームを一度壊して、戦略にしてもフィジカルにしても新たなものを取り入れ、再生していくというステージだった。今年はそこから一つの形を抜き出して試して整える年。今大会はもう少しスマートに試合ができればと思っている」と加えました。
なお、代表選手についてはまだ選考中とのことで、会見には代表候補選手2名が出席。4大会連続パラリンピアンで、16年リオ大会では主将も務めた藤本怜央選手は、「昨年(大会で)はオーストラリアに1点差負けで悔しい思いが残っている。その後1年、及川HCのもと、“ベリーハードワーク”を合言葉に練習に励んできた。8月の世界選手権は2020年大会前に日本の強さを見せつけるポイントとなる大会。その前に今大会で全勝優勝を目指したい。『日本は強いな』と思われるような戦いが必要だと思うので、結果にこだわりたい」と力強くコメント。
同じく候補選手で、リオ大会には17歳で初出場し、若きエースとして期待がかかる鳥海連志選手は、「ディフェンスとチャンスメイクという自分に与えられた役割をしっかり果たして、チームを勝利に導きたい。また、年下ながら、リーダーシップを発揮することも自分のチャレンジ。しっかりアピールしたい」と心強い決意を口にしていました。
進化中の日本代表の戦いぶりに加え、世界レベルの車いすバスケを目の当たりにするチャンスです。期間中にはエキシビションマッチとして、女子日本代表とオーストラリア戦も実施される予定です。2020年大会の予習にもなる今大会(一部有料席あり)。チャンスがあれば、ぜひご来場ください!
【三菱電機ワールドチャレンジカップ2018】
日程: 6月8日(金)~10日(日)
会場: 武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)
参加国: オーストラリア/カナダ/ドイツ/日本
大会概要: 日本車いすバスケットボール連盟サイト https://www.jwbf.gr.jp/
(*大会特設ページは5月1日、上記内に開設予定)
チケット販売開始: 4月28日(土)午前10時~/ローソンチケット http://l-tike.com/sports/wcc18 (Lコード:31446)
(文・写真:星野恭子)