吾輩は猫である
著者:夏目漱石
出版社:新潮社
価格:¥680
〈臥龍窟(ぐわりょうくつ)に面して一人の将官が摺粉木(すりこぎ)の大きな奴を持つて控へる。之(これ)と相対して五六間の間隔をとつて又一人立つ、摺粉木のあとに又一人、これは臥龍窟に顔をむけて突つ立つてゐる。かくの如く一直線にならんで向ひ合つて居るのが砲手である。ある人の説によると是(これ)はベースボールの練習であって、決して戦闘準備ではないさうだ〉
この名作に「ベースボール」に関する記述が含まれていることを知らないのは恥ずかしい。漱石には、『それから』にも野球を少々、“蔑視”した記述があり、『三四郎』には明治時代の運動会の様子を描写したシーンがある。また、島崎藤村の『破戒』には、明治時代のテニスに関する記述がある。